キーワード③:「本当はね、」
──2022年10月にリリースされた楽曲「本当はね、」は、ヤングスキニーの代表曲の1つになりました。最近ストリーミング再生数が1億回を突破したそうですね。
ゴンザレス 数字が大きすぎて実感が湧かないんですよ。クレジットカードとかも、ついつい使いすぎちゃうじゃないですか(笑)。そんな感じで、目に見える何かがないと実感を持つのはどうしても難しい。だけどすごいことだと思っているので、聴いてくれた人たちには本当に感謝しています。
──曲が完成した時点で自信はありましたか?
りょうと 正直、自信はなかったです。
ゴンザレス 完成したあとの帰り道ですら「いや、この曲はどうなの?」「ちょっとわからないよね」みたいなテンションだった気がします。
しおん だけど改めて聴いてみたら、曲の展開とかアレンジがしっかりしているなと思って。歌詞はストレートでわかりやすいし、サビは四つ打ちでノリやすいし、世の中の流行と重なる部分もたくさんあったのかなと、今になって思います。
かやゆー TikTokでAメロとサビの両方を使ってもらえたのも大きかったですね。
──「本当はね、」のリリースから4カ月後の2023年2月に、ヤングスキニーはメジャーデビューしました。メジャーデビュー前にヒットを出せたことが、皆さんの自信につながった側面もあったのではないでしょうか?
かやゆー そうですね。メジャーデビューが決まった時点では正直「自分たちには荷が重い」と思っていました。だけど「本当はね、」があったからこそ、メジャーデビューを発表した2022年10月のライブでは「メジャーデビューします」と胸を張って言うことができて。実は「本当はね、」はもう少しあとにリリースするつもりだったんですけど、予定を変えて、あのタイミングでリリースして本当によかったと思っています。
キーワード④:夏フェス
──ヤングスキニーはこの夏、多数のフェスに出演していましたね。
かやゆー 去年は2回しか出られなかったけど、今年はいっぱい出させてもらえました。
──たくさんライブをすることで、バンドとして鍛えられた感じもあったのでは?
しおん まだまだだけど、最初の頃と比べたら成長できたんじゃないかと。
ゴンザレス たくさんの人の前で演奏することで、メンタル面も大幅に鍛えられた気がします。ライブハウスと同じようにやっても野外フェスでは通用しないこともあるから、野外フェス用にいろいろと調整することが多かったです。音作りもそうだし、お客さんの盛り上げ方も変えて。
りょうと 4月までワンマンツアーを回っていたんですけど、ヤングスキニーを知らないお客さんに興味を持ってもらうためには、ワンマンと同じようにやってもうまくいかなくて。いろいろと試したりしました。
しおん ゴンザレスくんとりょうとくんは、前に出て行ってお客さんを煽ったりしていたよね。かやゆーくんもステージを降りてお客さんのほうまで行ったりしていたけど、僕のいる位置からだと、お客さんが盛り上がって表情が柔らかくなる瞬間とかがよく見える。
りょうと 僕としては「楽しかった」という気持ちが一番大きいです。楽しかったから体も自然に動いて、テンション高くライブできました。
かやゆー ファン層の被っていそうなバンドとタイムテーブルがバッティングした日や、出番がトップの日にもお客さんがたくさん来てくれたので、自信につながりました。この勢いで冬フェスにもいっぱい出られたらうれしいですね。
キーワード⑤:「どんなことにでも幸せを感じることができたなら」
