UVERworld特集|「何が来ても立ち向かう覚悟があります」TAKUYA∞が明かす、結成20年を経てたどり着いた境地 (3/3)

僕の人生、このままやりきれたらもういいと思うところまで突き詰められた

──それも自信のなせる業だろうし、楽しんでやれているからこそだろうと思います。 「OUR ALWAYS」には、先ほども話に出たように「UVERworldであれることへの感謝」がつづられていますけど、メンバーのことを「家族というより 仲間というより 本当の命の恩人」とまで言えるのはなかなかすごいことだと思うし、普通は気恥ずかしくてなかなか言えないことでもあるように思います。ここまで言えるのはなぜでしょうか?

それはもう、歌詞そのままですけどね。完全に文字通り命の恩人だと思ってるんです、お互いのことを。みんながいなかったら僕自身もここにいるわけないし、絶対に。この曲を書いてるときは、なんかすげえ不思議な気持ちになりましたね。「ああ、今の自分にはこれが歌えるんや」っていう。世間的には仲がいいと認知されてるけど実はそんなに仲がよくないバンドには、これは絶対に作れないんですよ。こういう曲ってなんか気持ち悪いし、むずがゆくなるし(笑)。ファンが喜ぶからという理由だけで、ビジネスとして割り切って書けるものじゃないというか。でも実際、ほかのメンバー5人は僕のことを命の恩人やと思ってるだろうし、このバンドがなかったら信人とかは生きてなかったかもしれない(笑)。僕だってUVERworldがなかったら、ここにはいなかったはずで。だから今回のアルバムの前半の4曲については、ホントに歌詞を書きながら泣いたし、歌を歌いながら涙が出たし、完成したときには何かに感謝してましたね。こういう曲と出会えてよかったなって。「ああ、こういう曲に出会えるんや」って思えたし。当初、この「OUR ALWAYS」の歌詞は、4パターンぐらい考えてあったんですよね。言葉を羅列するだけみたいなパターンもあった。だけどどれもしっくりこなかったんで、このオケはしばらく放置しておくかな、と思ってたんです。そんなときにふと「バンドを愛してきた理由」みたいなフレーズが浮かんできて……。

──それがこの曲を完成へと導いていくことになったわけですね?

うん。自分は別に、音楽だけが好きなわけじゃないんだってわかってるんです。というか、ミュージシャンズミュージシャン的な人たちとしゃべると、ちょっと劣等感を覚えたりすることがあるんですよ。例えばね、伝説的な人たちとされる過去の大御所バンドの音楽を聴くと、僕には全部同じに聞こえてしまうというか、その魅力について理解できひんところがあって。でもほんまに音楽好きな人って、「あの日のライブのあの曲がさあ」とか、そういう話で盛り上がるじゃないですか。そういう輪の中に入ると、ちょっとついていけないんですよね。「ああ、俺、やっぱ音楽が好きじゃないのかな」と思わされる。僕はただライブが好きでUVERworldが好きで、そのUVERworldを好きでいる理由というのは、メンバーがマジでいいやつらだからなんですよ。大好きなんです、あいつらのこと。そのことについて書こうと思ったら一気に世界が広がってきて。だからこれも4、5時間で書き上げましたね。書き終えたとき、感謝の気持ちでいっぱいでした。この曲に出会えてうれしかった、というのもあったし。

──つまり、その気持ちを書かせてくれた曲ということですもんね。こうしてアルバムが1枚完成したことによって、今現在の自分がやりたいこと、言いたいことはこういうことだったんだな、と頭の中で改めて確認できたような部分もあるんじゃないかと思うんです。

自分が今一番言いたかったことという意味では、「One stroke for freedom」で全部言えてるなとも思いますね。自分から発信して伝えたいこと、という意味では。それに対して「EN」はもう、自分が発信してるというよりも、これまで毎回自分に対して投げかけてきた言葉でもあるような気がします。

──そういうものを書いているからこそ多くの人にも届くんじゃないかな、と思います。

そうですね。もうホントに、余計なことを考えてないというか、いろんなことを細分化しないほうがいいと思ってて。今はもう、とにかく自分に響くものを書けばいいっていうところに来てるんです。2周ぐらい回ってようやくそこに気付けた。自分にさえ響けば、絶対コアなファンの人たちとか今の自分たちを理解してくれてる人たちには、どこか違う角度から刺さるはずだって信じるしかないと思ってる。そこで余計なことを考えて、いろんな人に伝わるような言葉とかをひねり出そうとするのは、もう僕らにとっては必要のないことというか。僕の人生、このままやりきれたらもういいと思うところまで、突き詰められたんですよね。まとまったんです、もうこれで。だからもうブレることもない。

TAKUYA∞(Vo)

TAKUYA∞(Vo)

──答えがまとまったのも、考える時間がたっぷりあったからこそ、ということになるんでしょうか?

それもあると思いますね。この2年間でホントに何がしたいのかというのが浮き彫りになった気もするし。何しろライブが奪われるなんて思ってなかったですからね。

──変な話、CDが出せなくなることがあったとしてもライブはずっと続けていけると思っていたはずですよね?

