「UGLY」のテーマと位置付け

──本作は「継続する漆黒と教義」というキャッチコピーや、今作のジャケットがアルバムとつながっていることから「DOGMA」と地続きの作品だと思います。表題曲のサウンドは、アルバムで抑えがちだったデジタル要素が再び強くなっていて、アルバムと少し毛色が変わったような印象を受けました。

RUKI　「DOGMA」を作ったあとの流れで「UGLY」をどういう位置付けに持っていこうかと考えたときに、同じようになり過ぎてもつまらないと思ったんです。それにアルバムを作りきったあとで異なるものを出せるのがバンド的には健康なのかなって。次のアルバムまで待つわけにもいかないですし。わりとラフな感じで世に出すのもいいのかなと思ったんですよね。

戒　でも音の部分では多少違いがあるかもしれないけど、本質的には「DOGMA」というアルバムが訴えるもの、バンドが見せようと思っているものはブレてないんです。最初から「DOGMA」で見せていこうと決めたものと「UGLY」は変わってないですね。

──「UGLY」は直訳すると「醜い」ですね。歌詞を見ると「この痛みは届かない 嘘と生きる君へ」というように、自身の醜さというよりは外部に対して醜さを感じ、怒りの感情を向けているように感じました。過去にリリースしたシングル「Hyena」（2007年）では音楽シーンへの批判とも取れる内容が、「LEECH」（2009年）では自分たちを食い物にしようとする存在への怒りがそれぞれ歌詞で表現されていたと思いますが、今回も感情をダイレクトに表現しているのでしょうか？

麗　歌詞の内容は今まさに自分たちが思っている、感じているところです。かなりリアルな気持ちを込めています。

RUKI　the GazettEをやっている上で、我らの周りでこういうことがあるんだぜ、とリアルに伝えていきたかったというか。

麗　それぐらいドロドロしたものがありふれてることをわかってもらいたい。

REITA　そう、周りが「UGLY」なんですよ（笑）。

葵　誰も俺たちの邪魔をしなかったら、もしかすると今頃すごいラブバラードが完成したかもしれないですね。でもまあ「愛してる」みたいな曲はほかの人に任せたらいいかな（笑）。

楽曲に投影された心情

──カップリングの「DEPRAVITY」もまたライブ映えしそうな激しいナンバーですね。

葵　はい。ぜひライブでやってスカッとしたいところです。

──「悪行」を意味するタイトル、「その紙には写らない 理不尽な理由も葬り去られた事実も」という歌い出しが印象的ですね。

葵　歌詞も大変ご立腹といった内容で……。

RUKI　怒ってるというか「なんてこったい！」って感じで。歌詞を見ての通りですね。

──そして通常盤のみに収録されるカップリング曲「GODDESS」は打って変わってダウナーな楽曲で。

RUKI　あー、怒り疲れちゃったかな（笑）。

REITA　やりたい放題だな！ 歌詞に「日々病む」ってあるし……。

RUKI　俺、この歌詞書いてるときにスゲー病んでて、出てきた1行目がコレだった（笑）。

──ただこちらはネガティブなだけでなく、「生きるために願う」といったポジティブな表現もありますね。

RUKI　生きていると楽しいことばかりではないというか、つらい時期もあって。モグラみたいにスタジオにこもってずっと作業していると、「あー……アカン」みたいな状態になってくるんです（笑）。今回は特にスケジュールもミュージックビデオ撮影やレコーディング、そしてツアーといろいろなことが重なってましたし。僕たちみたいなバンドマンはライブをやっているときが健康的というか、正常モードなんですけどねえ。