今だからわかるTHE TON-UP MOTORSの魅力

──皆さんの思うTHE TON-UP MOTORSのよさを聞かせてください。

堀内　僕が最近思うのはメンバーみんな、お人好しすぎるってことで。僕らがバンドを始めたときって周りにバンドをやってる人なんてめちゃめちゃたくさんいた。そんな中でここまで音楽を続けられるのは、メンバーみんながお人好しでアホでバカだからなんじゃないかなと。だから愛すべきバンドです。大好き。

井上　THE TON-UP MOTORSのよさがバカって（笑）。

長谷川　いいところ……たくさんあるんですけど、1つ挙げるなら不器用なところですかね。本当はいいところじゃないかもしれないけど。手先の話だけじゃなくて何をするにも不器用で、スマートにできないんです。だから二枚目には絶対なれないんだけど、不器用なりに「これ楽しいと思ってるんだけど、どうよ」っていうのをむき出しにしてる。そのむき出し方とか、不器用なりに楽しむ力はほかのバンドに負けないなと思ってます。

上杉　めいっぱいカッコつけてるつもりなんですけどね。そっか、不器用なんだ……（笑）。

長谷川　MCでカッコつけようとして噛んだりするじゃん（笑）。でもそこでお客さんがみんなクスクス笑ってくれて。それが成立するのがすごいんじゃないですか。

上杉　そうか。あとお客さんと話をして思ったのは、メンバーの人柄が好かれてるなってこと。自分で言うとおごりみたいですけど、人柄が好かれるというのはTHE TON-UP MOTORSの強みだなと思いますね。

井上　メンバー1人ひとりの個性が強いんですよね。個性が強いから、合わせた音も面白くて。僕はそこがこのバンドの魅力だと思います。

等身大を表した「Whatever happens happens」

──ここからは最新アルバム「Whatever happens happens」について話を聞かせてください。先ほど、活動休止が決まってからこのアルバムをレコーディングしたとおっしゃっていましたが、どういう作品にしようと思っていたんですか？

上杉　全体のコンセプトというのはなかったんですけど、ディスカッションして、メンバーそれぞれが入れたい曲を吸い上げていったので、音楽的な意味で言うと結果、すごくバラエティに富んだ曲が並んでると思いますね。例えば長谷川は「自分らのルーツが見えるような曲を絶対に入れたい」と言って。じゃあどんな曲がいいかなって思ってできたのが1曲目「TONight!」。僕らはブラックミュージックが好きなので、その要素は入れつつ「自分たちの音楽とは？」を突き詰めて作りました。

──長谷川さんはどうして、自分たちのルーツが見えるような曲を入れたいと思ったんですか？

長谷川　どうやったら売れるかとか、どういう曲がどういう層に響くかとか、そういうことを何も考えずに「自分の好きなものって何かな」って考えてみたんですよ。曲を書くのは上杉なんですけど、上杉の書くいろんな曲の中で、どの曲が好きだったかなと考えてみたら、全部ルーツの匂う曲で。こういうTHE TON-UP MOTORSが好きなんだなと思ったので、活動休止前にそういう作品を作りたいなと思いました。

──逆に言うと、最近は「どうやったら売れるか」とか「どの層に響くか」ということに重きを置いていた？

長谷川　そういう部分はありました。

上杉　売れるというかたくさんの人に愛される曲を作りたいとは、ずっと思ってましたね。共感を得てもらいたいなと。

堀内　今回ももちろんそこをないがしろにして作ったわけじゃないんですけど、もうちょっと気楽にやろうと思って。アルバムのタイトル「Whatever happens happens」は「なるようになるさ」という意味なんですけど、肩の力が若干抜けてた分、今までよりも「やってみようよ」っていろんなことに気楽に挑戦できた気がする。

井上　今まで入れてなかったのに「シンセ入れていいじゃん」みたいな。

堀内　「このフレーズはTHE TON-UP MOTORSっぽくないな」って思って入れないこともあったんですけど、今やったらTHE TON-UP MOTORSっぽくなるってことに気付いて。そうやって今までやらなかったことを積極的に取り入れていった気がします。昔に比べて最近の作品はきれいにまとまってたと思うんですけど、ひさしぶりにヤンチャな1枚ができたなって感じ。

上杉　このタイミングでいろんなものを削ぎ落とせたのかもしれないよね。

井上　そうだね。

堀内　等身大のTHE TON-UP MOTORSがしっかり表現できた気がします。

上杉　今まで以上に、スタッフ含めて“みんなで作った”っていう感じがしますね。