うん。一番当たり前にあるはずのものが失われてしまった。だからそこで気付けた部分があると思うんです。音楽をやっていくうえで何が一番大事なのか、みたいなところが。

──一番うまいボーカリストになることでも、優れたソングライターとして認められるようになることでもなく、UVERworldを続けていくことが結局は最重要ということですか?

間違いないですね。もともと、前からあきらめるつもりはまったくなかったけども、もっと没頭したいですね。自分の好きな、大好きなUVERworldに没頭したい。

何が来ても立ち向かう覚悟があります

──TAKUYA∞さんはUVERworldの終わりを見据えていないですよね。でも、例えばロックバンドが何歳ぐらいまでやっていけるものなのかとか、そういうこともある程度は考える必要があるのかもしれません。会社員もいつか定年退職を迎え、その後の生活のあり方など考えるものです。そういう想像をすることもまったくないんですか?

全然ないです。そこに怯えず、無鉄砲に走っていける体力はありますからね。だからもう、何も恐れることなく好きな音楽に没頭するだけ、というところに来れてるんです。

──例えばUVERworldの場合、アリーナ規模で1日2回のステージを連日やったりもして、1本でもめちゃくちゃ体力を消耗するはずですよね。今、無鉄砲という言葉が出ましたけど、単純に体力的に考えても、いつまでも普通に続けられることじゃないと思うんですよ。

まあそこは不安といえば不安なのかもしれないですけど、それを続けていくために体力とかをしっかりと維持していくうえでは、おそらく金メダルを目指して誰よりもストイックにがんばってるアスリートたちに匹敵するぐらいのことをやってるつもりなんです。幸い、プロボクサーのチャンピオンとか野球選手とか、実際に金メダルを獲った方とかにお会いしてお話をすることもありますけど、負けてるな、と思ったことがないです。普段の食生活についても、体のコンディションを保っていくためのやり方についても。いつもその時点での最新情報をアップデートしながら、それを自分で取り込んでやっていくっていうことについて、全然努力だとは思ってなくて。それが好きでやってるんです。だから実際、大変なことではあるし、いつまでできるかなと思うことも当然あるんですけど、それよりも全然、自分の目の前にあるものに挑戦していきたい気持ちのほうが強くて。もうそこから逃げるということはないし、やれるまでやりますね。ずっとできるような気もしてるし。

──しかもそれがTAKUYA∞さんだけが考えていることじゃなくて、バンドとして足並みがそろった状態にある。

そうなんです。1人じゃないんですよ。メンバー全員、そうやって続けていく心の準備ができてるんで。

──まさに不安材料も死角もない状態。しかしながら、バンドというのは、作品を出してはツアーでそれを消化し、そこで得たものをまた次の作品に反映させ、ということを繰り返していくものだと思うんですが、そういう時間の流れも変わってしまったし、この先もどうなるかわからないところがあります。そこについてはどう考えていますか?

そこについても、なんとも思ってないですね。この2年間、僕ら、1回も止まらなかったですからね。配信ライブについても、この規模で活動してるメジャーアーティストの中で、早くにやったはずなんですよ。「結成日に俺たちが先陣を切ってやるんだ」と言って、去年の6月にやって。毎年恒例でやってきたアリーナツアーも歩みを止めずにやってるし、匍匐前進みたいな感じではあるけども、この2年間じりじり前に進み続けてるっていう実感もあったんですね。で、ここから状況がどうなっていくかは誰にもわからないことだと思うんですけど、仮にそれがひどくなろうが、この姿勢が変わることはないし、僕はじりじりと匍匐前進で進みながら曲を書き続けていくし、なんの心配もないですね。2022年に向けてもまったく不安はないし、何が来てもそれに立ち向かう覚悟があります。だからこそこのアルバムができたんだと思ってます。

TAKUYA∞(Vo)

TAKUYA∞(Vo)

プロフィール

UVERworld(ウーバーワールド)

幼なじみのTAKUYA∞(Vo)と信人(B)らを中心に滋賀出身で結成されたロックバンド。2005年7月にシングル「D-tecnoLife」でメジャーデビューを果たす。ライブハウスからホール、アリーナ、ドームまで1年を通してライブ活動を精力的に行い、2008年より毎年12月25日に東京・日本武道館でクリスマスライブを開催するなど、常に大きな注目を浴びる。2011年より男性限定ライブ「男祭り」を始め、2017年には埼玉・さいたまスーパーアリーナで約2万3000人の会場キャパシティを男性客のみで埋めるという日本記録を樹立。2019年12月に東京・東京ドームで約4万5000人の男性客を動員する「KING'S PARADE 男祭り FINAL」を行い、その日本記録を自ら更新した。2021年は6月と9月に神奈川・横浜アリーナでワンマンライブを行い、その後10月よりアリーナツアー「UVERworld ARENA LIVE 2021 ~THE DAWN WILL BREAK~」、ライブハウス公演「UVERworld POWER OF GIG 2021」を開催。11月に綾野剛が主演を務めるカンテレ・フジテレビ系ドラマ「アバランチ」の主題歌「AVALANCHE」をシングルリリースし、12月に約2年ぶりのオリジナルアルバム「30」を発表した。