ヤバイTシャツ屋さん|キャッチーさの中に隠した本当に伝えたいこと

皮肉を歌った“念押しソング”

──今回リリースされた「げんきいっぱい」のリード曲「鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック」は「"Galaxy of the Tank-top" TOUR 2018」の追加公演でタイトルを明かさずに初披露されました(参照:ヤバイTシャツ屋さん、夢はZepp5DAYS!“カフェ”も開店したツアー完遂)。この曲は「学校法人 日本教育財団 モード学園(東京・大阪・名古屋)2018年度TVCM」のタイアップソングですが、書き下ろす際に何かオーダーはあったんですか?

こやま 特になかったです。サビがCMに使われるからキャッチーな感じにしなあかんなと思って書いたらこうなりまして。モード学園に入ろうとしている人たちへのメッセージとして「なりたい自分になってください」という思いを込めて、あとは自分らのことを歌ってます。

──この曲は「ヤバみ」のアンサーソングだとライブでお話していましたが、どこがアンサーなんでしょう?

こやま 1stフルアルバムを出したときに「ヤバTの曲はメッセージ性がない」とか「中身がスカスカやな」って言われすぎて苛立ちを感じて、ちゃんとメッセージを込めてることがわかる曲を書こうと思って作ったのが「ヤバみ」なんです。でもその「ヤバみ」をリリースしても同じことを言われて悔しくて、それから1年経ってまたその思いを曲にしました。やから「ヤバみ」と同じことを歌ってます。

──「ヤバみ」と同じことを歌っているのであればアンサーはしてないですよね?

こやま そうか。アンサーやなかった。念押しソングです。

しばた 答えではないもんな(笑)。

──「無料サイト 動画サイト 違法アプリで音楽垂れ流し もうCDに価値はないんか もはやバンドはTシャツ屋さん」という歌詞は近年の音楽の聴き方に対してストレートに疑問を問いかけていますよね。でもヤバTはオリコン週間ランキングで5位以内を獲得してますし、CDが売れるバンドだと思うんですよ。この曲はどこに対して問いかけてるんですか?

こやま うーん。でも違法アプリのスクショを付けて「ヤバT聴いてます」ってTwitterでリプライしてくる子もいますから。音楽はすべて無料のものだと思ってる人がやっぱりいるんですよ。それにアーティスト側だってCD売るだけじゃ食べていけないから。そういうことへの皮肉です。

もりもと 僕らはいつも発売前に歌詞をTwitterで発表してるんですけど、この歌詞を出したときは「グサッと来た」という人がたくさんいましたね。

こやま ヤバTを応援している人たちの中では「違法アプリで聴くのはよそうな」っていう雰囲気になってきています。あと僕らはCDを売ろうとしてますからね。あきらめてないんです。数字がわかりやすいっていうのもあるし、やっぱりパッケージにこだわってるから。CDに付属するDVDだってちゃんと毎回撮り下ろしで映像を作ってるし。CDパッケージを手に取ってもらって、やっと僕らがやりたいことをわかってもらえるような気がするんですよ。だからCDを買ってもらえることがバンドをやっていて一番うれしいことです。

「鬼POP」はとにかく“強い”

──「鬼POP」を書くにあたって、過去のモード学園CMの曲も聴きましたか?

こやま いろいろ聴きましたけど、最初にもらった絵コンテがカラフルなイメージやったんで、そこに寄せていきました。

──映像に曲を付けるイメージでアレンジするというのは、映像ディレクターでもあるこやまさんならではのような気がします。

しばた ですよね。さすがこやまさん。

こやま やめーや。

しばたありぼぼ(B, Vo)

しばた この曲かなり好みなんですよ。テレビで流れるのを聴いて毎回「なんやこの曲!?」って思って画面を観ると自分らの曲っていう。

こやま あはは(笑)。僕もテレビつけたまま寝てて、CMが流れてくるとパッと目が覚める。

──ヤバTは新作を出すたびに新しい代表曲を生み出してますよね。いつまでも「パリピ」(「あつまれ!パーティーピーポー」)のバンドじゃないと言うか。

しばた さすがやこやまさん!

もりもと ひゅー!

こやま 恥ずかしいからやめえよ。

もりもと でも本当にこの曲はとにかく“強い”ですよね。メロディ、メッセージ性、ミュージックビデオ、どれをとってもとにかく“強い”。この曲に激しさはそんなにないんですけど、ちゃんとメッセージを込めた曲としてヤバTにとってこの先もフックになる曲だなと思います。初披露のときこそみんな聴き入ってる感じでしたけど、MVが公開されてからはサビをみんなが歌ってくれて。これを聴いてヤバTの「ヤバみな深み」に気付いてもらえたら。

──MVは今回もこやまさんが監督したんですね。

こやま モード学園って最先端なイメージがあったんで、逆を行こうと思ってグリーンバックの使い方を間違えてみました。

──3人の副音声もまた「ヤバみ」とリンクしてますよね。

こやま 念押しソングなんで。MVでもそこは引き継ぎました。

かかとブレーキ世代のORANGE RANGE

──そして「かかとローラー」は、こやまさんがかかとにローラーが付いた靴を履いた子供にぶつかられたというエピソードを元にした曲なんですよね。

こやま 1年以上前のことなんですけど、そのときは自分で注意することができひんくて。やっぱりここはアーティストなんで曲で伝えていかないとあかんなと思って作りました。

