音楽ナタリー PowerPush - VALSHE
依存からの脱却と“TRANSFORM”
シングル「Butterfly Core」がUSENのJ-POPチャートとアニメチャートで1位を獲得。さらに2ndアルバム「V.D.」がオリコン週間ランキングでトップ10入りするなど、知名度&セールスともに上昇カーブを描いているVALSHEから、ニューシングル「TRANSFORM / marvelous road」が届けられた。デジタルロックにクラシカルな要素が加わった「TRANSFORM」は、「V.D.」発表後の彼女の変化がリアルに反映されたナンバー。また、VALSHEの声優デビュー作でもあるノベルアプリ「WRITERZ」のテーマソングとして制作された「marvelous road」は、VALSHE流の応援歌とも言える楽曲に仕上がっている。
「V.D.」以降の心境の変化、そして新たな進化を遂げた本作について、VALSHE自身にたっぷりと語ってもらった。
取材・文 / 森朋之
いちスタッフという感覚から自立しようとした
──アルバム「V.D.」がオリコンランキングでトップ10入りして、周囲からの反響も大きかったんじゃないですか?
自分自身はランキングみたいなものはあんまり気にしてないんです。ただ、「Butterfly Core」から「V.D.」にかけて、今まで自分の音楽を聴いたことがなかった人たちに届いている手応えを感じる瞬間が多くて、それはすごくうれしかったですね。お手紙やブログ、Twitterへのコメント、ラジオに出演させていただいたときのお便りも含めて、このタイミングで初めて興味を持ってくださる方が増えているというか。「子供と一緒にVALSHEさんのアルバムを聴いています」という親御さんからお便りをいただくこともあるんですよ、最近。
──リスナーの幅も広がっている、と。今回のシングルは注目度が上がっている中でのリリースとなるわけですが、VALSHEさんにとっては変化の1枚と言えそうですね。
はい。「V.D.」は“VALSHEのすべてを解放する”というコンセプトで制作していたんですが、今回のシングルは、あのアルバムをリリースしたからこそ生まれた感情、新しい環境、そこから芽生えた心境をもとに作ったんですよね。それ以前は、まず楽曲のデモが先にあって、そのサウンドに合うモチーフを探しながら制作してたんです。今回はタイムリーな感情がもとになっているので、作り方はまったく異なっていますね。
──歌詞に関しては「愛したいのも愛されるのも 生まれ変わった僕だ」というサビのフレーズがとても印象的でした。
それこそが「TRANSFORM」の要となるキーワードだし、そこに集約されていると思います。2014年の初めは「今年は新しいことをやっていきたい」と漠然と思ってたんですね。実写になったことで「これから新しいことをたくさんやっていける」という期待も込めて。その中で発見した新しい気付き──「これは自分の転機になるだろうな」という気持ちを歌詞に詰め込んでいったというか。
──“新しい気付き”というのは、具体的にどんなことなんですか?
大きなところで言うと「VALSHEとはどこまでいっても自分自身のことなんだ」ということですね。これまでのインタビューの中でも“チームVALSHE”という言葉がたびたび出ていたと思うんですが、みんなでVALSHEを作っているというか、自分自身もいちスタッフみたいな感覚でいたんです。自分がCDのジャケットに写ってるということにも違和感があったし、「自分だけ写っていてもいいのかな?」と思うようなこともあって。
──デビュー以来、VALSHEさんのビジュアルはずっとイラストだったわけですからね。
自分自身もそうだし、周りのスタッフの人たちもそうだと思うんですけど、悪く言うと依存し合ってたのかなって。でも、ライブのときにステージに立つのは自分しかいないし、歌を通して何かを直接伝えるのも自分じゃないですか。こういう活動を続けていく中で、もっと自立しようという気持ちだったり「VALSHEは自分しかいないんだ」という思いが生まれてきたんですよね。それは自分だけじゃなくて、サウンドプロデューサーのminatoも同じだったんです。1人ひとりが自立して、やるべきことに注力することで、さらにいい環境を作れるんじゃないか、と。
──個の力を強めることによって、チームとしての機能を高める、と。
もちろん、今までもいい体制で活動してこれたとは思うんです。でも、このタイミングで気付いたことを生かせれば、もっと進化できるんじゃないかなって。自分自身も「支えてくれる人たちの期待に応えたい」と思えるようになったし、それはまさに進化であり、“TRANSFORM”だと思ったんですよね。
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- ニューシングル「TRANSFORM / marvelous road」/ 2014年7月16日発売 / ビーイング
- 初回限定盤A / VALSHE盤 [CD+DVD] 1749円 / JBCZ-4009
- 初回限定盤B / WRITERZ盤 [2CD] 1543円 / JBCZ-4010
- 通常盤 [CD] 1337円 / JBCZ-4011
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収録曲
- TRANSFORM
- marvelous road
- Chewing girl
- TRANSFORM -Instrumental-
- marvelous road -Instrumental-
- Chewing girl -Instrumental-
初回限定盤A / VALSHE盤 DVD収録内容
- “TRANSFORM” MUSIC VIDEO
- ばる散歩 ~川越編~
初回限定盤B / WRITERZ盤 CD収録曲
- VALSHE RADIO ~スマホ落としてトイレに流れる編~
- つぐない(原曲:テレサ・テン)
- VALSHE RADIO ~スマホ落としてトイレが壊れる編~
- THE Quizzical BOX ~TRANSFORM / marvelous road Zepp Tour 2014~
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2014年7月30日(水)大阪府 Zepp Namba
- [第1部]OPEN 14:30 / START 15:30
- [第2部]OPEN 17:30 / START 18:30
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2014年8月3日(日)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
- [第1部]OPEN 13:30 / START 14:30
- [第2部]OPEN 16:30 / START 17:30
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2014年8月20日(水)愛知県 Zepp Nagoya
- [第1部]OPEN 14:30 / START 15:30
- [第2部]OPEN 17:30 / START 18:30
VALSHE(バルシェ)
アニメファンやネットユーザーを中心に支持を集める女性シンガー。2010年のメジャーデビュー以来ミニアルバム、フルアルバム、シングルと精力的に作品をリリースしている。2013年11月、人気アニメ「名探偵コナン」のオープニングテーマに採用された「Butterfly Core」を6thシングルとして発売。このタイミングでアーティストビジュアルを従来のイラストから実写へ一新し、大きな反響を呼んだ。2014年2月にリリースした2ndフルアルバム「V.D.」はオリコン週間ランキングにて10位を記録。7月には両A面シングル「TRANSFORM / marvelous road」を発表する。中性的なハスキーボイスで歌われる力強いロックサウンドが魅力。