WANIMAが歌いつないでいかないといけない歌

──3曲目に収録されている「切手のないおくりもの」も「カーセンサー」のテレビCMで使用されていますね（参照：WANIMA「切手のないおくりもの」がCM曲に、明日「めざましテレビ」でOA）。

KENTA　そうですね。

──どういう流れで財津和夫さんの「切手のないおくりもの」のカバーをすることに？

KENTA　これは「カーセンサー」から「切手のないおくりもの」のカバーをやらないか？って話がきて。

──その段階で曲は決まってたんですね。

KENTA　そうです。で、カバーするんやったら財津さんに話を聞きたいと思って、財津さんに会って「『切手のないおくりもの』をどうやって作ったんですか？」とか直接聞いたんですよ。そこで「切手のないおくりもの」に対しての気持ちも変わりましたし、俺らがちゃんと歌いつないでいかないといけない曲だなと思いました。

──そこで聞いた話を少し教えてもらえますか？

KENTA　「どういう思いで作られたんですか？」って聞いたら……。

FUJI　たくさんの方に届けたいと思って、と。

KENTA　自分たちが考えてることと一緒だなって思ったんです。

──「自分たちが考えてること」とは？

KENTA　たくさんの人に音楽を届けたい、っていうことです。財津さんの歌詞って、難しい言葉を使わないですよね。「わたしからあなたへ」って誰にでもわかるし、誰にも当てはまる。それもたくさんの人に届けたいからで、そういう言葉選びをするところも一緒だなと思いました。

──カバーは歌詞やリズムにアレンジが加えられて、WANIMAらしい仕上がりですね。

KENTA　3人で歌詞の意味をちゃんと理解した上で、ちょっとコードを変えたり、歌詞を変えたりしました。初めて聴いた人にはWANIMAの歌に思えるくらい、しっくりきてると思います。

──スカのリズムやドゥーワップも取り入れられていて。

KENTA　あれ、いいですよね。俺らハモりが好きなんでFUJIくんとKO-SHINに「こうやって歌ってみて。ああ気持ちいいやん」って感じで作っていきました。

FUJI　4番はコード進行を若干変えて、切なさを出してみたり。

KENTA　俺にとって財津さんの歌はすごく歌いやすくて。というのも俺とKO-SHINは中学校のとき、村の盆祭りでチューリップの「心の旅」とかをカバーさせてもらってたんです。

──バンドでですか？

KENTA　バンドでです。そうやって昔から財津さんの歌を歌っているので、アレンジは悩みましたけど、ボーカルとしては歌いやすかったです。あと財津さんの歌って温もりがあるやないですか。そういう歌に憧れているので、今回カバーできて、しかもご本人にお会いできて、本当によかったです。FUJIくん、アレも！ 財津さんになんて言われた？

FUJI　「WANIMAは鞘に収まらずそのまま突き進んでくれ」と。

KENTA　と言ってくださいました！ 突き進みます！

マイアミ × 熊本の「ぼした祭」＝「オドルヨル」

──話が前後しましたが、2曲目の「オドルヨル」はWANIMAには欠かせないエッチな曲で。

KENTA　俺らがいいと思ったものを、レーベルの人たちもいいと思ってくれるのがすごくうれしかったです。

──この歌詞は今までで一番エッチなんじゃないかと。

KENTA　そうでもないんですけどね、俺の中では。

FUJI　抑えたらしいですよ。

KENTA　例えば「花びら大回転」って歌詞にしても、俺らはその言葉を知っとるけど、知らない人からすると花びらが大回転するわけやからすごいきれいじゃないですか。今回はそういう言葉が持つ力を信じてみました。

──そうですか。

KENTA　俺がFUJIくんとKO-SHINに言ったのは「マイアミの朝と夜をイメージしてくれ」と。俺ら3人共マイアミ行ったことないんですけどね。写真を見せてイメージして。

FUJI　「これがマイアミか……！」と。

──この曲の夏っぽさはマイアミから来てるんですね。どうしてマイアミなんですか？

KENTA　なんかマイアミの怪しい感じというか……夕暮れになるにつれてだんだんそわそわしてくるみたいな、その感じがいいな、「オドルヨル」って感じやな、と思って。

FUJI　ちょっと情熱的な。

KENTA　あとこの曲には俺らの地元・熊本の土地柄が効いています。

FUJI　お祭り好きなところ。

──サウンドはサンバ調ですもんね。

KENTA　熊本に「ぼした祭」というのがあって。

FUJI　その祭で使われるサンバ調の音楽を「オドルヨル」に取り入れたんです。その音楽っていうのは、和楽器で演奏されてるんですけど、サンバホイッスルやトンチンっていう鐘も織り交ぜられていて。それを今回はサンバホイッスルとカウベルで表現しました。サンバ調のリズムをドラムで叩いてみたら、俺らの中で自然と「ぼした祭」の音楽が鳴ったんです。

KENTA　で、もっと怪しい感じを出すべく、KO-SHINがワウペダルを使ってるんですよ。

KO-SHIN　ワウは前に買ってたんですけど使ったことがなくて。ここで使ってみたらすごいハマりました。

FUJI　なんかすごいエッチなサウンドになったよね。

KENTA　ね！ エッチね！

──歌詞に「アモーレ」というフレーズが出てきますが……。

KENTA　「話題の『アモーレ』ですか？」って全部のインタビューで言われるんですよ。俺、その「アモーレ」全然知らなかったし、その言葉が流行ったときにはもうマスタリングも終わってたのに。俺ら、何かに寄せるとか大嫌いなんで、すげー悔しくて。この「アモーレ」は松任谷由実さんの「真夏の夜の夢」とか中森明菜さんの「ミ・アモーレ」をイメージして入れたんです！

──そうだったんですね。KENTAさんは音楽ナタリーでの対談でも松任谷さんが好きだと言っていましたもんね（参照：「YON FES 2016」特集　GEN（04 Limited Sazabys） × KENTA（WANIMA）対談）。いつもエッチな曲はリリース前にライブで演奏しているイメージがありますが、この曲もライブでやってますか？

KENTA　いや、まだやってないんですよ。「Hey!!」とか掛け声のフレーズがあるんで、1回聴いてもらわんと伝わらんかなと。聴いてもらった上で一緒に盛り上がりたいです。

FUJI　まさに「ともに」ですね（笑）。