TRI4TH|踊って、叫んで、歌って 新たな進化を聴かせるメジャー2ndアルバム

折れない気持ち、負けない心

──6曲目に収録されている「Sunny Side」は織田さんの曲です。

織田祐亮(Tp)

織田 これは最後にできた曲でした。「もう1曲足したいね」という話になって、これまでになかったタイプで、フェスの場でもみんなで楽しめるような曲を目指しました。意外にもメジャーなキーで初めてオーセンティックなスカにチャレンジした曲になりました。

──「Landscape」は関谷さんの曲です。JR京都のタイアップが似合いそうな、シンプルだけど郷愁を感じさせる主旋律がいいですね。

関谷 やった! うれしいです。メロディが立ったバラードを作りたくて、僕の持ち込んだ短いメロディを、みんなでちょっとずつ広げていった曲でした。省二郎さんのミックスが本当に自由で楽しい。ぜひ、ヘッドホンで聴いていただきたい。

伊藤 ヘッドホンで聴くとびっくりするよね。

──「BANDWAGON」は織田さんの曲です。

織田 実は「ANTHOLOGY」の頃からすでにアイデアがあった曲で。もう13年このバンドを続けているんですが、ずっと車で移動しているので、本当にツアー中の車内で書いた曲なんです(笑)。

──この曲は、伊藤さんのドラムの粒が立っていますね。

伊藤 さきほどお話しした通り、これまでとは違うスタジオで一番狭いブースにドラムを入れて録りました。もう目の前が壁くらいの本当に小さなブースで、かなりデッドなミュートをして。プレイ自体はそこまで難解じゃないんですが、音が際立っている分、そう聴こえるのかもしれませんね。

織田 省二郎さん先導でがらっとイメージが変わった曲だったね。省二郎さんからは本当にたくさんのアイデアをいただきました。

関谷 ベースも、省二郎さんのアイデアでエレクトリックのアップライトベースを使いました。

──「Stinger」は関谷さん曲です。アンサンブルがスリリングですね。

関谷 そうですね。「激しい」「うるさい」「やかましい」の三拍子がそろったTRI4THらしいサウンドとも言えますね。アレンジがすごく大変で、10回くらい書き直しました。譜面も10バージョンくらいあります。つぎはぎしたから、ほとんどフランケンシュタイン(笑)。

藤田 ほかのメンバーは、一度ボツになった曲は「じゃあこれはやめて別の曲を書こう」となるんですが、関谷くんは同じ曲を何度も持ってくる(笑)。しかも、これ、最後は別の曲のCメロを持ってきたよね(笑)。

関谷 折れない気持ちだよ。負けない心!

一同 (笑)。

──「Hasty Rag」は織田さん曲です。「猫ふんじゃった」のような軽やかな楽しさがあって。

織田 ディズニーランドで流れているようなラグタイムをイメージしました。あと、竹内くんのカッコいい速弾きを皆さんにお聴かせしたかった。中間の竹内くんのソロがすごくいいんですよ。

──「Night Dream」はその竹内さん曲です。ラテンなテイストの曲調ですね。

竹内 こういう三拍子も、案外やっていなかったんですよね。

──そう思うと、まだまだTRI4THには未開の部分が多いというか、伸びしろが豊富ですよね。

藤田 本当ですか?

伊藤 それはうれしいですね。

竹内 曲のこだわりの構成とか、ソロであえて音をぶった切るとか、本当に今回は1曲1曲がチャレンジでしたね。あと、個人的に、この曲順で全曲が並んで面白かったのが、時間の経過が感じられたことでした。「Wake Up」から始まって、真ん中に「Sunny Side」があって、この「Night Dream」を経て、最後の曲には「Tonight」という言葉が入っている。自分たちではそれほど意識していなかったのに。

──あの、そこはてっきり、自覚的に考えて並べているんだろうなあと思っていましたが……。

伊藤 ……いや、考えていましたよ! 当たり前じゃないですか!?

