ナタリー PowerPush - TOTALFAT

4人の思いが詰まった日本語曲で「NARUTO」をメロコア色に染める

「Place to Try」と「Take It Over」は表裏一体

──今回はカップリングに「Take It Over」「Life Is Such a Danger Flight」の2曲が収録されています。「Place to Try」から3曲続けて聴くと、非常にコンパクトで統一感が強いですね。

Shun 1曲1曲に明確なポジションを与えて、3曲なら3曲で完結させるっていう部分に気を遣ったので、カップリング曲を書くのも時間と労力がかかりました。でもそのおかげで、かなりいいものができたし、特に2曲目の「Take It Over」なんて「これ、A面でいいんじゃね?」とか思ったし。

──そういえば歌詞に「I got the pride of the lyrics "STAY GOLD"」ってフレーズが出てきますが、これは……。

Shun あの(Hi-STANDARDの)「STAY GOLD」のことです。実は難波さんがレコーディングに来て、声を入れてくれたんですよ。

インタビュー風景

Jose 冒頭の「Go!」って雄叫びと、中盤のセリフは難波さんなんです。

Kuboty 言わなければ気づかない人も多いかもしれないけど。

──あ、そうだったんですね! 「これ、メンバーの誰が言ってるんだろう?」って思ってました。

Shun クレジットにも名前を入れてないですしね。

──「Place to Try」と「Take It Over」はこれぞTOTALFATの王道ナンバーで、「Place to Try」は日本語詞、「Take It Over」は今までどおりの英語詞で歌われています。TOTALFATがどういうバンドかを知るには、このシングルはうってつけの作品なんじゃないでしょうか。

Shun プラス、「TOTALFAT玄人にも文句は言わせねえぞ」っていうところも見せていきたかったんですよね、隙を見せたくないというか。「Place to Try」と「Take It Over」って表裏一体、2つで1つみたいなところがあって、「Place to Try」は後ろは振り返らずに遠い先を見据えて、俺らが発射し始めた最新のメッセージ。そして、「Take It Over」は過去に対してリスペクトを払っている曲なので、どっちかが欠けちゃうとバンドとしてのバランス感が変わってきちゃうんです。この2曲があるから、3曲目の「Life Is Such a Danger Flight」ではスカの要素を入れて遊ぶことができる。それが俺ら流シングルの完結の仕方かなって思います。

Jose 「World of Glory with JOE INOUE」は「DAMN HERO」を作った流れから生まれたので、シングルを出すこと自体これが初めての試みですし。タイトル曲だけ聴いてあとはいいや、みたいなシングルにはしたくなかったし、シングルとはいえ1つの作品なわけですから、ちゃんとしたものにしたかったんです。

──なんとなくシングルを出すんじゃなくて、この3曲が並んでることに意味があるんだと。

Jose ほかのバンドでは「シングル2枚出してアルバム」みたいな流れってよく聞きますけど、俺たちは今までアルバムだけ考えてやってたんで、曲順や流れって自然に意識しちゃうし、シングルは今回が初めてなんで特に意識的だったんじゃないですかね。

真ん中に1本柱があれば何も不安になることはない

──「Life Is Such a Danger Flight」にも日本語詞が入ってますが、「Place to Try」とこの曲を通じて皆さんの中で日本語詞に対する気持ち的な変化はありましたか?

Jose 作詞にこんなに時間をかけることが今までなかったから、歌詞に対する思い入れは今まで以上に強くなりましたね。それと、「あいつよりいいフレーズを考えてやる」って絶えず頭の中に歌詞を浮かべたり、1つの言葉に対して表現の仕方をいくつも考えてたりするようになりました。

──4人で一緒に歌詞を固めていくっていうことは、それだけその曲と接する時間も長くなるわけですもんね。

Shun はい。それと、今後は曲作りのスタイルも変わってくるかもしれないですね。例えば1人で歌詞を書く曲もあれば、4人で作り上げる曲もある。これだけ毎年のようにアルバムを出していると、似通った曲を作ったり同じことを繰り返したりしちゃうかもしれない。それは俺らにとって恐怖なので、常にいろんなことを試行錯誤してやっていき、絶えず変化していくことが俺らのスタイルだと思いますね。

──逆に、変わっていくことに対する恐怖は感じない?

