WOWOW「YOASOBI『NICE TO MEET YOU』」放送記念インタビュー|2人の思いが詰まった「はじめまして」の武道館公演を振り返る (2/3)

「怪物」の演出はヤバすぎる

──それぞれが思うライブのハイライトシーンを教えてください。

Ayase やっぱり「優しい彗星」ですよね。ステージがリフトして、りらちゃん(ikura)はそこに腰掛けて歌うんですけど、踏ん張りがきかない足がブラブラの状態で歌うのってめちゃくちゃ難しいのによくやったなと思います。「りらちゃんがんばって」って気持ちで演奏していて、ふと顔を上げたら客席が星空みたいになっていたので本当に感動しました。あと、リハーサルのときは床に座って歌っているのでシュールで面白かったです(笑)。

Ayase

Ayase

ikura 何回も練習したしね(笑)。落ちサビで無音になって、そこからまた自分で歌いだすまでの練習はかなりたくさんしました。そこがズレたらそのあと全部ズレちゃうので、本番も緊張感がありましたね。私たちがライブをお届けしているのに、武道館が星空みたいになったあの瞬間は、お客さんからプレゼントをもらったような気持ちになりました。みんなでこの空間を温かく包み込んでくれてうれしかったです。

──2人はハイライトとして「優しい彗星」をラジオでも挙げていましたが、私は朗読パートがある「もしも命が描けたら」から代表曲の「夜に駆ける」、そして「怪物」の流れがすさまじかったなと思っていて。特に「怪物」の演出はステージが激しく駆動して、スモークも出て、炎も上がって、レーザーも飛び交うという(笑)。

Ayase 「怪物」の演出は、マジで頭が悪いですよ(笑)。カッコよすぎました。

ikura 油断したら体がどっかに行っちゃいそうみたいな感じでした(笑)。でもしっかり音に乗ってやりたいからがんばりましたね。炎の演出はお客さんもきっと暖かかったんじゃないですかね?

──暖かいを通り越して熱かったですよ。

Ayase 「怪物」の演出をリハーサルで外から見たんですけど、スタッフチームと観ながら「ヤバすぎる」って笑っていましたよ。僕以外のメンバーがあれを生で外から観られてないのが本当にかわいそう(笑)。あと床面の映像も事前に録ったものを加工して流していて。実は1日目と2日目で微妙に映像が違うんですよ。気付いた人はいるのかな? それ以外も1日目と2日目で違うところが少しずつあって、リフトの動き方とかも違うんです。実は衣装が違うだけじゃないんですよ。演出チームがギリギリまでいろいろ考えてやってくれた結果ですね。りらちゃん的ハイライトは「優しい彗星」以外であったりする?

ikura うーん……終盤にやった「ツバメ」がすごくよかったですね。本当に武道館が1つになっているのを感じて、歌いながら完全にゾーンに入っていました。みんなで1つの大きな波を作っている感じがして、客席が波打っているように見えたというか。

ikura

ikura

──現地では1階スタンドの前のほうで観ていたので床面の演出があまり見えなかったのですが、ライブ映像では床面のパネルに客席の様子が映っていて。あれはきっと武道館を飛んでいるツバメの視点ということですよね。

Ayase そうです。1階席の前のほうだとメンバーが近いという喜びがあり、2階席の後ろになるとメンバーとの距離はあるけど、全体像が見えて楽しめる。どこから観ても楽しめるライブにしたかったので、つまりはそれが成功していたということなんですよね。

ラフさを意識したMCにも注目

──ちなみに自分たちのライブ映像は何度も観ますか?

Ayase 曲はリリースしたあとに繰り返し聴かず、たまに聴く程度なんですけど、ライブ映像は観ます。こと武道館においてはもうめちゃくちゃ観ました。ライブが終わって家でまず観たし、そのあとも2、3回観ています。

ikura 私たちすーぐ観るからね(笑)。

Ayase うん。今のところ全部すぐ観てるよね。オンラインライブもその日のうちにすぐ観る。

ikura ちょっと時間が経ってからも観るし。

──それはなぜ?

ikura その日のうちに観るのとちょっと時間が経ってから観るのでは印象が違うので、何度も観てしまいますね。最初は興奮とともにあのときの感動をもう一度みたいな感じで観るんですけど、2週間くらい経ってからもう1回観ると今度は冷静な気持ちで次に向けての課題とかも反省点が見えてくる。なので何度も観ちゃいますね。

ikura(Photo by Kato Shumpei)

ikura(Photo by Kato Shumpei)

──次の課題を探すために観るなんて勉強熱心ですね。そういえば、Ayaseさんはラジオでikuraさんの武道館でのパフォーマンスをパーフェクトだと言っていましたが、その理由がそこにある気がします。

Ayase 1つも歌詞を間違えなかったのはマジですごい。僕はボーカリストが歌詞を間違えるのは全然あっていいこと、というかライブ感があってむしろいいのかなとも思っているんですけど、まさか2日間完璧に一言一句間違えずに歌いきるとは……。僕だってYOASOBIの歌詞全部間違えないで絶対歌えないですからね(笑)。

ikura 私も観る側だったらライブでは間違えてもいいと思うんですけど、私が歌うとなったら1つ間違えるとほかのところにもいろいろ支障が出ちゃうので。もう寝ながらでも歌えるくらい練習をしました。

──逆にikuraさんから見て武道館でのAyaseさんはどうでした?

ikura 私はお客さんのことを見ているので本番中はあまりAyaseさんのことを見れていないんですけど、終わってから映像を観たら煽りやMCが上手だなと思いました。しっかり指揮をとっているというか、Ayaseさんのペースに巻き込まれたいとみんなを思わせるような流れを作る天才だなって。

Ayase 最初はりらちゃんのMCに対して軽くツッコむくらいでいいと思っていたんですけど、なんせ彼女がやることがあまりにも多すぎて、MCまで任せるのはキャパオーバーすぎたので僕が代わりに(笑)。

Ayase(Photo by Kato Shumpei)

Ayase(Photo by Kato Shumpei)

ikura MCの安心感、すごかったですよ。

──YOASOBIはMCも面白いですよね。

Ayase 面白かったですか?

ikura ふにゃふにゃのMCじゃなかったですか?

──あのゆるさがアットホーム感を演出していたと思います。

ikura ラジオみたいなゆるさがあるほうが、きっとみんなが喜ぶんじゃないかって考えていたんですよ。

Ayase ガチガチに作りこんだものだけをあのステージ上でバーッとやって、MCも完全に作りこんでやることもできたんですよ。でもそれだとただショーを観ている感じになっちゃうなって。それよりも手作り感を出したかったし、みんなとコミュニケーションも取りたかった。やっと会えたファンの皆さんとの絶妙な距離感、ラフさみたいなものは意識していました。