しばた きゃははは(笑)。

──かかとにローラーが付いた靴を皆さんは履いたことがないんですか? 世代的に履いてそうだなと思ったんですが。

しばた 私らはシューズやなくてインラインスケートやったんですよ。

もりもと 持ってたわー。むしろ“かかとブレーキ”。

──こういう王道ロックチューンを発表するのはひさしぶりですね。

しばた 1stアルバムに入ってた「DQNの車のミラーのところによくぶら下がってる大麻の形したやつ」「流行りのバンドのボーカルの男みんな声高い」以来ですね。

こやま こういう曲ってバンドマンから好かれるんですよね。けっこうツウな曲。歌詞は別として(笑)。

もりもと 歌詞はこやま節が効いてますよね。

──こういう歌詞があってのヤバTだと思います。もりもとさんは「Galaxy of the Tank-top」収録の「Universal Serial Bus」でがっつり歌うようになりましたが、「かかとローラー」でも主メロを歌ってますね。

ヤバイTシャツ屋さん

もりもと パートが増えてしまって……この前お酒を飲み過ぎて喉をつぶしたらしばたに怒られたんです。個人的にはちょっとかすれた自分の声もハスキーで好きなんですけど……「お前ドラムボーカルの自覚を持て!」と怒られて。

しばた もはやドラムボーカルやと思ってるんで。ボーカルやのに声枯らして。そりゃ怒りますよ。

もりもと いつかドラムコーラスからドラムボーカルになるのかもしれないですね。コーラスじゃなくて歌い上げる感じの歌割りやったんで。

──こうやって3人で歌ってみると声のバランスがいいですよね。

こやま 僕らはORANGE RANGEスタイルなんですよ。

しばた やから対バンできるのうれしいよな(参照:ORANGE RANGE主催「縁舞」第14回はヤバイTシャツ屋さんと)。高い声、ミドルな声、低い声みたいな歌い分けとか、歌の面でかなり参考にさせてもらってるんで。もりもとなんか歌い方寄せてるもんな。

もりもと まあ寄っちゃうよな。

こやま いつかこういう曲をリード曲に持ってきて、ヤバイTシャツ屋さんを終わりたいと思います。

しばた 終わるん!?

もりもと いやでも実は世間的にはこういう曲がリード曲になるのがいいのかもしれない。

こやま 求めてる人はおるかもしれへんけどフックにはならんで(笑)。

──こういう曲がカップリングに入ってるからこそCDを買おうと思うファンもいるんじゃないですか。

こやま それが理想ですね。

ヤバイTシャツ屋さん「げんきいっぱい」
2018年5月16日発売 / UNIVERSAL SIGMA / BADASS
ヤバイTシャツ屋さん「げんきいっぱい」完全生産限定盤

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[CD+DVD+タオル]
3240円 / UMCK-9942

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CD収録曲
  1. 鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック
  2. かかとローラー
  3. ざつにどうぶつしょうかい
  4. 鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック(岡崎体育 remix)
DVD収録内容
  • ヤバイTシャツ屋さんのげんきいっぱいツアー

ツアー情報

ヤバイTシャツ屋さん “げんきいっぱい” TOUR 2018
  • 2018年6月14日(木)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
  • 2018年6月15日(金)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
  • 2018年6月18日(月)大阪府 SOUND HOUSE RASPBERRY
  • 2018年6月20日(水)京都府 KBSホール
  • 2018年6月21日(木)京都府 KBSホール
ヤバイTシャツ屋さん(ヤバイティーシャツヤサン)
ヤバイTシャツ屋さん
こやまたくや(G, Vo)、しばたありぼぼ(B, Vo)、もりもともと(Dr, Cho)からなる男女ツインボーカルのスリーピースバンド。2013年10月に大阪芸術大学に通っていた3人により結成された。2015年に本格的に活動を開始し、「SUMMER SONIC 2015」の企画「出れんの!?サマソニ!?2015」では投票数が963組中2位という結果により出演権を獲得。ダイノジ大谷ノブ彦賞を受賞した。王道のメロコアサウンドと秀逸なリリックがロックファンのハートをつかみ、11月にフルアルバム「We love Tank-top」でユニバーサルミュージック内のレーベルUNIVERSAL SIGMAよりメジャーデビュー。2017年4月にニューシングル「どうぶつえんツアー」を発表し、5月にはワンマンツアー「“どうぶつえんツアー”ツアー 2017 ~ワンマン~」を開催。東京・新木場STUDIO COASTで行われた追加公演を含め、全公演のチケットをソールドアウトさせた。春から夏にかけては16の音楽フェスに出場。9月にはロッテ「キシリトールガム」の発売20周年記念プロジェクトのために書き下ろした楽曲「とりあえず噛む」などを収録したシングル「パイナップルせんぱい」と、新木場STUDIO COAST公演の模様を収めた初の映像作品「Tank-top of the DVD」を同時リリースした。2018年1月に2ndフルアルバム「Galaxy of the Tank-top」を発表。対バンを迎えたツアーを2カ月かけて行ったのち、追加公演として3月に東名阪のZeppでワンマンライブを実施した。さらに同月には「NHKフレッシャーズキャンペーン2018」のイメージキャラクターに抜擢され、5月には「学校法人 日本教育財団 モード学園(東京・大阪・名古屋)2018年度TVCM」のタイアップソングとして書き下ろした「鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック」を収録したシングル「げんきいっぱい」をリリース。6月にはメンバーの地元を回る凱旋ツアー「ヤバイTシャツ屋さん “げんきいっぱい” TOUR 2018」を行う。