音楽ナタリー Power Push - THE TON-UP MOTORS

ありのままで語る、“みんなで作った”新作と活動休止

THE TON-UP MOTORSがニューアルバム「Whatever happens happens」をリリースした。

彼らは新作発売の前日に年内でバンドの活動を休止させることを発表し、ファンを驚かせた(参照:THE TON-UP MOTORS「人生と心と頭の中を整理するため」年内で活動休止)。そこで音楽ナタリーでは、活動休止の真相に迫るインタビューを実施。休止に至る経緯や、それでも楽しく作ることができたという「Whatever happens happens」について聞いた。またこの日は衣装を忘れてしまったメンバーがいたことから、私服で取材を行うことに。珍しい彼らの私服姿も楽しんでほしい。

取材・文 / 小林千絵 撮影 / 西槇太一

力強い1歩を踏み出すための活動休止

──最初に活動休止の理由をお伺いしてもいいですか?

THE TON-UP MOTORS

長谷川雄一(B) メンバーそれぞれの向いてる方向にズレを感じるようになって。それでもライブをやったり音源をリリースしたりと駆け抜けてはきたんですけど、このままズレを感じながら走るのは難しいなと思って活動休止することにしました。

堀内俊聡(Dr) メンバーのことが嫌いとか一緒にやりたくないってことじゃないんですよね。ただ目的にズレが出てきて。この4人でバンドをやってるのが好きだというメンバーもいるし、THE TON-UP MOTORSで夢を叶えたいっていうメンバーもいるし、THE TON-UP MOTORSというバンドをただずっと続けられればいいというメンバーもいる。バンド自体がちょっと疲れてるのかな。だから細かい衝突も増えてきて、一緒にいるのがつらいこともあるので、一旦休もうかということになったんです。音楽が嫌いになったわけでもないし、決してメンバーと一生会いたくないということでもないので、解散じゃなくて活動休止なんです。

上杉周大(Vo)

上杉周大(Vo) 1回休んだら、今の疲弊したTHE TON-UP MOTORSが出す1歩よりも力強い1歩が出せるんじゃないかなって思っていて。実はこの間リリースした「Whatever happens happens」も、活動休止の話が出てからレコーディングしたんですけど、制作が楽しかったんですよ。だからネガティブな意味じゃなくて、またピュアに手をつなぐために休もうという感じです。応援してくださってるファンの方や、関わってくださってる方には申し訳ないですけど。戻って来れる母船は残しておきたくて、解散じゃなく活動休止という形を取っています。

井上仁志(G) タイヤ4つのスピード感がそろってなくて走れなくなってしまったって感じですね。このままだったら廃車になっても仕方ないので、足並みをそろえるためにそれぞれが一度車を置くというか。廃車にしないため、バンドを続けるため、バンドを思うがゆえの活動休止です。

──今回の決断が、改めてバンドを見直すきっかけにもなったんですね。ただ正直、活動休止をするというお話を伺ったとき、「こんなにいい状況なのに?」という気持ちもありました。

上杉 今の状況とか人気がどうというのは今回の活動休止とは関係ないです。それを感じてるとか感じてないということではなくて。純粋にメンバーの意見とか気持ちを尊重したという感覚ですね。4人共THE TON-UP MOTORSを諦めてないっていうことなんだと思います。

人生のすべて

──結成から16年間走り続けてきた今、振り返ってみていかがですか?

上杉 18歳のときからやってるので、やっぱり自分にとってTHE TON-UP MOTORSはすべてなんだなと。すごく変なバンドですけどね。結成当初のお客さんが全然いないときから根拠のない自信があって、それだけでガシガシ進んで、時間かかったけどメジャーデビューまでこぎつけて。続けてよかったなと。

長谷川 僕も16年間続けてよかったなと思ってます。THE TON-UP MOTORSを何よりも優先してきた16年間だったので、休止したあとのことは想像がつきませんね。

堀内俊聡(Dr)

堀内 僕は2011年に加入したんですけど「この3人と出会えてよかったな、ラッキーだったな」って思っています。「高みを目指す者同士がスクラムを組むとミラクルは起こるんだな」っていうことを教えてもらった、非常に濃い5年間でしたね。

井上 自分は2008年に加入したんでちょうどバンドの半分にいたことになりますかね。今までいろんなバンドを経験してきましたけど、最初にこのバンドでスタジオに入ったときに「ついに出会えた」みたいな衝撃を受けて、そのまま8年間突っ走ってきました。8年間っていうと自分の人生で言うと4分の1くらいですけど、自分の人生そのものになっているくらいの存在ですね。

ニューアルバム「Whatever happens happens」/ 2016年9月28日発売 / Qbism
初回限定盤 [CD2枚組] / 3240円 / QBISM-011
通常盤 [CD] / 2160円 / QBISM-012
CD収録曲
  1. TONight!
  2. アイ・ビリーヴ!
  3. スロウモーション
  4. 青い季節
  5. 冬将軍
  6. Lovin' You Baby
初回限定盤CD収録内容
  • THE TON-UP MOTORS LIVE at. SHIBUYA CLUB QUATTORO

THE TON-UP MOTORS「Whatever happens happens tour2016」リリース&活動休止前ラストワンマンライブ

  • 2016年11月3日(木・祝)大阪府 FANDANGO
  • 2016年11月5日(土)長崎県 studio裸蛇
  • 2016年11月6日(日)愛知県 池下CLUB UPSET
  • 2016年12月17日(土)東京都 下北沢CLUB Que
  • 2016年12月18日(日)東京都 下北沢CLUB Que
  • 2016年12月23日(金・祝)北海道 Zepp Sapporo
THE TON-UP MOTORS(トンアップモーターズ)
THE TON-UP MOTORS

上杉周大(Vo)、井上仁志(G)、長谷川雄一(B)、堀内俊聡(Dr)の4人からなるソウルロックバンド。2000年に北海道札幌市で結成され、2013年12月にアルバム「THE TON-UP MOTORS」にてVAPからメジャーデビューを果たした。2014年には北海道の全市町村を巡るライブツアー「北海道179市町村ツアー」を実施。北海道・Zepp Sapporoにて行われたツアーファイナルはソールドアウトするなど、北海道を中心に全国で人気を集めていたが、2016年9月にニューアルバム「Whatever happens happens」をリリースし、年内をもって活動休止することを発表した。