WOWOW「生中継!DISH// ARENA LIVE 2022 “オトハラク”」特集|注目のバンドが見せる“新しい景色”をともに

DISH//が12月25日に東京・国立代々木競技場第一体育館で開催するワンマンライブ「DISH// ARENA LIVE 2022 “オトハラク”」の模様が、WOWOWプライムで生中継される。

「猫」の大ヒットをきっかけに活躍の場を大きく広げ、昨年には「NHK紅白歌合戦」への初出場を果たすなど、今や国民的バンドとして注目されているDISH//。「DISH// ARENA LIVE 2022 “オトハラク”」は、そんな彼らが初めて行うアリーナワンマンだ。

なお、WOWOWでDISH//の単独公演が生中継されるのも、今回が初めてのこと。今、彼らのライブを目撃すべき理由とは? 音楽ナタリーでは、DISH//が歩んできた唯一無二の10年間を振り返りながら、その魅力を紹介する。

文 / 三橋あずみ

11月15日に行われた「FIFAワールドカップ カタール 2022」に臨む日本代表の壮行会。戦いの地・カタールにいるSAMURAI BLUEの選手たちにエールを送るべく、DISH//は「SAMURAI BLUE 新しい景色を2022公式テーマソング」である「DAWN (in 2022)」の演奏を日本から届けた。その5日後に開幕した大会で、日本代表が不可能とも思われるような高い壁を破り続ける大躍進を見せ、日本中に大きな熱狂と感動を与えたのは誰もが知るところ。だが、その一方でDISH//もまた、誰も歩んだことのない道を進み、自らの手で“新しい景色”をつかみ取ってきたバンドだということを、どれほどの人が知っているだろう。

DISH//の歩みは、2011年の12月25日に始まった。結成当時、ボーカル・北村匠海(Vo, G)の年齢は14歳。「ダンスロックバンド」という肩書きとともにステージに立ち始めた彼らはまだ楽器初心者で、当初のパフォーマンススタイルは楽器を携えながら歌とダンスを披露する、というものだった。「結成当時はまだまだ僕らガキンチョで。右や左、あっちこっち向きながらも前に進んで、ここまでやってきました」。10年前のことを北村はのちにこう振り返り「DISH//の10年はたくさんの挫折と笑顔が入り混じった10年」だと表現している。

ティーンエイジャーならではの瑞々しさとがむしゃらさをたたえて青春を駆け抜けてゆく彼らは、2013年6月、テレビアニメ「NARUTO-ナルト- 疾風伝」のエンディングテーマ「I Can Hear」を表題曲とするシングルでメジャーデビュー。2015年には、初の東京・日本武道館でのワンマンを成功させる。精力的な活動を展開して邁進する日々の中、着実にそれぞれの楽器演奏スキルを上げてゆくメンバー。ライブを重ねるごとに演奏曲を増やしていった彼らが、表からは見えない場所でひたすらに積み上げてきたであろう努力の量はどれほどだったのか、想像に難くない。

2017年1月には、これまで不在だったドラマーのポジションで泉大智が加入。リズムを司るバンドの要を得たことで、DISH//のバンドとしての勢いは加速してゆく。また同年8月には、のちにDISH//最大のターニングポイントを作る1曲との出会いも待っていた。シングル「僕たちがやりました」のカップリング曲として、あいみょんから送られた楽曲。あいみょんが北村出演の映画「君の膵臓をたべたい」からインスピレーションを得て書き上げたその曲が、「猫」というバラードだった。

2020年3月、人気YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」に初出演したDISH//は、数あるレパートリーの中から「猫」を披露楽曲に選ぶ。バンドを代表して1人マイクの前に立った北村を支えるのは、バンドメンバーが事前に収録した、アコースティックバージョンの演奏音源。温かさの中に切なさがにじむ柔らかな音の上、主人公の張り裂けるような思いを鮮やかに浮き上がらせる北村の渾身の歌唱は聴く者の心を確かに揺さぶり、動画の再生回数はかつてないほどのスピードで上書きされてゆく。約2年半の間、“知られざる名曲”としてバンドとファンが大切に共有していた楽曲は社会現象を巻き起こすほどの大ヒット曲となり、DISH//の4人を新たな景色が見えるステージへと引き上げていった。

