ボケに気付いてもらえてないんじゃないか
──カップリングの「創英角ポップ体」はド直球に「創英角ポップ体」というフォントについて歌った、ヤバT節の効いた1曲ですね。
こやま はい、これぞヤバイTシャツ屋さん。
しばた これぞヤバTの真骨頂。
こやま この曲を評価してもらえない世の中に一石を投じたいんです。この曲はちゃんとシングルのカップリングまで聴いている人にしか届かないので。インターネットでリード曲だけ聴いて判断している人たちに、僕は物申したい。でもこれをリード曲にできない自分たちにも問題はあると思ってる。
しばた そこはちょっと攻めきれへんのよな。でもそれは結成20周年シングルでやりたい。
こやま 結成20周年でこれがリードになるん? だいぶお客さん離れそうやな。そこらへんのせめぎ合いですよね。結局ね、ヤバTが一番やりたいことってシングルのカップリングにあるんですよ。カップリングが一番面白いという自負があります。
──ファンクロックテイストで、ヤバTにとっては新境地の1曲だと思います。創英角ポップ体らしさを表現したサウンドとのことですが、アコースティック編成でも合いそうですね。
もりもと 確かに!
こやま この曲、なんといってもサビがいいんですよね。
しばた また自分からツッコミどころをバラすやん。
こやま だってみんないじってくれへんから……。
──これはヤバTのお家芸じゃないですか。J-POPらしさのあるメロディをサビで聴かせる……というボケ。それに今回は歌詞も加わってますが(笑)。
こやま そうです。そういうボケなのにあまり通じてなさそうで。本気でこの歌詞を書いてると思われてそうで心配。
──しばたさんの歌唱力が上がっているところも注目ですよね。
しばた キャハハハ(笑)。ありがとうございます。J-POP寄りの歌い方をしています。
こやま 早くライブで手を振りながら歌いたいですね。
ヤバTの曲はちっちゃい博識につながる
──歌詞に出てくる「まいばすけっと」は、イオングループの小型食品スーパーですね。ある種「喜志駅周辺なんもない」「天王寺に住んでる女の子」的な、新しいご当地ソングなのかなと思いました。
しばた 今までは関東に寄り添えなかったので。
こやま ちょっと関東寄りの曲を作りました。東京での仕事も増えたので。
──創英角ポップ体について歌おうと思ったきっかけはありますか?
こやま うーん、やっぱり「まいばすけっと」を見つけたときですかね。創英角ポップ体がお店のロゴに使われているのが衝撃的で。Twitterでお客さんから「ヤバTってまだ創英角ポップ体の曲作ってなかったんや」って言われましたよ。前から作ってそうって。
しばた まだ初回です。
──「創英角ポップ体」はヤバTがよく使う「いらすとや」と近い存在なのかなと思うのですが。
こやま そうですね。僕ら世代は創英角ポップ体になじみがあるんですよね。小学生の頃からWindowsのパソコンを使うから、創英角ポップ体を多様するじゃないですか。目を引くフォントなので。
もりもと だいたいスライドの最初は創英角ポップ体ですよね。
こやま 世代的になじみがあるフォントなんです。
しばた 世代感を出しています。
──「Magical Font」と歌っていますが、創英角ポップ体はどのあたりがマジカルなんですか?
こやま ホンマにそうなんですよ。いろんなフォントがあるけれど、創英角ポップ体が一番マジカル。
しばた 曲を聴いてもらえればきっとわかりますんで。
──もりもとさんは黙っていますが……。
しばた もりもとはパソコンとか知らないんで。
こやま 僕らはデジタルボーイ&ガール。もりもとは伝書鳩派なので。
もりもと ……。
こやま なあ、否定しいひんと伝書鳩飼ってることになっちゃうから。頼むで。
もりもと 僕だって、創英角ポップ体ぐらい知ってますよ。
しばた じゃあこの曲ができてどういう気持ち?
もりもと 創英角ポップ体と向き合う機会をくれたなと思いますよ。このフォントはなじみがありすぎて注目してこなかったので。近すぎて気付かないものってあるじゃないですか。そういう発見があるのがヤバTの曲のよさだと思います。まいばすけっとのフォントのことは知っていたけど「創英角ポップ体」という名前だとは知らなかったので勉強になりました。前に出した「君はクプアス」でもそうでしたけど、ヤバTの曲を聴くとちっちゃい博識につながりますよね。
しばた うちらこの曲についてめっちゃしゃべるやん。
メジャーデビューのときより反響があった
──3曲目の「はたちのうた」は毎日放送の人気番組「ちちんぷいぷい」の20周年ソングとして制作されました。
こやま 関西の人は全員観てる番組なんですよ。視聴率100%だと思います。
しばた ホンマですよ。
こやま 「ちちんぷいぷい」を放送している時間は、絶対みんな「ちちんぷいぷい」を観てますから。静岡でいう「とびっきり!しずおか」的な。もりもとも大学の頃は観てたろ?
もりもと 観てました。学校、今日は行かなくていいかなという日は観ていましたね。
こやま 学校は行けよ。
──こやまさんは「ちちんぷいぷい」の20周年記念ソングを担当することについて「小さい頃から見ている番組で、番組の感じも理解している。僕らにしか出来ないくらいじゃないか、他の人にはさせたくない」とアツいコメントをしていました(参照:ヤバTが「ちちんぷいぷい」20周年記念ソング制作「僕らにしか出来ない」)。
こやま 「ちちんぷいぷい」はホンマに関西だと影響力のある番組なんです。うちらみたいなうるさい系のバンドが「ちちんぷいぷい」に関わっているのは今まで観たことがなかったので、オファーがあったときは番組の挑戦を感じましたし。僕らは前に「キッチンぷいぷい」っていう料理コーナーに出させてもらったんですけど、そのときヤバTファンがめっちゃ盛り上がってTwitterのトレンド入りしたんですよ。めちゃくちゃ反響があった。
しばた だって普段全然連絡取らへんような、中学の同級生からTwitterのDMが来ましたもん。メジャーデビューのときは連絡して来なかったのに、「ちちんぷいぷい」に出たらDMが。
こやま ヘタしたらメジャーデビュー発表したときより反響がありましたよ。
──MVも「ちちんぷいぷい」の生放送の中で作って。
しばた 楽しかったですね。
こやま YouTubeには全編上がっていないんですが、生放送中に1曲まるまるMVを作ったのは思い出になりました。
──思い入れのある番組のアニバーサリーソングを作るということは、責任重大ですね。
こやま そうですね。でもこの曲もわりとスムーズにできました。自分が20歳のときのこととか思い出して作っていきましたね。
──20歳の頃のこやまさんはどんな感じだったんでしょう?
こやま 謎の不安がありましたね。就活とかせなあかんのかなとか。将来どうしようとか漠然とした不安がありました。
しばた こやまさんが20歳の頃、うちらがちょうどバンドを組み始めた頃で。
こやま 結局就活はせずバンドに行きましたけど。
──将来について迷っている人たちの心に響きそうな歌詞ですよね。
こやま 響いてください。
しばた 太字?
こやま 太字でお願いします。
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