ナタリー PowerPush - The Mirraz
言いたいことはひとつだけ「言いたいことはなくなった」
The Mirrazは乾いてる
──このアルバムでも、海外のインディロックとか往年のアメリカンポップスとか、いろいろ参考にしているものはあると思いますけど、本作でThe Mirrazは完全に何かのパクリ云々というのを売りにしなくてもいいバンドになったんだなと感じました。
畠山 実はもう次のアルバムに向けて曲を作っていて、その過程でいろんな音楽を聴いてはいるんですけど、あんまり参考にならないなというのは確かにあって。もしかしたら、今まで積み重ねてきたものだけで曲を作る時期がきたのかなって予感もしてますね。今、強く思っていることがあって。日本の音楽ってどこか湿っぽいんですよね。明るい曲でもカラッとしないというか。
──それが良さでもあると思いますけどね。
畠山 うん。でも、The Mirrazは乾いてるなって思うんですよね。今回のアルバムを聴いて自分で良いなと思うのは、そこで。そういうサウンドを狙って出すなら、海外でレコーディングしたりすればいいんですけど、別にそういうことじゃねえなと思ってるんです。結局アーティストの人間としての本質が出るんだなって思う。例えば俺、ジュディマリ(JUDY AND MARY)がすごく好きだったんですけど、ジュディマリは全然湿ってなかったんですよね。The Mirrazのこのアルバムもリバーブとかかかっていてウエットな感じもあるんだけど、全体としては全然湿ってないと思う。そこに統一感も出ているし、良いものを作れたという自信にもつながっていて。すごく感覚的なところではあるんですけど。
──そういう意味では、畠山さんは途中でいっぱい湿っているんだけど、何周もしてカラッとなっているタイプですよね(笑)。
畠山 そうっすね(笑)。自分が湿っぽくなった瞬間に疲れるから、最終的にそうなれないんじゃないですか。真彦は完全にカラッとしてますけどね。塁はジメジメしてるか。あと、慶三は恋愛体質(笑)。
実は今までで一番言いたいことを言ってる
──改めて、今後のThe Mirrazはどこに向かっていくと今思ってますか?
畠山 単純に、より多くの人に伝わる方向に進んでいくと思います。今回のアルバムも、タイトルは「言いたいことはなくなった」ですけど、実は今までで一番言いたいことを言ってるんじゃねえかなって思ってるから。
──そうですよね。
畠山 今までの作品は、言いたいことを頭から最後まで並べて全部言うみたいな感じだったけど、まとまってなかったというか、ぼやけていたと思うんですよね。1行1行全部聴いてほしいみたいな感じになると、結局何を伝えたいのかわからないところもあったのかなって。でも、今回のアルバムはここを伝えたいんだというのがハッキリしてる。だから、The Mirrazの本質を理解している人のほうが伝わると思うんですよね。タイトルも含めて、すごくThe Mirrazらしいアルバムだと思うし。
──先程、既に新曲を作り始めてるって言っていましたけど、今作の延長線上な感じなんですか?
畠山 いや、もうこのモードはひとつ完結できたなと思っているので、また違う感じのものになってますね。ただ、このアルバムを経て、今後も自分の伝えたいことにグッとフォーカスするものになっていくんじゃないかっていう予感がありますね。
収録曲
- Rock Steady
- ラストナンバー(Album ver)
- だからボクのそばにいて
- i want u
- 朝、目が覚めたら
- この世でDANCE!
- 観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは(Album ver)
- oh!baby!
- 最後に笑うのは誰?
- 言いたいことはなくなった
The Mirraz(みいらず)
畠山承平(Vo, G)、佐藤真彦(G)、中島ケイゾー(B)、関口塁(Dr)からなるロックバンド。2006年9月に畠山が中心となって結成。2008年12月に1stアルバム「OUI! OUI! OUI!」、2009年10月に2ndアルバム「NECESSARYEVIL」とリリースを重ね、洋邦ロックファンから注目を集める。2011年、自主レーベル「KINOI RECORDS」の立ち上げと同時に、中島と佐藤が正式加入し現在の4人編成に。同年6月に初のシングル「観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは」、9月に2ndシングル「ラストナンバー」をリリースし、2012年1月にアルバム「言いたいことはなくなった」を発表する。