音楽ナタリー Power Push - THE MUSMUS

UPLIFT SPICEからTHE MUSMUSへ 更地に作る新しい世界

「もしまたバンドをやるとしたら、私はサウザーになる!」

──UPLIFT SPICEとは根本的なものを変えられるって思えたから、THE MUSMUSとしての再始動を決めたのでしょうか?

CHIO(Vo)

CHIO そうですね。もともとUPLIFT SPICEを休止っていう形にしたんはYOOKEYなんです。私含めて3人はやめるって言ってたので。もう同じことをやる気はなかったし、そのときはYOOKEYとも一緒にやる気はなかったんです。でもUPLIFT SPICEが終わってから「どうしよう」ってなって。いろんなお話をもらったりもしたんですけど、自分の中で「何がやりたいんやろう」「何ができるんやろう」ってなったときに、目の前にある選択肢がどれもピンと来なかったんですよ。それで私「音楽に情熱はもうないんかな」「これって燃え尽きたってことなんかなあ」って思ったりして。「もう違うことを探すべきなんかなあ」って思ってた去年の終わりぐらいに、YOOKEYが「もう1回一緒にやらへんか?」って言ってきて。

YOOKEY (小声で)「やりましょうよ」って(笑)。そしたらCHIOに「私がイケてるって思う、私が感動する曲を3曲持ってこい」って言われて。

──そのときに書いた曲は今回のミニアルバムに入ってますか?

CHIO 1曲目の「BAPTISMA」と2曲目の「バイナリ」です。あと1曲は今回は入ってないですね。

──CHIOさんはそれを最初に聴いたときはどう思いましたか?

CHIO 単純に感動したし、「ほかのやつに歌わせたくない。この曲は私が歌う」って思いましたね。私からしたらそのデモを聴いた段階で、UPLIFT SPICEからサウンドがすごく変わった感じがしたんですよ。もしYOOKEYがUPLIFT SPICEっぽい曲を書いてきてたらやってなかったですし。あとYOOKEYと一緒にやる上でもう1つ条件があって……。

──それはどのような?

YOOKEY 「もしまたバンドをやるとしたら、私はサウザー(「北斗の拳」の登場人物。独裁者として君臨する最強の闘士)になる!」って言いよったんですよ。もう王様ですよ(笑)。

CHIO 「すべてを私が決める!」って(笑)。

YOOKEY リーダーのいない横一列のバンドもいると思うんですけど、僕はもともと絶対的な人がいるっていうのがバンドの理想的なあり方だと思っていて。でもUPLIFT SPICEのときはそれができなくて、横一列だったんです。そのせいで弊害がいっぱいあって。

CHIO すごくちっちゃいことで意見が分かれて、進まないっていうのがフラストレーションだったんですよ。音楽じゃない部分での弊害が音楽に影響することがもったいないって思ったし。バンド名を変えることも私が決めたんです。

左からCHIO(Vo)、YOOKEY(G)。

YOOKEY 「ムスムスてー!」ですよ、最初は(笑)。けどね、THE MUSMUSって書いてあるのを見たときに「あ、新しいな。カッコいいな」って思ったんです。最近長いバンド名が多いから、差別化したいなっていう思いがあって。長すぎると覚えられないですし(笑)。最初は「MUSMUS」だけやったんですけど、昔のバンドって「THE ○○」みたいな名前が多いじゃないですか。特に僕たちが活動していくシーンは、THEが付いてるバンドは少ないし「なんかいいな」って思ったんですよね。

──THE MUSMUSという言葉自体に意味合いはあるんですか?

CHIO 私、小さいときにハムスターの雄と雌を飼ってて、ハムとスターっていう名前を付けたんですよ。そしたらどんどん子供を産んで、最終的に16匹ぐらいになって。ハムとスターだけはそのあとも見分けがついたんですけど、ほかは総称してハムスターの間をとって「ムスムス」って呼んでたんです。

──そうだったんですね。

CHIO そのとき「この際100匹まで増やしてやろう」って思ってたんですけど、ハムスターの寿命って案外短くて、私が飼っていた種類は1年半ぐらいだったので、結局増えなかったんですね。それで今回バンド名を考えてるときにそのことがパッと頭に浮かんで。ハムスターの小屋の中の世界が、人間世界にはないすごく純粋できれいなものに感じたんですよね。100匹やないけど、どんどん大きくなっていく世界を作れるようにTHE MUSMUSって付けました。単純にムスムスたちがむぎゅーって集まってるのってモッシュに似てるなーって思ったっていうのもあるんですけど(笑)。

ミニアルバム「PROLOGUE」/ 2015年12月2日発売 / 1944円 / Dynamord Label / GUDY-2018
ミニアルバム「PROLOGUE」
収録曲
  1. BAPTISMA
  2. バイナリ
  3. SILENT FINALE
  4. アネモネの庭
  5. MASS HYSTERIA
  6. X-DAY
  7. ユリシス
ライブ情報
THE MUSMUS ワンマンライブ
2015年12月17日(木)東京都 TSUTAYA O-Crest
※チケットソールドアウト
THE MUSMUS PROLOGUE TOUR
2016年2月6日(土)千葉県 千葉LOOK
2016年2月14日(日)静岡県 SOUND SHOWER ark
2016年2月19日(金)茨城県 mito LIGHT HOUSE
2016年2月20日(土)宮城県 仙台MACANA
2016年2月27日(土)新潟県 CLUB RIVERST
2016年2月28日(日)長野県 ALECX
2016年3月5日(土)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
2016年3月6日(日)京都府 京都MOJO
2016年3月12日(土)青森県 八戸ROXX
2016年3月13日(日)岩手県 盛岡club Change
2016年3月18日(金)愛知県 池下CLUB UPSET
2016年3月20日(日)大阪府 心斎橋CLUB DROP
2016年3月25日(金)大分県 club SPOT
2016年3月26日(土)福岡県 LIVE SPOT WOW!
2016年3月27日(日)福岡県 Queblick
TOUR FINAL~ONE MAN LIVE~
2016年4月9日(土)東京都 TSUTAYA O-Crest
THE MUSMUS(ムスムス)

THE MUSMUS

紅一点のCHIO(Vo)率いる4人組バンド。2005年にYOOKEY(G)を中心にUPLIFT SPICEとして結成され、ミニアルバム3枚、フルアルバム5枚をリリースする。2010年にはThe UsedとSaosin、両バンドの来日公演のオープニングアクトを務める。フランスを中心に海外でも人気が高く、2011年と2014年にはヨーロッパツアーを成功させる。その後2014年9月27日の東京・Shibuya eggman公演をもって活動を休止する。2015年9月27日に新メンバーとしてKYOYA(B)とSHINGO(Dr)を迎え、バンド名をTHE MUSMUSに改名し再始動。12月には改名後初のミニアルバム「PROLOGUE」をリリースした。