音楽ナタリー Power Push - THE MUSMUS
UPLIFT SPICEからTHE MUSMUSへ 更地に作る新しい世界
再始動に伴う試練
──1曲目の「BAPTISMA」ではタイトルの「バプテスマ」や「ノア」など聖書に出てくるような言葉が使われていますね。
CHIO はい。「バプテスマ」は本来の意味では水に浸るっていう意味らしいんですけど、英語の「baptism」は試練という意味も持っていて。うちらが名前を変えて出発するっていうときに、いろんな試練が待ってるんだろうなって思って書いた曲です。UPLIFT SPICEが止まるってなったときに、誰が敵で誰が味方かっていうことが如実に見えて、周りの反応にちょっとがっかりした部分もあったんですよ。でも始めるってなった今、その人たちをしばいて回るわけにもいかへんし(笑)。やっぱり、この試練に打ち勝つには曲とかライブで見せていくしかないなあって。
──なるほど。「したらば律儀に助命の謝意 龜の甲羅股がり」という出だしの歌詞からは、「浦島太郎」を連想しました。
CHIO いろんな水に関する物語を組み合わせていて。「浦島太郎」とか、「人魚姫」とか、「ノアの方舟」とか。都会の街に溺れそうになっても負けへんっていう気持ちを込めていますね。
──「MASS HYSTERIA」は歌詞の中にカラスが象徴的に出てきますね。
CHIO この曲はカラス対人間をテーマにしていて。自分が死ぬとわかってても、戦いの中に身を投じる美しさを表現したくて書きました。戦いって、結局両方正義だったりすることもあるじゃないですか。だから相手にもあっぱれって言えるような戦いができたらなと。
──なるほど。歌詞にはカラスに加えて、夜と朝の境目の空の色を指す「バニラスカイ」という言葉も出てきます。ミニアルバムのジャケットには球体の中に森とカラス、空が描かれていて、この曲と通ずるところがあるのかなと思いました。
CHIO そうですね、それもありますね。「バイナリ」の歌詞に出てくるスフィアは球体っていう意味なんですけど、ミニアルバムのタイトルが「PROLOGUE」ということもあって、スフィアの中に物語の序章になるようなモチーフを入れました。私の中で森って始まりのイメージがあって。大体そうじゃないですか、「ドラクエ」(ドラゴンクエスト)とかも森から始まるし(笑)。
むちゃくちゃいいもんに、“序章”って付けちゃった
──ミニアルバムを通して聴いてみて、多様なテイストの楽曲があるけれど、すごくバンドサウンドが際立っている印象を受けました。
YOOKEY 今回はギターロック×ラウド×エモを作曲のテーマにしたんです。僕はもともとラウドが好きなんですけど、UPLIFT SPICEではそういうサウンドに日本語の詞を乗せるっていうのを表現しようと思ってやってきて。でも最近はそれがわりと流行りになって、そういうバンドがすごい増えてきて。じゃあ違うことやろうって、ギターロックを混ぜてみよう、と。
──手応えはいかがですか?
YOOKEY めちゃくちゃいいもんができたと思っとります。
CHIO うん。タイトル通り「やるぞ」「始まるぞ」っていう1枚になったと思いますね。そのむちゃくちゃいいもんに、“序章”って付けちゃったので、(YOOKEYを見ながら)今後もっとすごい曲を書いてくれるだろうと……(笑)。
YOOKEY あははは(笑)。
──ファンの方の中には、UPLIFT SPICEの面影を追いかける方や、新たなバンド・THE MUSMUSとして見る方、いろいろな方がいらっしゃると思いますが、どのようなバンドとして捉えてほしいですか?
CHIO 特にどういうふうに、とかはないですね。感じたままに捉えてほしいです。ただやっぱり自分は、一旦壊したこの更地の状態で、じゃあ次はどういう世界を作ろうかってなったときに、自分の中で新しい世界を作っていきたいし、そういう曲を作っていくと思いますね。あとは自分が社会から逸脱した人間なんで(笑)。そういう人も居れるような世界を作りたいです。
──2016年には全国ツアーも決まりましたね。
YOOKEY このメンバーになって初めてのツアーなので、僕たちも学ぶことがいろいろあると思いますね。
CHIO 初心に帰ってできたらいいなあ。すごくワクワクしています。
──最後にTHE MUSMUSとして活動していく意気込みを教えてください。
YOOKEY 「楽しみにしといてください!」の一言に尽きますね。
CHIO 新しいことをいっぱいしていきたいですね。あと面白いこと。
YOOKEY 活動でも、楽曲でも、いろいろな面でワクワクするようなバンドでありたいよね。「あ、こう来たかお前ら!」って思ってもらえるようなバンドになれたらいいなと思ってます。
収録曲
- BAPTISMA
- バイナリ
- SILENT FINALE
- アネモネの庭
- MASS HYSTERIA
- X-DAY
- ユリシス
ライブ情報
- THE MUSMUS ワンマンライブ
- 2015年12月17日(木)東京都 TSUTAYA O-Crest
- ※チケットソールドアウト
- THE MUSMUS PROLOGUE TOUR
- 2016年2月6日(土)千葉県 千葉LOOK
- 2016年2月14日(日)静岡県 SOUND SHOWER ark
- 2016年2月19日(金)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2016年2月20日(土)宮城県 仙台MACANA
- 2016年2月27日(土)新潟県 CLUB RIVERST
- 2016年2月28日(日)長野県 ALECX
- 2016年3月5日(土)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2016年3月6日(日)京都府 京都MOJO
- 2016年3月12日(土)青森県 八戸ROXX
- 2016年3月13日(日)岩手県 盛岡club Change
- 2016年3月18日(金)愛知県 池下CLUB UPSET
- 2016年3月20日(日)大阪府 心斎橋CLUB DROP
- 2016年3月25日(金)大分県 club SPOT
- 2016年3月26日(土)福岡県 LIVE SPOT WOW!
- 2016年3月27日(日)福岡県 Queblick
- TOUR FINAL~ONE MAN LIVE~
2016年4月9日(土)東京都 TSUTAYA O-Crest
THE MUSMUS(ムスムス)
紅一点のCHIO(Vo)率いる4人組バンド。2005年にYOOKEY(G)を中心にUPLIFT SPICEとして結成され、ミニアルバム3枚、フルアルバム5枚をリリースする。2010年にはThe UsedとSaosin、両バンドの来日公演のオープニングアクトを務める。フランスを中心に海外でも人気が高く、2011年と2014年にはヨーロッパツアーを成功させる。その後2014年9月27日の東京・Shibuya eggman公演をもって活動を休止する。2015年9月27日に新メンバーとしてKYOYA(B)とSHINGO(Dr)を迎え、バンド名をTHE MUSMUSに改名し再始動。12月には改名後初のミニアルバム「PROLOGUE」をリリースした。