Shun 真ん中に1本柱があれば何も不安になることはないっていうのは、今回のシングルを作ってみて思ったんですよ。どういう曲を作るかを今までにないくらいみんなで真剣に話し合った結果、やっと真ん中に立ってる柱みたいなものが見つかった気がして。この柱があるんだったら何をやっても大丈夫じゃないかなって。「Place to Try」が書けて、そのあとに「Take It Over」が書けたっていうのは、恐らくその自信の表れなんだと思います。

──自分たちの信念を確認することができたと?

Shun そうですね。そういう意味では、かなり原点回帰できたんじゃないかと。聴く人がどう思うかわからないけど、俺ら的には1回スッキリできたのは確かですね。最初に言ってもらった「肩の力が抜けた」っていうのは、もしかしたら正解なのかもしれないな。

──そのスッキリ感みたいなものが音に出たのかもしれないですね。

Shun うん。モヤモヤが取れた感は確かにあります。

──「Place to Try」が「NARUTO -ナルト-」のエンディングで流れて、お茶の間でアニメを観ている層にまで届くのか気になりますね。

Kuboty 「激しい曲だな」ってだけで終わる気はあまりしないから、絶対に何か返ってくるものがあると思う。それが返ってきたときに俺らがどうするか、アニメで知った子たちがライブに来たときに俺らがどういうライブをするか、そういう部分ではこれから面白い話がどんどん生まれていくんだと思います。

Jose そうやって広がったら、新しいファンと今までのファンが集まったところを観て、そこからまた新しい曲が書けると思うんですよ。そういうことも含めて楽しみですね。

インタビュー風景

ニューシングル「Place to Try」 / 2011年11月9日発売 / Ki/oon Records

  • 初回生産限定盤[CD+DVD] 1575円(税込) / KSCL-1888~1889 / Amazon.co.jp
  • 通常盤[CD] 1223円(税込) / KSCL-1890 / Amazon.co.jp
CD収録曲
  1. Place to Try
  2. Take It Over
  3. Life Is Such a Danger Flight
  4. Place to Try –NARUTO-ナルト- Ending Version-
  5. Place to Try -Instrumental-
DVD収録内容
  1. Place to Try (Music Clip)
  2. Damage (Music Clip)
  3. Invention ~Good morning,my treasures~ & Ryan,Don't Worry (Live)
    *2011年9月18日 SHIBUYA-AXにて収録
TOTALFAT(とーたるふぁっと)

TOTALFAT

2000年、同じ高校のメンバーにより八王子で結成。都内のライブハウスを中心に、精力的なライブ活動を展開する。2002年から全国ツアーを敢行。ライブバンドとしてその頭角を現す。2003年に1stアルバム「End on Introduction」をリリース。2004年、ギタリストのKubotyが正式メンバーとして加入し、Shun(Vo, B)、 Jose(Vo, G)、Bunta(Dr)、Kuboty(G)の4人でパワフルな活動を継続中。数々のコンピレーションアルバムへの参加を経て、2005年にミニアルバム「Get It Better」を発表。2007年にはミニアルバム「Hello & Goodnight」をリリースし、GOOD CHARLOTTEの来日公演オープニングアクトに出演した。 2008年には「PUNKSPRING 08」に初出演を果たし、アルバム「ALL THE DREAMER,LIGHT THE DREAM」を発表。THE OFFSPRINGのジャパンツアーで日本人最多の7公演のオープニングアクトを務めた。2009年にはアルバム「FROM WHOM THE ROCK ROLLS」をリリース。「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2009」「SUMMER SONIC 09」といった夏フェスに出演し、好評を博した。

2010年6月にKi/oon Recordsからメジャー1stアルバム「OVER DRIVE」を発表。翌2011年5月には井上ジョーをフィーチャーした日本語詞のシングル「World of Glory with JOE INOUE」をリリースし、話題を集めた。続けて同月末にメジャー2ndアルバム「DAMN HERO」を発表。9月には全国ツアーのファイナル公演として、SHIBUYA-AXでワンマンライブを実施し大成功を収めた。同年11月にニューシングル「Place to Try」をリリース。