──メジャー1st EP「どんなことにでも幸せを感じることができたなら」が完成しました。まずはタイトルの由来から聞かせてください。「嘘だらけの日常の中で」「演じるくらいなら、ありのままでいいけどね」「歌にしてしまえば、どんなことでも許されると思っていた」と、これまでヤングスキニーは収録曲の歌詞の一節をアルバムやEPのタイトルにしています。だけど今回は違いますよね。
かやゆー 「だが、情熱はある」(今年4~6月放送の日本テレビ系ドラマ)で若林(正恭)さんのお父さん役の光石研さんが病室で最期にアイスを食べているシーンがあったんですよ。お父さんが亡くなってしまったあとに若林さん役の髙橋海人さんのセリフで「そんな些細なことに幸せを感じられたらいいな」みたいなことを言っていたのを聞いて、「この言葉はどこかで使えそうだな」と覚えておいたんですけど、収録曲を見ていたら、「君の街まで」では会えない日々ですら幸せだということを歌っていますし、「愛の乾燥機」は歌詞に「最低限の幸せ」とありますし、“些細な幸せ”が全曲に共通しているなと思って。それでこのタイトルをつけました。
──1曲目はABEMAの恋愛リアリティ番組「恋する♥週末ホームステイ 2023夏」のオープニングテーマとして制作された「君の街まで」。弾むリズムが楽しい曲で、ベースラインが印象的ですね。
りょうと この曲のベースラインはなかなかムズくて、自分でも「ワケのわからないフレーズができたな」と思うんですけど……たぶん、ギターやボーカルのメロディをいい意味で意識しすぎずに作ったのが大きいのかな。普段は「ここは歌がないから、オブリガード的なフレーズを弾いてみよう」とか「ここはギターとユニゾンしてみよう」と考えていくことが多いんですけど、この曲はキーボードも入っていって全体的ににぎやかだし、ボーカルのメロもいいから、「何をやっても大丈夫だろう」「よし、やってみよう」と思えて。その結果、かなりメロディアスなフレーズになりました。
──2曲目の「愛すべき日々よ」は、江崎グリコ「セブンティーンアイス」のキャンペーンソングです。兵庫の雲雀丘学園高等学校を訪問し、17歳のリアルな声を聞いてから制作したそうですね。
かやゆー その結果、ヤングスキニーには珍しい友情ソングができました。17歳の人たちからは「さまざまな個性を持つ人たちがいる中で、本来自分が大事にしたい部分を友達に受け入れてもらうにはどうすればいいのか」という話を聞いたんですよ。自分も10代の頃はパーソナリティについて悩んでいたし、むしろ今もそういうことを考えるし。たかが3、4歳の差ですから、悩みは一緒なんだなと感じました。なので、17歳の思いを込めた曲ではあるけど、自分の思いも100%込めることができました。
──「お前の嫌なとこも全部愛してるぜ」という歌詞が印象的でした。嫌な部分のある相手のことを受け入れることって難しいですよね。
かやゆー やっぱり嫌なやつは嫌ですし、同じ人間なのに相手に歩み寄れない自分のことも嫌だなって思いますし。歌詞には「だけど、こう思えたらいいな」という気持ちを込めました。
──3曲目の「君じゃなくても別によかったのかもしれない」はドラマ「インターホンが鳴るとき」(テレビ大阪、BSテレ東の「DRAMA ADDICT」枠)のオープニングテーマということで、このEPにはタイアップソングが3曲収録されています。かやゆーさんは今まで実体験8割、妄想2割で曲を書いていたそうですが、今回はいかがでしたか?
