YUKI「トロイメライ」 PR

YUKI|間違いのない人生なんてない、セルフプロデュース作に込めた思い

ソロ活動15周年という節目を迎えたYUKIが、新たな幕開けとしてシングル「トロイメライ」を9月19日にリリースする。表題曲「トロイメライ」は、映画「コーヒーが冷めないうちに」の主題歌として書き下ろされた楽曲。カップリングには、赤い公園のギタリスト・津野米咲が曲提供した「かたまり」が収録された。

そして今回のシングルはYUKI自らがプロデュースを手がけているというのも大きなトピックだろう。以前、音楽ナタリーのインタビューでYUKIは「自分で決めたことならば、どんな結果になろうとも後悔はしない」「自分の責任を自分で負う覚悟がより強くなった」と言っていたが(参照:YUKI15周年イヤー第2弾シングルインタビュー)、その思いをさらに強くした彼女は、シングル「トロイメライ」で“YUKI”自身をプロデュースするという選択をした。彼女が次なるフェーズに進むための扉を開けた今作について、YUKI本人に話を聞いた。

取材・文 / 松浦靖恵

映画の登場人物と観た人で同じ方向を向ける曲にしたかった

──新曲「トロイメライ」は、映画「コーヒーが冷めないうちに」の主題歌として書き下ろした楽曲ですよね。この映画は舞台の脚本家兼演出家として活躍する川口俊和さんの小説家デビュー作で、2017年に「本屋大賞」にノミネートされた「コーヒーが冷めないうちに」と、シリーズの続編小説「この嘘がばれないうちに」を原作にした作品です。映画の舞台は自分が望んだ過去に戻ることができる喫茶店ですね。

はい。原作を読み、映画を観たときに自分が感じたことを忘れないようにして、映画の中で自分の曲がどのように流れるのか、私だったらどんな曲が流れてほしいだろう、どんな曲だったらこの映画を観た人たちにも寄り添えるだろうということを考えました。それと同時に、それぞれの人生を生きてきた登場人物たちがこれから歩んでいく人生に思いを巡らせていたら、主題歌は悲しい歌ではないなと思ったんです。そして、聴いた人それぞれが自分なりの受け止め方ができる歌にしたいと思いました。私たちはこの映画の登場人物たちのように過去に戻ることはできないけれど、映画を観た人たちと、この映画の中にいる人たちが同じ方向を見て、前に進んでいけるような曲にしたかった。自分の中で、早い段階から歌詞の方向性や曲のイメージは明確にできていましたね。

──「トロイメライ」の歌詞にある、「何度でも笑うのよ 何度でも許されていいから」という言葉に、私は強さと優しさを感じました。

私は自分がしたことに対して、「あのときもっとこうすればよかったな」と思うことがたくさんあるんです。人は何度も間違えてしまうんですよね。この物語の登場人物たちのように、過去の自分を責め続けて前に進めなくなってしまったとしても、あのときの決断や言葉や行動は決して利己的なものではなかったんだということを、誰かがきっと見ていてくれて、わかってくれている。そうであってほしいという希望と願いを「トロイメライ」に込めました。

自分の間違いを認めて許す強さをはっきりと言えた

──今回のシングル「トロイメライ」はセルフプロデュース作品なんですよね。

今までも自分のやりたいと思ったこと、好きな音、鳴らしたい音楽を作って発表してきたので、そこは何も変わっていません。やりたいことを形にするには私1人では実現できないことはたくさんありますけど、それでも自分がやりたいことを、自分から出てきたアイデアだけでどこまでできるのかを、自分で見たかったんだと思います。

──これまでYUKIさんは曲決めをする際に、その曲を誰が書いたのか、どんな経歴を持っているのかなど、前もって何も情報を入れずにデモを聴いて、自分のイメージに合う楽曲、自分が歌いたいと思った曲を選ぶことが多いと言っていました。「トロイメライ」の作曲を手がけたCHI-MEYさんとは初顔合わせですね。

今回の「トロイメライ」も、作家さんへ曲を発注するときにイメージはしっかり伝えましたけど、楽曲のセレクト自体はこれまでと同じやり方でした。それですごく素敵な曲を作ってくださったのがCHI-MEYくんです。CHI-MEYくんとは直接お会いしましたし、歌詞の方向性を伝えて、プリプロも一緒にやりました。ここのところの私の音楽は“隙間”がテーマなので、歌詞もメロディもアレンジもシンプルにしたくて。自分が思い描いていたイメージがどんどん形になっていく制作過程はとても楽しかったですし、歌入れもとても楽しんでやることができました。この曲では普段よりもキーを少し低めにしているんですよ。

──「トロイメライ」に込めた思いを教えてください。

私たちは何があってもおかしくない毎日を生きています。悲しい事故や事件が起こっても、自分がどうにかしたいと思っても、何もできないことのほうが多い。シューマンの「トロイメライ」を聴くと、どこか懐かしい気持ちになると同時に少し怖い気持ちにもなってしまうのは、どんなに願っても自分の思い通りにはならないことがたくさんあるとわかってしまっているからだと思います。楽しくてうれしいことばかりではない世の中で、いかに強くなるか。間違えない人生なんてないからこそ、何度間違えてもその間違いを自分で認め、自分を許し、相手を許し、他者にも許されてきた自分がいることに気付く。そうやって人は生かされ、そのたびに強くなっていく。この歌で私はその強さをはっきりと言えたんだと思います。

YUKI「トロイメライ」
2018年9月19日発売 / EPICレコードジャパン
YUKI「トロイメライ」

[CD]
1296円 / ESCL-5105

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収録曲
  1. トロイメライ
  2. かたまり
YUKI(ユキ)
1993年にJUDY AND MARYのボーカリストとしてデビュー。2001年のバンド解散後、2002年にシングル「the end of shite」でソロ活動を開始した。2012年5月にはソロ活動10周年を記念して東京・東京ドーム公演「YUKI LIVE "SOUNDS OF TEN"」を開催し、約5万人を動員。JUDY AND MARY時代にも東京ドームでライブを行っていることから、バンドとソロの両方で東京ドーム公演を行った初の女性ボーカリストとなる。2017年2月にソロデビュー15周年を迎え、テレビアニメ「3月のライオン」のオープニングテーマを表題曲としたニューシングル「さよならバイスタンダー」を発表。3月には約2年半ぶりのオリジナルアルバム「まばたき」をリリースした。2018年1月には、シングルコレクション「すてきな15才」とライブDVD / Blu-ray「YUKI concert tour "Blink Blink" 2017.07.09 大阪城ホール」を発売。9月に映画「コーヒーが冷めないうちに」の主題歌「トロイメライ」をシングルとしてリリースした。