ナタリー PowerPush - VALSHE

素顔を明かし新たなステージへ

「赤い棘」と「STAR GATE」の対比

──2曲目に収録されている「赤い棘」はminatoさんの作詞。「信用なんて 結局は独りよがり」というフレーズもそうですが、非常にリアリティのある、生々しい歌詞ですね。

minatoには最初から「自分の中にある感情や本当に思っていることを歌っていきたい」って言ってたんですよね。minatoが作詞をした曲はこれまでにも多数あるんですけど、一緒に経験した出来事も多いし、いつもすごく気持ちを込めて歌えるんです。ずっと一緒に制作してるから、どういうつもりで書いたかもわかるし。しかも、この曲は誰しも経験してるようなことを歌ってると思うんですよ。

──そうですね。「状況も知らないで 軽く言ってくれるなよ、って事で」なんて、よく思います。

思いますよね。どういう職業であっても、どういう年代であっても、そういう気持ちは経験したことがあるんじゃないかなって。自分も例に漏れず、ですからね。活動の中でもちろんいいことも本当にたくさんあるんですけど、この歌詞にあるようなことを感じることも少なからずあって。人の心に土足で踏み込んでくる人には、いつか必ず手痛いしっぺ返しがある……という歌です。そういうことはブログやTwitterではなく、すべて歌の中で出していこうと思ってるので。

──そして3曲目の「STAR GATE」はファンタジックな世界観を持ったナンバーです。「赤い棘」とのコントラストも素晴らしいな、と。

「赤い棘」は歌詞もサウンドも生々しくてリアルな印象だから、その対比として3曲目はファンタジックなイメージにしたかったんです。もとになるコンセプト自体は実は現実的なんですけど、それを歌詞に落とし込むときはファンタジックな雰囲気だったり、ゲームをイメージさせる言葉に置き換えて。

──1曲1曲、すごく明確なビジョンがあるんですね。ジャケットやPVについてはどうですか? 今回は初めての実写ジャケットということもあるし、アートワークなども非常に重要だと思うのですが。

これまでのPVも自分でコンテを描かせてもらってたんです、実は。デビューから3年の間にデザインの勉強もしてきたので、そのぶん映像の表現に対してもさらに明確なものを提示できるようになってきたんじゃないかなって。ライブ衣装のデザインもそうですけど、実際に作ってくれる人の気持ちがわかっていたほうがいいと思うんです。「こういうものが作りたい」って言うだけじゃなくて、どういう部分が大変なのか?ということを知っていれば、こちらの要望を伝えるときもスムーズだし。細かいところまで話し合えるぶん、楽しいですからね。

ルーツはデジタルロック、アニメソング、ゲームソング

──VALSHEさん自身の音楽的なルーツについても聞きたいのですが、音楽を聴き始めたのはいつ頃ですか?

物心がついたときから音楽には触れていましたし、大好きでした。そうですね、たぶん3、4歳くらいのときには歌ってたんじゃないかなって。今と大きく違うのは、人前で歌うのは絶対にイヤだったことですね。自分は覚えてないんですけど、どうやらすごく恥ずかしかったようで。

──10代の頃はやっぱりロックですか?

VALSHE

デジタルサウンドを軸にしたロックを聴くことが多かったと思います。そういうサウンドを好きになったのは、やっぱり中高生あたりですね。あとはアニメソングもすごく聴いてましたね。アニメと楽曲がリンクしてる感じがすごくいいなって。

──例えばどんな曲ですか?

取って付けたみたいに思われるかもしれないけど、「コナン」の主題歌は好きでしたね。1話からずっと観ていて、一緒に育ってるような感じなので(笑)。あとは「ガンダム」にもデジタルサウンドを取り入れた曲があったし、ゲームのサントラもよく聴いてました。そこもルーツになってると思いますね。

──「ファイナルファンタジー」シリーズとか?

はい! 今でもしょっちゅう聴いてます。1人っ子のせいか、対戦ゲームよりもRPGのほうが好きなんですよね(笑)。

──デジタルサウンドを基調にしたロックにしてもアニメソングにしても、今のVALSHEさんの活動のベースになってますよね。

そうなんですよね。聴いてる音楽と歌える曲が違うこともあると思うんですけど、自分の場合はデビュー当時から「デジタルサウンドが合う」とminatoに言ってもらっていて。願ったり叶ったりというか、すごく幸せですね。もし「ジャズに向いてる」って言われてたら、たぶん(歌手を)やってないと思うので。

──(笑)。ただ、VALSHEさんの楽曲はすごく難易度が高いですよね。「Butterfly Core」もそうですけど、速いBPMの中でメロディが激しく動いてるし、キー自体もかなり高くて。

自分にとっては歌いやすいんです。minatoが自分のボーカルに合った音域、メロディ、BPMを理解してくれてるので、すごく安心して歌えるというか。ブレスの位置が少ないなと思うことはあるけど、難解なメロディや疾走感のある曲も好きだし。

ニューシングル「Butterfly Core」/ 2013年11月27日発売 / ビーイング
通常盤[CD] 1300円 / JBCZ-4007
初回限定盤A[CD+DVD] [CD] 0000円 / JBCZ-4006
初回限定盤B[CD2枚組] 1500円 / JBCZ-4007
収録曲
  1. Butterfly Core
  2. 赤い棘
  3. STAR GATE
  4. Butterfly Core -Instrumental-
  5. 赤い棘 -Instrumental-
  6. STAR GATE -Instrumental-
初回限定盤A DVD収録内容
  • “Butterfly Core” MUSIC VIDEO
  • “Butterfly Core” TV SPOT
  • VALSHEドキドキ♥入社面接
初回限定盤B CD収録曲
  • VALSHE RADIO ~スマホでかすぎて親指届かない編~(前編)
  • Growing of my heart(原曲:倉木麻衣)
  • VALSHE RADIO ~スマホでかすぎて親指届かない編~(後編)
VALSHE(ばるしぇ)

アニメファンやネットユーザーを中心に支持を集める女性シンガー。2010年のメジャーデビュー以来精力的に作品を発表し、これまでにミニアルバム、フルアルバム、シングル5作をリリースしている。2013年11月27日、人気アニメ「名探偵コナン」のオープニングテーマに採用された「Butterfly Core」を6thシングルとして発売。このタイミングでアーティストビジュアルを従来のイラストから実写へ一新し、大きな反響を呼んだ。11月30日には初のライブイベントをファンクラブ会員限定で開催する。中性的なハスキーボイスで歌われる力強いロックサウンドが魅力。