THE YELLOW MONKEY|5つのキーワードから見る2019年のTHE YELLOW MONKEY

THE YELLOW MONKEYが19年ぶりとなるオリジナルアルバム「9999」を4月17日にリリースする。2016年の再集結以来、ツアーの開催や3カ月連続配信リリースなど精力的に活動を行ってきた彼ら。自らを「アルバムバンド」と称するTHE YELLOW MONKEYが満を持して発表する「9999」には「ALRIGHT」「砂の塔」「天道虫」といった2016年以降に発表された楽曲に新曲を加えた、全13曲が収録される。また初回生産限定盤にはライブ映像を収めたDVDが付属する。

本作のリリースを記念して、音楽ナタリーでは2回にわたる特集を実施。初回は「歌詞」「サウンド」「ビジュアル」「ライブパフォーマンス」「メンバーの絆」という5つのキーワードから、現在のTHE YELLOW MONKEYを紐解く。

文 / 森朋之

歌詞

“生まれ変わる蛹”をモチーフに「もう一度羽ばたけ 今夜 準備 ALRIGHT」という感涙のフレーズへと結び付けた「ALRIGHT」を筆頭にした再集結後のTHE YELLOW MONKEYの新曲には、再び4人でバンドをやり、最後の瞬間まで突き進もうとする自らの姿を、鮮烈にして妖しいイメージと共に反映させた歌詞が多い。ニューアルバム「9999」の収録曲で言えば、「I don't know」も強く心に残る。「あんなに燃えてた炎は消えたの? 灰になったとしても あの情熱だけは忘れない」と自らに言い聞かせるかのようなフレーズを刻みながら、“魂の葛藤”を抱えつつも、それでも坂道を上り続ける決意を歌ったこの曲は、リアルなバンドの現状を普遍的なメッセージに結実させてきた、ソングライター・吉井和哉の真骨頂だと思う。

サウンド

メンバー4人の表情豊かな音が生々しく絡み合い、耽美と爆発力を同時に放つ彼らのアンサンブルは、再集結後、さらに確信を持って鳴らされているように感じる。アルバム「9999」のレコーディングでは、THE BLACK KEYSのアルバムのスタジオワークにも参加しているエンジニア、ケニー・タカハシを起用。ガレージ、グラム、サイケデリックなどの手触りを混ぜ合わせたサウンドメイクは、現在の4人のスタイルを際立たせることに成功している。ダビングを必要最小限に抑え、シンプルな音数によって豊潤にして豪快なグルーヴを描き出す「9999」の音は、生まれ変わったTHE YELLOW MONKEYの最初の集大成と言っていいだろう。

再集結した2016年のアーティスト写真。
THE YELLOW MONKEY「9999」ジャケット

ビジュアル

2017年に公開されたドキュメンタリー映画「オトトキ」を観たときにまず感じたのは、「4人ともカッコいいな」という単純な感想だった。そんなことは音楽と関係ないと言われるかもしれないが、ロックバンドのリユニオンの場合、ルックス、ビジュアルは非常に重要。特にグラムロックをルーツに持つTHE YELLOW MONKEYは、髪を伸ばし、ギラギラのファッションでステージに立ち、派手なパフォーマンを決めることが、再集結を成功させる大事な条件だったと思う。それは単に見た目だけの話ではなく、THE YELLOW MONKEYであることを引き受け、堂々と人前に立つ“人間力”にもつながっているのだ。アルバム「9999」のアートワークは、ドイツのアートディレクターチーム・Rocket&Winkが担当。生命のサイクル、過去と未来などをモチーフにしたデザインは、現在のTHE YELLOW MONKEYの在り方と直結している。

ライブパフォーマンス

再集結後、最初の活動をツアーから始めた彼らは言うまでもなく、生粋のライブバンドである。2017年12月には、17年ぶりの東京ドーム公演を開催(参照:THE YELLOW MONKEY、17年ぶり東京ドームでさらなる前進誓う)。「大きな犬小屋へようこそ!」という吉井の言葉に導かれた「WELCOME TO MY DOGHOUSE」から始まり、「SPARK」「天国旅行」「JAM」などの代表曲から2016年以降に発表した最新曲までを網羅したこのライブで彼らは、シンプルかつダイナミックな演奏によって、東京ドームをライブハウスのような雰囲気に変えてみせた。1音1音の説得力、4人の丸裸のサウンドだけでドーム公演をやり遂げたことで、THE YELLOW MONKEYは名実共に復活を遂げたと言っていい。アルバム「9999」の初回生産限定盤の付属DVDの「SELECTION of THE YELLOW MONKEY」には再集結以降に行われたライブ映像10曲を収録。こちらもぜひチェックしてほしい。

THE YELLOW MONKEY「9999」レコーディング時の様子。
THE YELLOW MONKEY「9999」レコーディング時の様子。

メンバーの絆

“もう一度、4人でバンドをやりたい”という吉井の呼びかけに菊地英昭(G)、廣瀬洋一(B)、菊地英二(Dr)がすぐに応え、メンバー間の絆がしっかりと生まれたこと自体が、THE YELLOW MONKEY再集結の最大の要因だったのだ。その後、2016年7月のさいたまスーパーアリーナ公演(参照:「また一緒にバラ色の日々を」イエモンたまアリ公演に4万人熱狂)で吉井は「もう一生解散しません。このメンバーと一緒にバカなロックンロールをやっていくぜ!」と宣言。再集結後に発表された新曲、そしてアルバム「9999」の充実ぶりも、4人の信頼関係の賜物だと思う。


2019年4月11日更新