音楽ナタリー Power Push - THE MUSMUS

UPLIFT SPICEからTHE MUSMUSへ 更地に作る新しい世界

CHIOが歌うことがバンドの軸

──THE MUSMUSとしての再始動の発表は、UPLIFT SPICEが活動休止をした1年後の9月27日でしたね。キリのいいタイミングだっただけに、早くから再始動の構想があったのかと思っていました。

左からCHIO(Vo)、YOOKEY(G)。

YOOKEY 解散ギリギリのところまでいってたし、それは本当にたまたまなんですよ。CHIOがまた一緒にやるって言ってくれるようになってから、メンバー探しをしながら曲作りをして、7月にようやくメンバーがそろいまして。

──7月!? かなり最近ですね。

CHIO そうなんです。新メンバーが決まってちょうど1カ月後にレコーディングを始めたんですけど、改めて「どう?」ってKYOYA(B)とSHINGO(Dr)に聞いたら「続けます」って言うから、「言ったよね? 言ったよね? いけいけー!!」みたいな感じで、そこからはもう突っ走りましたね(笑)。やさしーい2人なんですよ。私のわがままも笑って聞いてくれて。

──あはは(笑)。お2人の加入が決まってからここまで怒涛の日々だったんですね。最初に「バイナリ」のイントロがティザー映像として公開されたときに、ファンの方々から「やっぱりカッコいい」といった、再始動に安心したような声が上がってましたね。UPLIFT SPICEと軸は変わらないといいますか。

CHIO 新しいものを作りたかったし、受け入れてもらおうって思って作ったものでもなかったから、もし今までファンでおってくれた人らが受け入れられなかったとしたら、また一からだなあと覚悟していた部分も実はあったんです。バンドは1回壊れているわけだし。でも「やっぱり好きだ」みたいな声を聴くと、とてもうれしいですね。

YOOKEY 僕はCHIOの歌、声、キャラクターや世界観こそがバンドの軸だと思っているんです。例えばUPLIFT SPICEといえばギターがピロピロしていて、ちょっと重めで、キャッチーで……っていう曲調のことではないと思っていて。今回のミニアルバムの中にもいろいろなテイストがあるけど、CHIOが歌っているからこそ、唯一無二の感じが出せていると思うんですよね。

──確かにCHIOさんの声を初めて聴いたときはびっくりしました。

左からYOOKEY(G)、CHIO(Vo)。

YOOKEY いやあ、僕もびっくりしました。好き嫌いが分かれる声だとは思いますけどね。好きになると病みつきになるんですよね、ラーメン二郎みたいな。

CHIO やかましいわ! そんなこってりちゃうわ(笑)。

──歌詞のほうも、今までも難解な世界観でしたが、今回はそれがさらに爆発しているなあという印象で。

CHIO 私も自分の頭の中がよくわからないです(笑)。

──(笑)。CHIOさんは難しい言葉や漢字を歌詞に多用していますが、以前は本をあまり読まないとおっしゃってましたよね。

CHIO あ、でもUPLIFT SPICEを休止して時間ができたから、むちゃくちゃ本読みましたね。私本好きやったんや!って今更気付いて。時代小説しか読まないんですけどね。歴史に詳しいわけではないんですけど、ちっちゃい頃は時代劇ドラマばっかり観ているような子供で。

──そうだったんですね。「バイナリ」で言うと、時計の古い言い方である「時辰儀」や、操り人形を指す「傀儡」(くぐつ)など、普通に生活していたらなじみのない言葉も多いですよね。これも時代小説などからインスピレーションを受けているんでしょうか?

CHIO いや、歌詞に関しては私が英語できひんってこともあって、メロを強調したいときとかに、言葉の響きやニュアンスを優先してチョイスしてるんです。でも意味は持たせたくて……って探していくうちにそういうなじみのない言葉に当たるんですよね。

YOOKEY(G)

YOOKEY 「Justice」(2010年リリースのUPLIFT SPICEの3rdアルバム「Memento」収録曲。)のときがピークでしたけどね。砉(ほねとかわとがはなれるおと)っていう漢字を使ってきたときはめっちゃおもろいな、と(笑)。

CHIO 私の中で「Justice」は「笑ゥせぇるすまん」をイメージしていて。ぴったりだなあと思ってその漢字を入れたんですよね(笑)。

ミニアルバム「PROLOGUE」/ 2015年12月2日発売 / 1944円 / Dynamord Label / GUDY-2018
ミニアルバム「PROLOGUE」
収録曲
  1. BAPTISMA
  2. バイナリ
  3. SILENT FINALE
  4. アネモネの庭
  5. MASS HYSTERIA
  6. X-DAY
  7. ユリシス
ライブ情報
THE MUSMUS ワンマンライブ
2015年12月17日(木)東京都 TSUTAYA O-Crest
※チケットソールドアウト
THE MUSMUS PROLOGUE TOUR
2016年2月6日(土)千葉県 千葉LOOK
2016年2月14日(日)静岡県 SOUND SHOWER ark
2016年2月19日(金)茨城県 mito LIGHT HOUSE
2016年2月20日(土)宮城県 仙台MACANA
2016年2月27日(土)新潟県 CLUB RIVERST
2016年2月28日(日)長野県 ALECX
2016年3月5日(土)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
2016年3月6日(日)京都府 京都MOJO
2016年3月12日(土)青森県 八戸ROXX
2016年3月13日(日)岩手県 盛岡club Change
2016年3月18日(金)愛知県 池下CLUB UPSET
2016年3月20日(日)大阪府 心斎橋CLUB DROP
2016年3月25日(金)大分県 club SPOT
2016年3月26日(土)福岡県 LIVE SPOT WOW!
2016年3月27日(日)福岡県 Queblick
TOUR FINAL~ONE MAN LIVE~
2016年4月9日(土)東京都 TSUTAYA O-Crest
THE MUSMUS(ムスムス)

THE MUSMUS

紅一点のCHIO(Vo)率いる4人組バンド。2005年にYOOKEY(G)を中心にUPLIFT SPICEとして結成され、ミニアルバム3枚、フルアルバム5枚をリリースする。2010年にはThe UsedとSaosin、両バンドの来日公演のオープニングアクトを務める。フランスを中心に海外でも人気が高く、2011年と2014年にはヨーロッパツアーを成功させる。その後2014年9月27日の東京・Shibuya eggman公演をもって活動を休止する。2015年9月27日に新メンバーとしてKYOYA(B)とSHINGO(Dr)を迎え、バンド名をTHE MUSMUSに改名し再始動。12月には改名後初のミニアルバム「PROLOGUE」をリリースした。