THE PINBALLS|「光の三原色」に例えて歌いたかったもの

THE PINBALLSがニューシングル「Primal Three」をリリースした。彼らがメジャーフィールドで発売する初のシングルは「光の三原色」をテーマにした3曲入り。個性豊かな3曲について、メンバー全員に話を聞いた。

取材・文 / 小林千絵 撮影 / 西槇太一

渾身のストレート1球勝負

──THE PINBALLSは昨年12月にミニアルバム「NUMBER SEVEN」でメジャーデビューを果たしましたが、メジャーデビュー前とあとで何か変化はありましたか?

古川貴之(Vo) 取り巻く環境的にはそんなに変わってないですが、気持ちはめちゃめちゃ変わりましたね。例えば4日5日連続でも声が出る練習をするのはもちろんなんですけど、例え声が出なかったとしてもお客さんを悲しませないパフォーマンスをしたいと思うようになりました。

森下拓貴(B) 僕はほとんどないですね。メジャー、インディーズ関係なく「僕も1人のプロとしてステージに立つんだ」という覚悟を持ってやってたので。ただメジャーデビューして、今までのチームの人たちに加えて、2倍3倍の人が関わってきたので、「これだけの人たちと志を1つにするんだったらもっとデカいことができるのかな」と楽しみになりました。

──石原さん、中屋さんはどうですか?

石原天(Dr) 同じで、メジャーデビューする前もそういう気持ちの波みたいなものはあったので、今回特別メジャーデビューだからという気持ちはないですね。

中屋智裕(G) 「メジャーだからがんばらないと」という気持ちはありましたけど、今までも手を抜いてやってたわけではないし、自分たちができることってそんなに変わらないし。ただ関わってくれる人が増えているし、実際にツアーごとにお客さんが増えたりしているので、そういう中でやらなきゃいけないこともあるなという感じですね。

──バンド歴が長くて、これまでにもいろいろな節目があったと思いますが、メジャーデビューはあくまでもそのうちの1つでしかないということなんですね。前回ナタリーにご登場いただいたときに(参照 :「Coming Next Artists」第16回 THE PINBALLS|インタビュアー:ピエール中野)制作途中でメジャーデビューが決まったので、ミニアルバム「NUMBER SEVEN」は作るにあたって新しいことをしようと思わなかったとおっしゃっていましたが、メジャーデビュー後に作った今作はどうですか?

古川 僕たちは「メジャーデビュー後初のシングルだからこうしよう」とか、そういうことってできなくて。今回も「とにかくカッコいいことをやろう」「いいと思うものを力いっぱい作ろう」ということだけでしたね。しかも僕たちっていろんな音楽性の曲があるわけじゃなくて……直球しか投げられないピッチャーみたいな感じなので、「今回も思いっきり投げるぞ!」というだけ。力いっぱいストレートを1球投げ込んだ感じです。

テーマは「光の三原色」

──THE PINBALLSは毎回、作品ごとにテーマを設けていますが、今作「Primal Three」のテーマはなんだったのでしょうか?

古川 「光の三原色」です。「Lightning strikes」は自分が音楽を聴いて燃えたぎっているときのことを歌っているので“赤”で、2曲目の「Voo Doo」は「頭を固くせずに柔らかしくて自由でいたい」ということを歌っている曲で、水が水蒸気になって壁をすり抜けていくイメージがあって“青”。最後の「花いづる森」は森がテーマなので“緑”と、それぞれが光の三原色を一色ずつ担当しています。

──そもそも「光の三原色」というテーマはどこから?

古川 数字が好きで、「3曲入り……3と言ったら……?」って数字にまつわることを考えていくんです。父親が数学好きなんですけど、自分は数学が全然できなくて、数字とか数学に憧れがあるんですよね。カッコよく感じると言うか。

──それって、逆に数学好きなんじゃないですか?

古川 いや、好きではないと思います。僕、因数分解できないですし(笑)。

THE PINBALLS

中屋 俺もできないです。

古川 そうなの?

石原 俺も全然できない。

古川 森下はできるよね?

森下 うん。

古川 4人中3人が因数分解できないんだ……問題だね(笑)。

──(笑)。毎回設けられる作品のそのテーマは、ほかの皆さんと共有するんですか?

古川 楽器をプレイするうえでは、知ってても知らなくて変わらないのかもしれないですけど、一応「こういうテーマで作品を考えてるよ」ということは伝えますね。

森下 ぼんやりとは聞きます。でもすべて思いを聞いてしまうと古川貴之とそのバンドみたいになっちゃうと思ってて。僕らはあくまでも4人でTHE PINBALLSっていうバンドなので、ほかの3人が「もしかしたらこういう曲かな」ってそれぞれ解釈して、それが集まることで面白くなるんじゃないかなと思っています。

THE PINBALLS「Primal Three」
2018年4月25日発売 / 日本コロムビア
THE PINBALLS「Primal Three」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
1944円 / COZA-1430~1

Amazon.co.jp

THE PINBALLS「Primal Three」通常盤

通常盤 [CD]
1080円 / COCA-17447

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. Lightning strikes
  2. Voo Doo
  3. 花いづる森
初回限定盤DVD収録内容
  • 「NUMBER SEVEN tour@渋谷CLUB QUATTRO」ライブ映像
THE PINBALLS(ピンボールズ)
THE PINBALLS
2006年に結成された、古川貴之(Vo)、中屋智裕(G)、森下拓貴(B)、石原天(Dr)からなる埼玉県出身の4人組ロックバンド。2014年9月に初のフルアルバム「THE PINBALLS」をリリースした。2015年4月には楽曲「劇場支配人のテーマ」がアニメ「ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン」第3話のエンディングテーマに使用された。2017年12月にミニアルバム「NUMBER SEVEN」を日本コロムビアよりリリースし、メジャーデビューを果たす。収録曲の「蝙蝠と聖レオンハルト」はテレビ東京系「JAPAN COUNTDOWN」の12月度エンディングテーマとして「七転八倒のブルース」はTVアニメ「伊藤潤二『コレクション』」オープニングテーマとしてオンエアされた。アルバム発売後の2018年2月に東名阪ワンマンライブツアー「NUMBER SEVEN tour 2018」を開催。2018年4月25日にはメジャー1stシングル作品「Primal Three」をリリースし、5月から全国ツアー「Leap with Lightnings tour」を行う。