音楽ナタリー Power Push - YON FES 2016
GEN(04 Limited Sazabys) × TAKUMA(10-FEET)対談 フェスを主催するということ
04 Limited Sazabysが野外イベント「YON FES 2016」を4月2、3日に愛知県の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)にて開催する。
「YON FES」は04 Limited Sazabysにとって初めての主催フェス。バンドの地元である名古屋に、総勢21組のバンドが集結しパフォーマンスが行われる。音楽ナタリーではこのイベントの開催を記念して連続特集を展開。2回目は、04 Limited SazabysのGEN(B, Vo)と10-FEETのTAKUMA(Vo, G)の対談をお届けする。10-FEETは野外フェス「京都大作戦」を毎年開催しており、バンド主催フェスの先駆者的存在。そこで今回の対談では、フェス主催1年目のGENが、先輩に教えを請うという形で話をしてもらった。2人の濃密なトークを堪能してほしい。
取材 / 小林千絵 文 / 三橋あずみ 撮影 / ヤオタケシ
“贔屓と傾倒の場”に
GEN 僕、「AIR JAM」や「京都大作戦」みたいなフェスへの憧れがあったんです。「いつか地元の名古屋で自分たちのフェスをやりたいな」と思っていて。そんなとき、昨年「京都大作戦」に出演させてもらって、TAKUMAさんがフェスについて「偏りのあるメンツでお互い贔屓し合ってやったらいい」とおっしゃってるのを聞いてそこで答えが出た気がしたんです。自分たちの好きな人たちでお互い助け合えれば、ずっとその仲間たちと音楽をやっていけるのかなと。で、打ち上げのときもTAKUMAさんが「(フェスを)やったらええ」って言ってくださって。その言葉を聞いて「もうやるしかない!」ってなりました。
TAKUMA そうなんや。
GEN 今回、同世代中心のメンツでやろうと思っていて。
TAKUMA ええやんええやん。大事大事。
GEN 出演者の7割くらいが同世代なんです。
TAKUMA 7割か。そんだけいたら楽しいな。
GEN 今回、同世代中心でフェスを成功させられたら「この世代がキテるぞ」っていうのを提示できるかもしれないと思った。今後はその仲間たちをできる限り毎年呼びつつ、いろんな先輩方に出てもらえたらいいなと思ってます。
TAKUMA 俺らもバンドを始めた頃はハイスタ(Hi-STANDARD)先輩の「AIR JAM」があってさ。横のつながりだけでやってのけた姿っていうのが本当にカッコいいなと思った。ジャンル関係なく、お互い有名じゃない頃からずっと一緒にやってる、もともと友達でしかなかったバンドとフェスをやるっていうのがいいなと。当時、俺らは一生懸命やってもお客さんが5~10人くらいしか来てくれへんようなバンドやったけど、仲間はカッコいいヤツらばっかりやったから、「この中で最初に売れたヤツがフェスを開いてみんなの遊び場を作ることにしような、ヨーイどん!」みたいな感じでやってたよ。
GEN そうなんですね。
TAKUMA 「世の中にカッコいいバンドはたくさんおるけど、誰も知らない俺の友達のバンドのほうが全然カッコいいんや」っていう友達のバンドって絶対にいるやんか。なんでそういうバンドたちの認知度が低いかって言ったら、みんながそのバンドを知るきっかけがないだけであって。だからもし自分がフェスを主催できたら、絶対そういう友達を呼ばなきゃってずっと思ってきた。はやり廃りを取っぱらって仲間を応援できるのも“バンド軍団”の特権やからね。出演者のバランスとか集客だけじゃない、何か偏りがあって「なんだこりゃ」と思ってもらえるようなそのフェス特有の個性があったら、意味があると思うよ。そういう“贔屓と傾倒の場”を作っていきたいなって、俺も思う。
GEN はい。
TAKUMA バンド主催でもイベンターさん主催でも、こだわりと偏りがあるフェスっていうのはチケットが売り切れたり、ものすごく支持されたりするんよね。
GEN 主催者の個人的な情熱が見えると、こっちも感情移入しやすいですよね。そういったフェスって、例えば「このバンドがトリだ」っていうことにも何かストーリーがあって、そこに主催者の愛が見えたりする。
TAKUMA うん、いいよね。
構想から2年
TAKUMA 場所を見つけて、会場の人と話せるようになるまではけっこう時間かかった?
