ラクリマファンがWaiveの追い風に

SHUSE　まあ、今となっては、もっとみんなが「こういうの好き」っていうようなやつをやればよかったなって思うけど。わかりやすいことをね。

杉本　でも、そうじゃないのがLa'cryma Christiのよさだなと、「CROSS ROAD Fest」でめちゃくちゃ痛感したけどなあ。本当に「完全なる唯一無二」を見せられた感じがした。さすがにあのステージまで上り詰めてるバンドは全バンドなんらかの個性を持ってるなと思いましたけど、その中でもやっぱりほかにいないなって。La'cryma Christi以外ではこれを聴けないんだから、やらないとダメなんじゃないの？と思ったほど。かなり個性が強烈でしたよ。

SHUSE　僕ら以上にね、みんなのバンドもそれぞれのよさがすごい出てたよね。昔は対バンというともっと「今日の客、全部もらっていくぞ」みたいな気合いが入っていて……なんやったら楽屋でイチャイチャもせえへんみたいな。俺はもうそんな気持ち全然ないから「今日来たラクリマのファン、ほかのバンドが全部持って行きや～」ってPsycho le Cému のseekの番組で言ってて。seekは「全員持って帰ります！」って意気込んでたんやけど。当日、Plastic Treeの（有村）竜太朗に会って。竜太朗もパーマネントなバンドを続けてる身なんですよね。俺はずっと続けてるバンドのほうが偉いと思ってるし、PENICILLINとかPlastic Treeが今回のイベントで全員の客を持って行ったらええわと思ってたんやけど、竜太朗は「もうそんなのないよ、楽しくやりましょうよ」って言うて去っていった（笑）。大人の余裕やなと思って。その中でWaiveはすごくいいパフォーマンスをした。ライブが続いてた状況も功を奏したのか。武道館のチケットも……。

杉本　すごい売れましたね、ありがたいことに。

杉本善徳（Waive）

SHUSE　Waiveの出番のときはちょうど俺、メイクの時間で。直では観れんかってんけど、もちろんワンマンは何回も観に行ってるから「あ、この曲知ってるこの曲知ってる」って。改めてライブで曲を聴くことで、よりWaiveのキャッチーさを感じたイベントやった。俺はメイクしながら「今日は武道館のチケット死ぬほど売れるやろうなあ」と思いながら聴いてたんやけど。本人的にはどうやったん？

杉本　ツアーをやってたからコンディションはよかったんですけど、モニタ環境にトラブルがあって。でも、無音でもどうにかできる状態にバンドがなってたのは救いでしたね。「こう鳴ってるに違いない」を想像しながらやれたから、それもツアーのたまもの。あとは、本当にラクリマのファンの影響が僕はデカいと思ってるんです。「ラクリマを復活させてくれてありがとう」の気持ちを向けてくれるから。それが追い風になったなというのがある。それがなかったらこうはいかなかったんじゃないのかなと大いに感じてますね。

La'cryma Christi再結成の立役者・杉本善徳

──今回のLa'cryma Christi再結成は、杉本さんがメンバーを説得したそうですね。

SHUSE　俺は、善徳のおかげでラクリマがまた人前で演奏できることになったということで、善徳に感謝。

杉本　本当ですか。だとしたらうれしいです。

SHUSE　小さなピースが1個ずつ動いてなかったら、俺たちの再結成は実現できなかったなと。タイミング的にも、Waiveがゴールに向けて全力疾走している中でまだやり残したことがあるとして、それがLa'cryma Christiと対バンすることとフェスをやることだったのかな。そこで俺たちの名前を挙げてくれたのはすごくありがたいことで。別にラクリマ再結成させなくても、武道館に向かって全速力で走ればいいことだったと思うのよ。

杉本　ありがたいことにTAKAさんは「4日は僕歌いに行くよ」とまで言ってくれたんです。Waiveの前座でLa'cryma Christiが出て、そこで観客にウェーブをさせようっていう話を僕にしてきて……あれは冗談じゃなく本気で言ってくれていました。「夢を、武道館の夢を僕は見たんです」って。曲はどういうのがいいかな、とか、ほかの前座も出したほうがいいかな、みたいな（笑）。

SHUSE　そうやって、すべてが善徳の画策通り動いたんやな。実は、俺たちの復活ライブの日程が大阪は1月3、4日の2DAYSになる予定やったんですけど、4日を空けさせられるという（笑）。俺は4日の昼にチェックアウトして新幹線に乗って、東京駅から九段下へ向かえばいいというわけやね。まあ、冗談はさておき、Waiveの武道館が死守されてよかった。武道館までがんばってください。

SHUSE（La'cryma Christi）

杉本　ありがとうございます。

SHUSE　俺たちも1年限定でね、区切りのある活動をやるので。まずは一旦この1年、俺たちもファンもみんなが気持ちよくできる形を目指して、そこは一生懸命やるつもり。ライブは「Night Flight～Last Finale～」っていうタイトルになってるし、悔いのないようにしないと。そんなにいとも簡単にできないからさ。まあ、自分としては単純にプレイで成長した部分もいろいろあるから、そこに磨きをかけてというかブラッシュアップさせて、本番でうまくいくようにリハをがんばりたい。演奏しがいのあるバンドなので。同期も使わないから、自分のテンポで合わせてみんながついてくるし、逆もあったり。そこもちゃんとリハで整えて。さらに上を目指してがんばります。

杉本　僕も1月4日が終わったあとは、もちろんLa'cryma Christiを観に行きます。足を向けて寝られない関係ですし。

武道館ワンマンをやってもオリジン弁当を食う自分でいたい

SHUSE　1月4日の武道館が終わったあと、善徳はどうするの？ とりあえず武道館で燃え尽きる?

杉本　「CROSS ROAD Fest」のときにも「武道館のあと何するの？」っていろんな人から質問攻めにされたんですけど、本当に何も考えてなくて。終わってから思ったことに対しては行動していくだろうけど、現状はとにかく白紙であるべき。何か考えることがあったとしても「考えないようにする」を考える。僕の考えた結果出た答えとして、考えちゃいけないになってるから。マジでそうしか今は思ってないんですよね。

SHUSE　武道館が終わったら、ひょっとして仕事がない状態になるかもしれない？

杉本　こういう性格だから、翌日にはすぐ何か考えると思うんですけどね。現状は1月4日に夢中になりながらやって、帰ってから風呂入ってるときに「うわー、明日から無職やー」って思うのが今の僕の目標なので。2005年に解散したときも、ライブ終えて打ち上げ終えて、早朝に家で風呂入りながら「うわー、どうしよう」と思ったのがいまだに脳裏に焼き付いている。同じことをやって前向きに思えるようになるのが僕の今回の目標。明日から何しよう！って明るい気持ちで思いたいなって考えながらやってますね。

左から杉本善徳（Waive）、SHUSE（La'cryma Christi）。

SHUSE　そういえば俺も解散のとき、「無職や……」と思ったわ。

杉本　でしょ？

SHUSE　で、イタリアに行ったの。無限に時間あるからさ、このときしかできひんことしようって。

杉本　僕は、風呂に入りながら無職について考えようと思っているのと、武道館を終えたあとに家に帰って食うものはオリジン弁当って決めてるんです。初めて武道館に「SWEET TRANCE」で立たせてもらった日に食べたのがオリジン弁当だったから。武道館ワンマンをやってもオリジン弁当を食う自分でいたいなと思っていて。それだけは決めてます（笑）。