かやゆー 自分の好きなタイミングで好きなように書けるわけではないので、難しかったです。僕は一度曲を書き終えたら、そこから内容を書き換えるのが苦手なタイプなんですけど、先方から「もっとこうしてほしい」とオーダーをもらって、そうも言っていられなくなったり……今までのやり方を変えなければいけない瞬間もありました。だけど、さっき「愛すべき日々よ」について「自分の思いも100%込められた」と言ったように、タイアップによって自分自身を引き出してもらえた感じもあって。すごくいい経験になりましたね。
──4曲目の「愛の乾燥機」は、バンドの熱量がダイレクトに感じられるアッパーチューンで、特にリードギターの存在感が強いです。
ゴンザレス ボーカルと同じくらいギターが前に出ている曲なので、この曲のギターはきっと注目してもらえるんじゃないかと思っています。僕がいつも大切にしているのは、シンプルだけど耳に残るフレーズを付けること。この曲に関しても、荒々しさはありつつも、ライトハンド奏法で複雑なことをやったりはせず、ちゃんと聴き取れるようなフレーズ作りを意識しました。
──今回のEPには、キャッチーなギターのフレーズが多いように思いました。イントロから曲の顔となるギターリフを弾いていたり、間奏にギターソロがあったり。
ゴンザレス ギターのフレーズに関しては、自分の作ってきたフレーズをみんなにいくつか聴いてもらい、満場一致で「いいね」となったものを採用する、ということをいつもやっていて。それは今回に限ったことではないんですけど、思えば今回はかなりたくさんのフレーズをみんなに聴いてもらったし、リリースを重ねるにつれて作るフレーズの量は多くなってきている気がします。4月のツアーが終わってから制作期間に入ったんですけど、ツアーが終わってからもフェス含めいろいろなライブがあったので、家とか遠征先のホテルでフレーズを考えて、合間合間でレコーディングするというタイトなスケジュールで。そうやって日々いろいろ作りつつも、例えば「愛すべき日々よ」のイントロとか、レコーディングのときにその場で作ったフレーズも採用されたりしました。
──なるほど、面白いですね。5曲目の「8月の夜(2023 ver.)」は、2021年5月にリリースされた楽曲の新録バージョンです。しおんさんがヤングスキニーに加入する前の曲ですね。
しおん はい。この曲を改めてレコーディングできたのも、ラウドロックがルーツにある自分らしい、重厚感のあるドラムをしっかり叩けたのもうれしかったです。
ゴンザレス しかも、しおんくんはアドバイスをしてくれたんですよ。ドラムがよりパワフルになったのはもちろん、全体的な印象も変化して、より引き締まったように感じています。
──EPのリリース後には2本のツアーがあります。まずは、10月から12月にかけての対バンツアー「“老いてもヤングスキニーツアーvol.2” vol.2あったんだ編」。2カ月で30公演とはハードなスケジュールですね。
かやゆー 気付いたらハードなスケジュールが組まれていたんですけど(笑)、対バン相手は自分たちで決めました。なので全公演楽しみですし、お客さんにとっても、何公演来ても楽しめるツアーになるんじゃないかと思っています。
──そして来年3、4月にはワンマンツアー「“老いてもヤングスキニーツアー vol.3” 2度あることは3度ある編」が開催されます。こちらはどんなツアーになりそうですか?
しおん 最近はフェスに出演する機会が多かったので、熱くて楽しいライブにしようと、盛り上がれる曲を中心に演奏していたんですけど、ワンマンではもっと違う部分も見せられたらと。フェスよりも長尺でライブできるから、バラードをしっかり演奏する場面も作りたいなと思っています。このEPにはない曲もやると思うので、楽しみにしていてください!
ライブ情報
“老いてもヤングスキニーツアーvol.2” vol.2あったんだ編
- 2023年10月7日(土)高知県 X-pt.
<出演者>
ヤングスキニー / Conton Candy - 2023年10月9日(月・祝)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
<出演者>
ヤングスキニー / 浪漫革命 - 2023年10月11日(水)兵庫県 神戸VARIT.
