「ラクにいきたい」「どうにかなる」が本音

──「トミタ栞」に収録されている「HAPPY TIME」では作詞に初挑戦していますよね。

この曲は「息抜きのススメ」をテーマに考えました。高校時代の友人たちが大学生になって悩んでるっていう話を聞いたのがきっかけです。話を聞いていると私自身すごく共感する部分もあったので、ちょっと一息ついたらいいんじゃない？っていう曲が書けたらと思って。

──初めての作詞で苦労した部分はありますか？

私の頭の中にある言葉の数が少ないことですかね。言いたいことをメロディに当てはめるとうまくいかないし、説明っぽくなることが多くてけっこう悩みました。でも最終的に完成した歌詞をみると、背伸びせずに私らしい詞が書けたと思います。

──トミタさんらしさが出てると思いました。「『努力がカンジン』『マジメが一番』よく言われるけどホントかな？」の部分とか。

本当ですか？（笑）

──前回のインタビューで、エコキャップ運動について違和感があるって話をしていたなと思って（参照：トミタ栞「saku saku Ver.9.0 / オーバーオールが止まらない」特集）。常識のように思われていることも、当たり前と思わずに考えようとする姿勢とか。

あー、その話ありましたね！ 確かに言ってました。ちゃんと分別して出してはいるんですが、なんでキャップなんやろって……。「ラクにいきたい」「どうにかなる」っていう歌詞の部分も、めちゃめちゃ本音です。それを言っちゃダメだろって自分でも思うんですが（笑）。

失恋の経験を前向きにとらえた明るい曲

──さて8月28日には1stシングル「線香花火」がリリースされます。「トミタ栞」はトミタさんの自己紹介的な意味合いが強いアルバムでしたが、「線香花火」は誰もが自分の物語として置き換えることができるし、共感することができる作品ですよね。

そう言っていただけるとうれしいです。前作との違いはあまり意識していなかったんですが、できるだけたくさんの人に聴いてもらって、共感していただきたいというのはありますね。

──この曲を聴いたときの印象は？

失恋の歌なので一見すると暗い曲という気もするんですが、私は前向きな曲だなあと思いました。あと「突然の夕立にふられた 涙の跡 ごまかすのには ちょうど 良かったのかも…」という歌詞があるんですが、ここは強がってる女の子の心境が出ていて、すごく切なくなりました。

──レコーディングで気を付けた部分はありますか？

この失恋した経験があるから今の私がいるっていう感じが出ればいいなと思っていたので、元気すぎるほどではないけど、明るく歌うようにしました。「好きだったよ」という歌詞が2回出てくるんですが、2回目の「好きだったよ」は特にその雰囲気が出ればいいなと思っていて。失恋を吹っ切るとまではいかないんですが、前向きなニュアンスを意識しました。

──ビデオクリップでは初めてロケ撮影をしたんですよね。

はい。長野県の上田市で撮影しました。山に囲まれているところとか、のどかな雰囲気が地元の高山に似てるなって思いました。

──「saku saku」のDVDではドラマに挑戦してましたが演技の経験は生きました？

正直、台本がないから「助かった」って思ってたんですよ（笑）。台詞を覚えなくていいからラッキーって。でもそうじゃないところの難しさがたくさんあって……。

──例えばどんなところが？

レコーディングのときは明るく歌っていたけどビデオクリップは明るさを押し出した作品ではなかったんですね。なのでちょっと落ち着いた演技を意識したんですが、元気がないように見えてしまうと音楽と合わなくなるし……。そのあたりのバランスをとるのが難しかったです。台詞がないということは表情だけで見せなきゃいけないっていうことに現場で気付きました（笑）。