- パーソナリティ
- ピエール中野
「Coming Next Artists」第16回には埼玉出身のロックバンド・THE PINBALLSが登場。攻撃的なロックンロールサウンドを特徴とする彼らは、今月に新作ミニアルバム「NUMBER SEVEN」を日本コロムビアよりリリースし、メジャーデビューを果たした。今回はピエール中野(凛として時雨)が古川貴之(Vo)にインタビュー。新作に込めた思いや今後の展望に迫った。
取材 / ピエール中野 文 / 近藤隼人 撮影 / 草場雄介
- THE PINBALLS(ザ・ピンボールズ)
- 2006年に結成された、古川貴之(Vo)、中屋智裕(G)、森下拓貴(B)、石原天(Dr)からなる埼玉県出身の4人組ロックバンド。2010年11月にタワーレコードのオーディション「Knockin'on TOWER's Door」で1位を獲得し、2011年3月にタワーレコードのレーベル・Knock up!より初のシングル「アンテナ」を発表した。同年8月に初の全国流通版「ten bear(s)」、2014年9月に初のフルアルバム「THE PINBALLS」をリリース。2015年4月には楽曲「劇場支配人のテーマ」がアニメ「ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン」第3話のエンディングテーマに使用された。2017年12月にミニアルバム「NUMBER SEVEN」を日本コロムビアよりリリースし、メジャーデビューを果たした。2018年2月に東名阪ワンマンライブツアー「NUMBER SEVEN tour 2018」を行う。
今までと変わらずいい曲を作ろうと思った
──埼玉県出身なんですよね? 僕もなんですよ。
はい、知ってます! 凛として時雨と鶴が僕にとっての希望の星だったんですよ。十代のときに「凛として時雨って埼玉らしいぜ!」「マジで!?」みたいなことを仲間と話してました。
──古川さんの同世代だと、the telephonesも埼玉出身ですよね。
そうですね。2006年ぐらいにバンドを結成した僕らの世代になると埼玉出身のバンドは珍しくないんですよ。
──エリア的にはどのへん?
東武東上線です。川越 STUDIO CHIKOに凛として時雨のポスターが貼られていたことありましたよね?
──ありました。その頃、埼玉県のありとあらゆるところにフライヤーやポスターを持って挨拶に行ってたので。
そうだったんですね!
──新作のミニアルバム「NUMBER SEVEN」を聴かせていただいたんですけど、音がめちゃくちゃカッコいいですよね。やりたいことが明確だし。
ありがとうございます! 光栄です。
──サウンドエンジニアは渡辺省二郎さんなんですね。
2011年にリリースした1stミニアルバム「ten bear(s)」のエンジニアを省二郎さんに担当していただいて。お忙しい方なのでそれ以降お願いするチャンスがなかったんですけど、今回またご一緒することができました。リードギターの中屋智裕が省二郎さんのことをすごく好きなんです。
──相性がよさそうですよね。
ありがとうございます。省二郎さんは仙人みたいでカッコよくて。みんなで何か揉めてると「いや、これだ」ってカッコよく答えを出してくれるんです。
──「NUMBER SEVEN」がメジャー初の作品なんですよね。メジャーデビューして何か変わったことはありました?
実はレコーディングを始めるくらいにメジャーに行けるという話になったので、曲を作っているときは今までと変わらずいい曲を作ろうと思って制作していました。だから「新しくこれをやらなきゃ!」という気持ちはまったくなくて。
──メジャーだからどうというわけではなく、いつも通りちゃんとやろうと。YouTubeのコメント欄ではファンの方が「メジャーでも変わらずカッコいいことをやってくれてる」と書いていて、ちゃんと期待に応えられているんだなと思いました。今日の取材のためにほかのインタビューを読んできたんですけど、下積み時代に苦労を重ねてきたバンドなんですよね?
そうですね。バンド活動が思った通りにいかなかった時期が長くて。でも、いろんなところで苦労系の話をしすぎたかなと思っているんです。当然するべき苦労をしてきているだけの気がしますし、ミュージシャンとして未熟だったから苦労しただけであって。
歌詞では気の小さいことを言ってる
──いろいろと模索してきたバンドだとは思いますが、音楽面では初期から一貫してロックンロールをやってますよね。流行の音楽についてはどう捉えてきたんでしょうか?
流行ってる音楽に対してはいつもワクワクした気持ちを持っていますよ。例えば日本でシティポップが流行ったことはとても喜ばしいことだと思っていて。日本のリスナーのレベルはすごく高いなと。
──YouTubeや定額制の音楽配信サービスのおかげで、リスナーがいろんな音楽にたどり着けるようになりましたよね。そんな中、THE PINBALLSはメジャーでどういったことをやっていきたいですか?
メンバー全員のスキルアップを図りたいなと一番に思いましたね。
──スキルあるじゃないですか!
でも周りにいるバンドがすごい人たちばっかりで。自分の歌や歌詞を書く力を磨きたいんです。
──それってどうやったら磨けると思います?
英語を習うとか。日本語しか話せないのがコンプレックスなんです。インディーズの初期には英語詞の曲も歌っていたんですけど、今はあまり歌わなくなって。英語詞の曲をもっと作りたいし、英語や中国語などいろんな国の言葉を話せたら日本語の見え方も変わるんじゃないかなと思っているんです。
──詞の世界観も独特なところを突いてますよね。
詞の続きを小説にして書いたお手紙をファンが送ってくれることがあって。宝物ボックスに入れてます。
──かわいい(笑)。話してみると音楽性とのギャップがありますね。
そうですかね。音楽はカッコいいものが好きなんでガーンとやるんですけど、歌詞では気の小さいことを言っているのかなと自分では思います。誰かを傷付ける内容ではなく、「一緒に熱くなろうよ」と誰かに語りかける感じで。
次のページ »
同世代のバンドの音を聴いて感動する
- THE PINBALLS「NUMBER SEVEN」
- 2017年12月6日発売 / 日本コロムビア
- 収録曲
-
- 蝙蝠と聖レオンハルト
- 七転八倒のブルース
- that girl
- ひとりぼっちのジョージ
- 神は天にいまし
- 重さのない虹
- ワンダーソング