<出演者>
ヤングスキニー / moon drop - 2023年10月12日(木)京都府 KYOTO MUSE
<出演者>
ヤングスキニー / ポンツクピーヤ - 2023年10月14日(土)大阪府 BIGCAT
<出演者>
ヤングスキニー / ペルシカリア - 2023年10月15日(日)広島県 LIVE VANQUISH
<出演者>
ヤングスキニー / ペルシカリア - 2023年10月17日(火)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
<出演者>
ヤングスキニー / アンと私 - 2023年10月21日(土)香川県 高松MONSTER
<出演者>
ヤングスキニー / KALMA - 2023年10月22日(日)岐阜県 CLUB ROOTS
<出演者>
ヤングスキニー / KALMA - 2023年10月24日(火)愛知県 THE BOTTOM LINE
<出演者>
ヤングスキニー / KALMA - 2023年10月26日(木)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
<出演者>
ヤングスキニー / bokula. - 2023年10月27日(金)宮城県 Rensa
<出演者>
ヤングスキニー / bokula. - 2023年10月29日(日)岩手県 Club Change WAVE
<出演者>
ヤングスキニー / 鉄風東京 - 2023年11月1日(水)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
<出演者>
ヤングスキニー / クジラ夜の街 - 2023年11月2日(木)石川県 金沢EIGHT HALL
<出演者>
ヤングスキニー / クジラ夜の街 - 2023年11月4日(土)新潟県 NIIGATA LOTS
<出演者>
ヤングスキニー / クジラ夜の街 - 2023年11月7日(火)山梨県 KAZOO HALL
<出演者>
ヤングスキニー / ねぐせ。 - 2023年11月9日(木)長崎県 DRUM Be-7
<出演者>
ヤングスキニー / THE 2 - 2023年11月10日(金)福岡県 DRUM LOGOS
<出演者>
ヤングスキニー / THE 2 - 2023年11月12日(日)熊本県 熊本B.9 V1
<出演者>
ヤングスキニー / reGretGirl - 2023年11月13日(月)鹿児島県 CAPARVO HALL
<出演者>
ヤングスキニー / reGretGirl - 2023年11月17日(金)東京都 Zepp Shinjuku(TOKYO)
<出演者>
ヤングスキニー / Blue Mash - 2023年11月19日(日)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
<出演者>
ヤングスキニー / Blue Mash - 2023年11月22日(水)北海道 札幌PENNY LANE24
<出演者>
ヤングスキニー / ジュウ - 2023年11月23日(木・祝)北海道 苫小牧ELLCUBE
<出演者>
ヤングスキニー / ジュウ - 2023年11月25日(土)北海道 CASINO DRIVE
<出演者>
ヤングスキニー / ジュウ - 2023年11月28日(火)茨城県 mito LIGHT HOUSE
<出演者>
ヤングスキニー / シンガーズハイ - 2023年11月30日(木)埼玉県 EASYGOINGS
<出演者>
ヤングスキニー / シンガーズハイ - 2023年12月3日(日)沖縄県 Output
<出演者>
ヤングスキニー / ammo - 2023年12月4日(月)沖縄県 Output
<出演者>
ヤングスキニー / ammo
“老いてもヤングスキニーツアー vol.3” 2度あることは3度ある編
- 2024年3月16日(土)宮城県 SENDAI GIGS
- 2024年3月21日(木)神奈川県 KT Zepp Yokohama
- 2024年3月30日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
- 2024年3月31日(日)福岡県 Zepp Fukuoka
- 2024年4月3日(水)新潟県 NIIGATA LOTS
- 2024年4月4日(木)新潟県 NIIGATA LOTS
- 2024年4月7日(日)愛知県 Zepp Nagoya
- 2024年4月13日(土)香川県 高松festhalle
- 2024年4月14日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2024年4月19日(金)北海道 Zepp Sapporo
- 2024年4月26日(金)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
プロフィール
ヤングスキニー
かやゆー(G, Vo)、ゴンザレス(G)、りょうと(B)、しおん(Dr)からなる4ピースバンド。シンガーソングライターとして活動していたかやゆーがSNSでバンドメンバーを募集し、2020年8月に結成された。2021年2月に初のミュージックビデオとして「世界が僕を嫌いになっても」のMVを公開すると、SNSを中心に大きな反響を呼んだ。同年12月には初の全国流通となるミニアルバム「演じるくらいなら、ありのままでいいけどね」をリリース。2023年2月にリリースした配信シングル「らしく」でビクターエンタテインメント内レーベル・SPEEDSTAR RECORDSよりメジャーデビュー。最新作は9月リリースのEP「どんなことにでも幸せを感じることができたなら」。10月から12月にかけて対バンツアー「“老いてもヤングスキニーツアー vol.3” 2度あることは3度ある編」、2024年3月から4月までワンマンツアー「“老いてもヤングスキニーツアー vol.3” 2度あることは3度ある編」を行う。
ヤングスキニー (@yang_skinny) | Instagram