ナタリー PowerPush - 矢沢洋子

ソロ名義で本格再始動! シンプルなロックに挑む

矢沢洋子がthe generousを結成し、王道のJ-POPユニットとしてデビューを果たしたのは2008年秋。しかし、世間の盛り上がりとは裏腹にモヤモヤとした思いを抱え続けていた彼女は、自分自身の理想を具現化すべくアクションを起こした。「胸が熱くなるロックを鳴らしたい!」と。

そして2010年、その名をyokoから本名の矢沢洋子に改め、ついに新たな狼煙を上げた彼女は、ここに1stアルバム「YOKO YAZAWA」を完成させた。“YAZAWA”という大きなプレッシャーを自ら背負った彼女のアーティストとしての意気、そして覚悟が今こそ放たれる!

取材・文/久保田泰平 インタビュー撮影/大山卓也

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the generousとは違う、ブッ飛んだものがやりたくなった

矢沢洋子

──心機一転ということなんですが、まずはthe generousについて改めて振り返っていただこうかと。the generousはデビュー時からかなりの注目を浴びていたわけですけど。

そうですね、わりとスポーツ紙系というか(笑)、そういうところで注目はしてもらっていたと思うんですけど、振り返ると何が起こっているのかよくわかってなかったっていうのがあって。私自身、単なる“歌好き少女”みたいなところがあったんですよね。もちろんデビューできたのはうれしかったけど、実際にthe generousとして活動を始めると、音楽っていう世界が夢じゃなくて現実になるわけで。実際にライブだったりレコーディングだったりをやっていく中で、これは自分が本来やりたいと思っていたものとはなんかちょっと違うんじゃないかって。正直「あれ?」みたいな感じになってきて。

──明確なビジョンが定まらないまま進んでいたと。

周りのスタッフさんは、私なんかに比べたらもういろんな意味で大先輩なわけだし、そういう方たちにいろいろなアドバイスをいただきながら成長するのもアリかなって思ってたんですけど、結局は自分の性格上、自我が強いというか、自分がやりたいことっていうのがどんどん出てきちゃって。だからもう、去年の3月にthe generousとしての最後の音源を出してからすぐシフトチェンジ……って言ったらヘンな言い方になっちゃうんですけど、今回リリースするアルバムのモードになってたんです。まだ具体的なことはなんにも決まってなかったけど「次に発表する作品は絶対に自分のやりたいことをやる!」っていう意気込みだけはあって、2009年はずっと制作期間でしたね。たまにライブをやるくらいで、表立ってメディアに出ることがほとんどなかったので、周りのみなさんから見ると「何やってんだろう? あのコ」みたいな感じだったと思うんですけど。

──洋子さんはお父さんもアーティストなだけに、周囲の期待は普通の新人アーティスト以上に大きかったと思うんです。でも、今だから正直な感想を言っちゃいますが、そのわりにthe generousは結構普通だなあっていう印象がありました。

the generousがやってたのは王道のJ-POPだったなって思いますね。もちろんそういったカテゴリの音楽を否定するわけではないんですけど、でも、実際に自分が普段何を聴いているのかっていうと、そういうものではなかったんですよね。どちらかというと日本のロックバンドをよく聴いていたっていうのもあったんで。それもあって「あれ?」みたいな。プロモーションビデオにしても、the generousの時代は浜辺とか、きれいな自然の中に立って歌うっていうものがわりと多かった……っていうほど作品を発表したわけではないんですけど(笑)。でも、私の中ではいい意味でふざけた、ブッ飛んだものがやりたいっていう、そういう気持ちがどんどん膨らんでいって。

──で、そのアイデアを解放するためには、本名の矢沢洋子にならなくてはならなかった。

the generousのときの“yoko”でもよかったのかもしれないんですけど、バンド仲間に相談したら「絶対本名がいいと思う!」って言ってくれて。あとはその、逆にプレッシャーをかけるというか。“矢沢”という苗字で活動するというのはやっぱりプレッシャーなんですよ。でもそのプレッシャーを背負い込むことで腹をくくれるというか。“鈴木”とか“田中”とかよくある苗字であればあまり考えることもなかったと思うんですけど、やっぱり“矢沢”ってそこまで多い苗字じゃないし、どうしても自分の父親のことが連想されるし。

──ですよね。音楽ファンに「“矢沢”と言えば?」って質問したら九割九分“永吉”って答えるでしょうし。

ですよね。でも名前を変えてからはすごく気持ちがラクになったというか、やってること全部が楽しいんですよね。よかったなあって思ってます。

──そもそも洋子さんが音楽をやりたいと思ったのはいつ頃だったんですか?

やりたいと思ったというか、やっぱりごく自然に。父の武道館ライブとか観ちゃうとやっぱりかっこいいなと思うし、自分もそういう道に行くのかな、そうなれればいいなっていう気持ちが、成長するにつれてだんだんと形になって見えてきたんですよね。だいたい私なんて、幼稚園の頃は男の人は大人になるとみんなステージに立つものだって思ってましたから(笑)。

1stアルバム「YOKO YAZAWA」 / 2010年8月25日発売 / 2500円(税込) / GARURU RECORDS / GRRC-20001

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CD収録曲
  1. H♡NEY BUNNY
  2. don't look back
  3. crazy for you
  4. 英雄~HERO~
  5. 月光
  6. fade away
  7. high☆tention
  8. 逢いたい
  9. SUGAR!SUGAR!!SUGAR!!!
  10. 終わりなき旅路
  11. Let me…
矢沢洋子(やざわようこ)

矢沢洋子

1985年東京生まれ。12歳のときに家族と共にロサンゼルスに移住。高校卒業後帰国し、大学に通いながらボイストレーニングを重ねる。2008年秋にthe generousのボーカリストとしてデビューし、ミニアルバム1枚とシングル1枚をリリース。2010年2月に、本名の矢沢洋子名義でアーティスト活動を行っていくことを発表。同年8月にアルバム「YOKO YAZAWA」をリリースする。父は矢沢永吉。