織田 狙ってたもんね(笑)。

伊藤 「僕たちは緻密に考えていた」と書いておいてください(笑)。

──ラストの「Sing Along Tonight」は関谷さんの曲で、歌詞は伊藤さんの書き下ろしです。

関谷 これもフェスの場で有効なキラーチューンを作ろうと、伊藤さんと話し合って作りました。僕、まだまだ知らないジャンルがいっぱいあるんですよ。この曲は、伊藤さんから「こういうのもカッコいいよ?」とアイリッシュパンクをいくつか聴かせてもらったことから、「自分なりのアイリッシュパンク」を「TRI4THらしいジャズ」で、しかも「フェスでみんなで盛り上がれるように」という3つのテーマで書きました。正直、あまりにシンプルなメロディで、初めはちょっと気恥ずかしかったんです(笑)。でもみんな乗ってくれて、伊藤さんが歌詞を書いてくれて、構成を織田さんが広げてくれたことで完成しました。

──伊藤さんにとっては初の作詞クレジット曲となりました。

伊藤 メロがシンプルで覚えやすかった分、「だったら全部歌えるようにしようよ」と。ただ、作詞はだいぶ悩みました。文法に関しては関谷くんや知り合いのミュージシャンに添削してもらいつつ、どうにかこうにか。でも、かなりいい着地ができたと思います。これからのライブで必要不可欠な曲になっていく気がしますね。

一緒に踊って、叫んで、歌ってください!

TRI4TH

──今夏はフェスを回り、10月にはワンマンツアー「SING ALONG TOUR」が始まります。最後にお一人ずつ、抱負をお願いします。

関谷 たくさんのフェスを経て、ツアーではTRI4THのワンマンでは最大キャパのマイナビBLITZ赤坂を目がけて駆け抜けます。最高の音色でライブをお届けできるように全力を出すので、ぜひ足を運んでいただいて、一緒に踊って、叫んで、歌ってください!

竹内 このアルバムを持って全国を回れることは、僕らにとってとても大きなことだと感じています。さっきの時間経過にしてもそうですが、TRI4THには偶然じゃなくて必然だと思える瞬間がたくさんある。フェスの出番って、昼の時間帯かもしれないし夜の時間帯かもしれない。真面目な話、全員がそれを意識したからこそ、こうしてバラエティに富んだ曲が、しかも時系列に並んだんだと思います。それを生で演奏することで、よりこのアルバムの真髄が皆さんに届けられると思うので、ぜひ僕らのライブを観に来ていただきたいです。

織田 今までで一番の、最高に気に入っているアルバムができました。すでにライブでやっている曲に関しては、早くもライブのバージョンのほうがよくなっているという自覚さえあります。ぜひアルバムを聴いていただいて、そこからさらに成長した曲を聴きに来てください。

藤田 とにかく大勢で一緒に楽しめることを念頭に置いて、一生懸命作りました。普段あまりジャズを聴かない方にも楽しんでいただける自信があるし、もちろんジャズを好きな方にも楽しんでいただけると信じています。僕らのライブに来てくれたら、きっとより人生がより豊かになると思います(笑)。

伊藤 TRI4THは「踊れるジャズ、叫べるジャズ」をモットーに活動してきましたが、これは一緒に踊って、叫んでくれる人がいて初めて成立するので、俺たちの力だけでは完成を迎えることができません。これまでずっと応援してくれた人たち、このアルバムを楽しんで聴いてくれる人たち、フェスで初めて知ってくれる人たち、皆さん、どうか俺たちに貸してください。もしアウェイなステージに立ったとしても、より多くのリスナーと出会えるよう、ガンガンに攻めていくつもりなので、応援、よろしくお願いします!

ライブ情報

TRI4TH「SING ALONG TOUR」
  • 2019年10月13日(日)宮城県 仙台MACANA
  • 2019年10月18日(金)大阪府 Music Club JANUS
  • 2019年10月19日(土)福岡県 BEAT STATION
  • 2019年11月2日(土)北海道 BESSIE HALL
  • 2019年11月16日(土)広島県 広島セカンド・クラッチ
  • 2019年11月17日(日)愛知県 THE BOTTOM LINE
  • 2019年11月27日(水)東京都 マイナビBLITZ赤坂