ナタリー PowerPush - The Mirraz

畠山承平が語るメジャー進出の理由

The MirrazがEMI Music Japanと契約を交わし、メジャーに移籍。この報せに驚いた人は少なくないだろう。ロックシーンにおいては、メジャーもインディーズも差異なし、という認識がリスナーに広がっている中で、しかし彼らには「インディーズバンドの雄」というイメージが強くあった。バンドがこのタイミングでメジャーに活動の場を移す理由は何か? 会心の仕上がりとなった両A面の移籍第1弾シングル「僕らは / 気持ち悪りぃ」にその答えは示されている。

カップリングには、メジャー移籍を発表するMCを含むインディーズ時代のベスト的な内容のライブ音源「LIVE TRACK from 7/16 代官山 UNIT・前編」も収録。加えてフロントマン・畠山承平(Vo, G)が事の真相と本作に注いだ思いをじっくり語った今回のインタビューを読んでもらえば、全てに合点がいくはずだ。ここからThe Mirrazの新たな闘いが始まる。

取材・文 / 三宅正一(ONBU) インタビュー撮影 / 上山陽介

 
mixiチェック

The Mirrazはメジャー志向のバンド

インタビュー写真

──The Mirrazがメジャーに移籍するということで驚いたリスナーは多いと思うし、僕もそのひとりです。いろんな人に訊かれると思うんですけど、まず今回EMIとの契約に至った経緯から伺えますか。

今年1月に「言いたいことはなくなった」というアルバムをリリースしたんですけど、実はその前からEMIとは話をしていて。できれば「言いたいことはなくなった」もメジャーから出したかったんですよ。

──でも去年の1月に自主レーベル「KINOI RECORDS」を立ち上げたばかりですよね。それから1年弱でメジャー移籍の話が生まれていたと。

そうですね。元々はメジャーへ行く前に事務所を作って、レーベルは別にあるという形態が一番活動しやすいんじゃないかという話があって。僕は最初、事務所とレーベルの違いすらよくわからなかったけど、とりあえず事務所を作ろうかということで「KINOI RECORDS」を立ち上げたんですよね。で、レーベルとしての機能はいつかメジャーに移したいと最初から考えていて。まず「KINOI RECORDS」を立ち上げるのと同じときに「We Are The Fuck'n World」というアルバムを自分たちで出したんですけど、それからいろいろ忙しくなっちゃって。メジャーの人と話す機会もなくなっちゃったんですよね。あとは単純に多くのメジャーレーベルの人たちが、当時の俺たちを見て「ああ、自分でレーベルもやるのね」っていう目で見ていたと思うし。

──The Mirrazはインディーズにこだわっていると思っていた人たちも多かっただろうし。それはリスナーも含めてね。

そうっすね。「KINOI RECORDS」を立ち上げる前に出した「NECESSARY EVIL」(2009年10月リリース)とか「TOP OF THE FUCK'N WORLD」(2010年9月リリース)のときはいろんなメジャーレーベルから「一緒にやらないか?」という話をもらったんですけど、そのときはなんか決め手に欠けるなと思って。そもそも自分でも何を決め手にしていいのかわからなかったし。このレーベルに所属したら、こういうメリットとデメリットがあるとか。だから最終的な決め手は自分の好きなアーティストが所属しているから、くらいしか思い付かなくて。そこでいろいろ迷いながら、でもその間に活動もしなきゃいけないという感じで、時間が経過していったんです。

名刺を見せられたときに「こいつに決めた!」

──では、畠山さんの中でEMIの決め手はなんだったんですか?

インタビュー写真

単純にロゴが超カッコいいっていう。

──それは間違いない(笑)。

名刺を見せられたときに赤いロゴで「EMI」って書いてあって。「こいつに決めた!」って。

──ホントかよ(笑)。

あとは契約書を交わすときに一度本国のイギリスを通さなきゃいけないということで「あ、イギリス通るんだ。通したいな」みたいな(笑)。

──あはははは(笑)。でも、数あるメジャーレーベルの中でも、EMIは本国のみならず日本でもロックが強いイメージがあるじゃないですか。「EMI ROCKS」というロックイベントも開催しているし。そこも大きなポイントだったのかなと。

自分でもレーベルを決めるにあたってEMIはロックが強いというイメージはあったし、その影響は少なからずありますね。あとは担当ディレクターになる人と話しているときに「『check it out! check it out! check it out! check it out!』や『CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい』みたいな曲を作るThe Mirrazというロックバンドを日本で売りたいんだ」って言ってくれて。

──つまり攻撃的で不敵なイズムを性急なロックンロールで放つようなバンドの核を大事にしたいと思っていると。

そうそう。The Mirrazというバンドだったら日本で売れる曲を作れるでしょっていう発想ではなくて、The Mirrazが元々持っているもののスケール感を大きくして売っていこうという発想だったから。これはやりやすいなと思ったんです。あとは歌詞の問題も気になっていて。

──自主規制や検閲の問題ですよね。

そう。それはずっと前からいろんな人に言われてて。「メジャーに行ったら歌詞に制限をかけられちゃうよ」っていう情報が耳に入っていたから、それならメジャーは難しいなと思っていたんですよ。でも、EMIはそれこそ今回の「気持ち悪りぃ」や「E-miんの歌」もそうだけど、割と過激な方向に寄った歌詞も全然OKという状況なので。今までどおりの方法論も大事にしながら、バンドのスケール感を大きくしていける環境だって最初に言ってもらえたから。それがすごく大きかったですね。

The Mirraz(みいらず)

畠山承平(Vo, G)、佐藤真彦(G)、中島ケイゾー(B)、関口塁(Dr)からなるロックバンド。2006年9月に畠山が中心となって結成。2008年12月に1stアルバム「OUI! OUI! OUI!」、2009年10月に2ndアルバム「NECESSARYEVIL」とリリースを重ね、洋邦ロックファンから注目を集める。2011年、自主レーベル「KINOI RECORDS」の立ち上げと同時に、中島と佐藤が正式加入し現在の4人編成に。同年6月に初のシングル「観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは」、9月に2ndシングル「ラストナンバー」をリリースし、2012年1月にアルバム「言いたいことはなくなった」を発表した。同年7月にEMI Music Japanへの移籍を発表し、10月にメジャー第1弾シングル「僕らは / 気持ち悪りぃ」をリリース。