GEN 2年くらいですね。
TAKUMA わあ! がんばったな!
GEN 最初の1年は相手にされなかったんです。ゴーサインを出した人は、何か問題が起こったときに一緒にリスクを背負わないといけないですし。でも、ちょうどいいタイミングで公園の権利者さんが変わりまして。その方たちが前向きに考えてくれたんです。
TAKUMA そうなんや。
GEN 新しい権利者さんの中にロックが好きな人がいると聞いて会いに行ってみたら、そのロック好きの方が「ここでロックフェスができたらってずっと思ってたんですよ」って言ってくれたんです。さらにバンド自体が名古屋である程度知ってもらえるようになったというのもあって、無事に使用許可が下りて開催が決まったんです。
TAKUMA よかったなあ。
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「YON FES 2016」
2016年4月2日(土)
愛知県 愛・地球博記念公園(モリコロパーク)
OPEN 9:30 / START 11:00 / END 19:00(予定)
- 出演者
- [SKY STAGE]
BACK LIFT / THE ORAL CIGARETTES / SPECIAL OTHERS / クリープハイプ / WANIMA / 04 Limited Sazabys - [LAND STAGE]
SpecialThanks / Wienners / HAPPY / Brian the Sun / My Hair is Bad - [クリエイター]
池田嵩浩(ペイント) / ハジメファンタジー[センチメンタル研究家](恋愛相談) / フクザワ(ペイント) / 村本咲(ペイント) / 原田聡[桑名はらだ歯科クリニック](ギター弾き語り) / VERDY[VK DESIGN WORKS](ペイント)
2016年4月3日(日)
愛知県 愛・地球博記念公園(モリコロパーク)
OPEN 9:30 / START 11:00 / END 19:00(予定)
- 出演者
- [SKY STAGE]
THREE LIGHTS DOWN KINGS / キュウソネコカミ / BLUE ENCOUNT / SHANK / KEYTALK / 04 Limited Sazabys - [LAND STAGE]
LUCCI / ENTH / sumika / Rhythmic Toy World / SUPER BEAVER - [クリエイター]
池田嵩浩(ペイント) / ハジメファンタジー[センチメンタル研究家](恋愛相談) / フクザワ(ペイント) / 村本咲(ペイント) / 原田聡[桑名はらだ歯科クリニック](ギター弾き語り)
04 Limited Sazabys(フォーリミテッドサザビーズ)
2008年に愛知県名古屋市にて結成された、GEN(B, Vo)、HIROKAZ(G)、RYU-TA(G, Cho)、KOUHEI(Dr, Cho)によるロックバンド。2013年5月に発表した2ndミニアルバム「sonor」より日本語詞を多く取り入れ、楽曲の幅を広げる。メロディックパンクやギターロック、ラウドロックなど、さまざまなジャンルのバンドと競演を重ね、2014年2月に3rdミニアルバム「monolith」発売を経て、同年9月に1stシングル「YON」をリリース。2015年4月に1stフルアルバム「CAVU」を日本コロムビアから発売し、メジャーデビューを果たした。同年10月にメジャー1stシングル「TOY」を、2016年3月に1st DVD「MOMENT」を発売。4月には初の主催フェス「YON FES 2016」を開催する。
10-FEET(テンフィート)
TAKUMA(Vo, G)、NAOKI(B, Vo)、KOUICHI(Dr, Cho)の3名によるスリーピースバンド。メロディックパンク、ヘヴィメタル、レゲエ、ヒップホップ、ギターポップ、ボサノバなどのさまざまなジャンルを取り入れたサウンドで人気を集めている。また精力的にライブ活動を続け、その迫力満載のライブパフォーマンスや人間味あふれる深いメッセージが込められた楽曲、笑顔を誘い出すキャラクターでもファンを魅力。さらに日本はもとよりアメリカや韓国、台湾でもライブを行うなど、活動の幅を世界に広げている。また自身で主催するフェス「京都大作戦」も例年大成功におさめている。
2016年3月31日更新