UVERworld|TAKUYA∞が語る、貪欲に音楽を追求する理由

音楽の楽しみ方を取り戻した

──先ほど「生みの苦しみ」という言葉も出ましたけど、それはここ数年で強くなっているものなんですか?

TAKUYA∞(Vo)

それさえも楽しめてたつもりではありますけど、やっぱり年々曲作りのハードルが上がっているので、それに伴ってリリースのサイクルが遅れたりするのは、ファンは面白くないだろうなと思ったりもします。僕たち自身もコンスタントに毎年ツアーをやっていきたいし、もっといい循環にするためには、音楽本来の楽しみ方を取り戻すべきだと思ったと言うか。UVERworldを結成したばっかりのときは、1日3曲とか作ってましたから。

──まさに初期衝動ですね。エネルギーもアイデアもあり余ってた。

今、その頃の感覚を取り戻したっていう感じですね。

──結成18年を経て、これから20年、30年と音楽を続けていくためにも、新しい刺激を受けることは、バンドにとって必要なことだったんでしょうね。

うん、やってよかったです。

──海外のクリエイターと一緒に制作できたことで、画期的に変わったと思えることはほかにありましたか?

自分のクセから離れていけたというのはありますね。例えば難しいメロディとか。UVERworldの曲は、同業の人でさえ「歌えない」って言うんですけど、今回はキーの設定だったり、メロディの譜割がシンプルになったと思います。音質のしょぼいところで作ると、不安になって、いろいろな音を足そうとしようとするんですけど。今回は音質がいい環境で作ったので、余計な音を入れようとは思わなくなったんです。

自由に、趣味のように音楽を続けていきたい

──「EDENへ」の歌詞では、「僕を救ったレコード会社も だいたい目的は同じ みんなお金のため」と歌っていますが。

もちろんレコード会社には感謝してるし、良好な関係を築けてると思ってるので、決してレコード会社を攻撃するようなつもりではないんですけど。お金とか名誉とは離れたところで、本当の自分たちの幸せっていうものを表現したかったんです。

TAKUYA∞(Vo)

──ええ。TAKUYA∞さんの価値観として、もし「お金 vs 心」の構図があったとして、大切にしたいのは「心」のほうだろうなっていう。

恥ずかしいですね、その話。こういう話を文字で伝えたときに、「寒っ」て思われそうだし、だから歌にしてると思うんですけど。自分はある程度、好きなものも食えるし、好きなものも買える貯えもあるけども、それで全部は満たされなかったっていうのが答えだと思うんですよ。生きていく中で最終的に、どうあれば納得できるかなと思ったときに、結局、人間関係とかそういうものが大切だなと思ってるので。

──わかります。「GOOD and EVIL」も「EDENへ」もサウンドとしては新しいアプローチを取り入れてますけど、歌詞は、「自分らしく生きる」とか「心のままに生きる」といった、今UVERworldがバンドとして訴えているメッセージが貫かれていますね。

そこは歌いたいことしか歌わないから、自分の軸としてブレないんです。歌いたくないことも歌う人は、そこがブレていくんでしょうけどね。

──今回の2曲を完成させてみて、最初に話していたような「新鮮なことをやりたい」という欲求が満たされた部分はありますか?

まだまだ行けると思っています。今までやってきたものをひっくり返すぐらい、まったく違うフェーズに一気に行くのは難しくて。今は徐々に行きたいところに進んでる感じです。また、ゴールに着く頃には違うところを見てるだろうなと思いますし。そうやって、ほぼ趣味のように曲を作っていけるのが、とても幸せだなあと思ってます。

──メジャーのアーティストとして活動していく中で、売り上げやライブの動員も意識すると思いますけど、そこで「趣味のように」と言えるのは、今だからこそ?

うん。デビューして初めの3、4年は、売れたかったし、結果が欲しかったし、思い返せば、自分の歌いたくないことも歌ったような気もするんですよ。それは面白くなかったし、つらい時期だった。もちろん、その時期があって、いろいろな人が協力してくれて、今があるっていうのは間違いないんですけど。もうあの頃には戻りたくない。今はどこかで吹っ切れたところはありますね。正直、これが何枚売れたらいいとかは考えてないです。リリースしたあと何枚売れたかは聞きたくなりますけど、「売れなきゃいけない」とは思わないですね。今は自由に、趣味のように、思いっきりやりたいです。