まさかの演歌「夜桜お七」でCDデビュー

──吉木さんのCDデビューは2008年、坂本冬美さんのカバー「夜桜お七」でした。

高校2年くらいのときに、事務所の人から「日本民謡をやっているんだったら演歌もできるだろう」っていう提案を突然されて（笑）。そのときは「できればポップスがいいなー！」って思ったんですけど、演歌大好きな両親に「絶対にやりなさい」と言われて、結局は演歌のボイストレーニングを2年間続けました。

──どんな2年間でした？

作曲家の先生からマンツーマンで指導を受けていました。その先生が「違う違う！ もっとビブラートはこう！」みたいな熱血指導をする方で、私は「はいっ！」って半分泣きながら（笑）。高校時代の後半は先生と過ごした青春が思い出ですね。秋葉原の女の子のアイドルが出てくるイベントで「夜桜お七」を歌ったときは、お客さんの間で「ヲタ芸しづらい」と評判でした（笑）。

──プロの歌手としてのキャリアはそこが始まりだと思うんですが、ご自身の立ち位置に疑問を持たれたことは？

結構疑問でしたね（笑）。「ここにいていいのかな？」みたいな。でも私自身はグループよりもソロで自由にやるほうが向いてるタイプだと思っているんです。「集団行動が苦手」という、ただただそれだけの理由なんですけど（笑）。

アニメ＆マンガ好きがアルバムに結びついた

──昨年3月に発売されたシングル「Destin Histoire」は「Poche」にも収録されていますし、テレビ東京系アニメ「GOSICK-ゴシック-」の主題歌として多くの人の耳に触れましたよね。

「夜桜お七」からしばらく、ソロではCDを出せていなかったんです。でもある日、私がアニメ好きなのを知っている今のディレクターの方が「試しにアニソンを歌ってみてほしい」と言ってくださったんです。「これはチャンスだ！」と思って、グワーッと猛練習して、歌わせてもらって、「Destin Histoire」をレコーディングすることになった、という経緯ですね。

──その「Destin Histoire」が発売されてから1年。ついに「Poche」の発売に至ります。1曲目の「君が待つ世界の果て」はオリジナル曲ですね。

この曲はオリジナルですけど、アニソンをイメージして作っていただいたので、あわよくばロボットアニメとかのオープニングに使ってほしい！という気持ちです（笑） 。爽快感のあるロックで、自分自身も弱い気持ちはあるけれど、それも引っくるめて走り出そう！というみんなが元気になれる曲です。この曲のビデオクリップでは白い羽根が頭の上からワーッと降ってくるんですが、「Destin Histoire」のPVでも花びらが上からワーッて降ってくるので、この「降る」シリーズも見どころですね（笑）。