大きなチャンスをしっかりと手にし、テレビ各局の大型音楽特番への出演、「第72回 NHK紅白歌合戦」(2021年)への出場……と、着実に活躍の場を広げてきたDISH//。全国各地のロックフェスから声がかかるフェス常連バンドとなった彼らのパフォーマンススキルは、“現場”でより一層磨き上げられてゆく。最後方でパワフルなビートを刻み、バンドのグルーヴをコントロールする泉、キーボードとDJセットを駆使して多彩なサウンドを自在に操りながら、アグレッシブかつ情熱的なラップでオーディエンスを煽る橘柊生(DJ, Key)、シャープなギターサウンドとボーカルに寄り添う確かなコーラスワークで存在感を光らせる矢部昌暉(Cho, G)、楽曲の核心を捉え、豊かな表現でそれを解放する歌唱力と、圧倒的な求心力でステージのセンターに立つ北村。それぞれが長い歩みの中で手にしてきた鮮やかな個性が混ざり合って鳴り響くDISH//のバンドサウンドは、今や多くの音楽リスナーの心をつかんで離さない。またメンバーは近年、作詞作曲でもその才能を発揮しており、テレビ朝日系 木曜ドラマ「ザ・トラベルナース」の主題歌としてオンエアされていた最新曲「五明後日」では北村が作詞を担当。作曲は山崎まさよしとDISH//が共作している。

自分たちの手で方向を定めてまだ見ぬ道を切り開き、進化し続けてきた彼らの現在地。昨年12月、OKAMOTO'S、はっとり(マカロニえんぴつ)、あいみょんというバンドに縁の深い3組を迎えて行われた3DAYS公演「DISH// 10th Anniversary Live」の中で、北村は「10年前はやりたくてもできなかった『バンド演奏で盛り上がる』ってことが現実にできるようになって、はっとりくんやOKAMOTO'Sのみんなにも『DISH//はロックバンドだ』と言ってもらえて。DISH//として過ごせる今日が、最高に、最強に、超楽しいです!」と声を弾ませた。2022年初頭からは、過去にリリースされてきた楽曲の数々を鳴らし、“自分たちの血を通わせる”リテイクプロジェクト「再青」に取り組み、10周年の節目に過去と現在を“DISH//の音”でつないだ4人。そんな1年の締めくくりのライブとなる「DISH// ARENA LIVE 2022 “オトハラク”」は、バンドにとって初めてのアリーナ公演でもある。

東京・国立代々木競技場第一体育館公演当日は、奇しくもDISH//の11回目の結成記念日。新たな1年の始まりとも言えるこの日にアリーナ会場のステージに立つ4人は、きっと次の“新しい景色”を見せてくれるだろう。確かな進化の中で自分たちだけの音色を手に入れたDISH//の音楽=“オトハラク”が高らかに鳴り響くのを、楽しみに待とう。

プロフィール

DISH//(ディッシュ)

北村匠海(Vo, G)、矢部昌暉(Cho, G)、橘柊生(DJ, Key)、泉大智(Dr)の4人で構成される、演奏しながら歌って踊るダンスロックバンド。2011年12月に結成され、2013年6月にソニー・ミュージックレコーズよりシングル「I Can Hear」でメジャーデビューした。2015年からは4年連続、通算5回にわたり、元日に日本武道館での単独公演を開催する。2020年、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で北村が「猫」を歌う動画が話題を呼び、全バージョン合算のSNS・ストリーミング含む累計再生回数が10億回を突破するなど大ヒットを記録。2021年末、この曲で「第72回 NHK紅白歌合戦」に初出場する。映画やドラマ、舞台など、4人は個々でも活動を行っている。