yamaがTechnics「EAH-AZ100」で触れる、クリアでさりげない音の世界 (2/2)

抽象性と物足りなさ

──先ほど「TORIHADA」と「rain check」を挙げていただきましたが、この曲に込めた思いを教えていただけますか?

「TORIHADA」は「偽顔」と同じチームで作った曲で、マット・キャブさんにコライトで入ってもらっているんです。m-floの2ステップ感というか、ドライブでも聴けるようなビート感が好きで、そういったリズムを発注して、そこから広げていきました。何回も聴ける曲にすることを意識して、楽曲の尺とかグラデーションの付け方とか、もう1回聴きたくなるような物足りなさや“詰め込まなさ”を大事にしました。歌詞に関しては、響きだけで作っちゃうとなんの思いも伝わらないので、みんなでストーリーを作りながら書いていきましたね。

──ストーリーはありつつも、行間をたっぷり持たせていますよね。

「具体的すぎないようにしよう」とは思っていて。聴いた人がいろいろな状況で共感できるように、ある程度抽象性を持たせるように気を付けました。

yama

──それもある意味、味が濃くなりすぎないようにした部分ということですね。

やっぱり日々の端々に馴染む音楽を届けたいというか。朝にコーヒーを淹れるときだったり、出勤中に自分に「がんばれ」と言い聞かせたいときだったり、皆さんの日常に溶け込む楽曲を作るほうが、自分の美学と重なるんですよね。

──「rain check」に関してはいかがですか?

この曲はにおさんに書いていただいたんですけど、「一寸の赤」(2021年発表の楽曲)をリリースしたときにはすでにあったんです。でも、当時は「今の自分には表現できない」と思った。女性性が強い楽曲で、それを歌うことに違和感があったんです。それから、だんだん表現力が付いたかもと思えるようになって、このタイミングだったら歌えるんじゃないかと挑戦してみました。すごくテクニカルなメロディでしたけど、楽しくレコーディングできました。

──ボーカリストとしてのスキルアップを感じられる曲ですね。

ちょっとした抑揚や声質の変化をぜひ堪能してほしいです。ころころと変わっていく表情に、何回か聴く中でハッと気付いてもらえたらうれしいです。

yama
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こんなに静かになるのか!

──「AZ100」には、装着時の環境や耳の形状に合わせてノイズキャンセリング強度を最大化する「アダプティブ(自動最適化)ノイズキャンセリング機能」も搭載されています。ノイズキャンセリング機能はいかがでしたか?

イヤホンのノイズキャンセリング機能って、最近初めて使ったんですよ。周りが騒がしくても音量を上げればいいやと思っていて、ずっと使ってなかったんですね。でも、海外ツアーでの長時間のフライト中になんとなく使ってみたら「こんなに静かになるのか!」とびっくりしました。今さらですけど(笑)、ストレスが90%減りましたね。「AZ100」のノイズキャンセリングも使ってみましたけど、マジで周りの音が聞こえない。近くで紙をくしゃくしゃにしたり、わざと大きい音を出してみたんですけど、ちゃんとノイズキャンセリングされていました。

──外音を取り込むアンビエントモードも進化しています。

すごく自然ですよね。他社のイヤホンの外音取り込み機能を試したときは、人工的だなと思ったんですよ。流れている音楽の音質が若干下がるような気もして。音がシャリっとして聞こえるというか。でも「AZ100」の外音取り込みではその感覚が全然なかった。めちゃくちゃクリアな音楽が流れているのに会話が可能というのが不思議で面白かったです。

──デザイン面に関して言うと、前のモデル「AZ80」から本体もケースもひと回り小さくなっています。サイズ感はいかがでしょうか?

すごくコンパクトですよね。自分は耳がそんなに大きくないので、大きいイヤホンを着けていると重みでポロッと取れちゃいそうになるんですけど、それが一切なくて。ずっと着けてられます。ヘッドホンをずっと着けてると首が痛くなっちゃったり、重さって音楽を聴くうえでのストレスに直結するんですよね。「AZ100」は小さすぎてなくしちゃうほどじゃないし、ちょうどいいと思います。デザインも、スリムだけど丸みがあってかわいいですよね。変に主張してくるところもないし、日常に溶け込めるデザインだなと思いました。

Technics「EAH-AZ100」

Technics「EAH-AZ100」

──ブラックとシルバーがありますが、yamaさんはどちらがお気に入りですか?

いつもは黒があれば黒を選んじゃうんですけど、これはシルバーもいいなあ。この光沢のある感じがすごくかわいい……シルバーがお気に入りですね。ちなみに充電はUSB Type-Cですよね?

──そうです。

それもありがたいんですよね。今は少なくなりましたけど、特殊なケーブルで充電しないといけないと使い勝手が悪いなと思っちゃいます。そういうところもシンプルで使いやすくていいですね。

「ようやくできたよ」という気持ち

──最後にご自身の活動についても聞かせてください。ニューアルバム「; semicolon」はどんな作品になりましたか?

新たな自分へ再出発するような1枚になったと思います。タイトルにあるセミコロンは、区切りを表す記号なんです。でも決してピリオドではない。あくまで前後の文章をつなぐための区切りなんですね。思い悩んだ自分とか、過去のトラウマとか、いろんなものを抱えている人が、一旦区切りを付けるという意味でタトゥーにして入れることも海外ではあるそうで。私もこれまで、完璧でありたいと思うがゆえに自分を許せなかったんです。でも、妥協じゃなくて、短所も含めて自分であると思えるようになってきた。これはけっこうな変化だと思っていて。これまでリリースした3枚のアルバムは成長段階というか、闇雲な部分もあったけど、そういう自分に区切りを付けることができたのかなと。

yama

──第2章の始まりというか。

そうですね。そのあとに第3章、第4章があるかもしれないけど、ひとまず第2章が始まりそうです。

──アーティストとして新しいモードに入った実感がある?

自分で曲を書くことが多くなったのは、新しいモードに入ったということかもしれないですね。最初の頃は「自分が書く必要あるのかな」と頑なに思っていたけど、だんだんと自己表現したいと思えるようになってきて。いろんな人と関わり合いながら作ることもできるようになってきた。それは今までの自分にはできないことだったので、変化として大きいと思います。

──始まったばかりの第2章ですが、新しく挑戦していきたいことはなんですか?

せっかくの節目なので、もっと自分を出していきたいなと思っています。取りつくろっちゃうことも多かったけど、自然体な自分のよさを知ってもらいたい。いつかリミッターをぶち破る瞬間が来て、ありのままの自分を見ていただけたら、より音楽も伝わるんじゃないかなと思うので。

──yamaさんは音楽もビジュアルも作り込まれているイメージがあるので、そこを素に戻す作業をしていくということですね。

最初はまさに作り込んだものがやりたかったんですよ。スターのような、作り上げられた世界観の中にいる完璧なアーティストが理想像で、自分にもそれを求めていたんです。でも実際はけっこうポンコツなので、やっていくうちに隠しきれない人間味が出てきて、これは厳しいぞと(笑)。もう自分自身を出していくしかないなと思っています。

──そういう人間性も肯定できるようになったと。

そうだと思います。セミコロンという概念を教えてくれたのはファンの子なんですけど、その子もやっぱり同じように自分を許せなかったと思うんですよね。自分は「いつになるかわからないけど、自身を肯定できるときが来たらこういうアルバムを作ろう」と、数年前に決意して。「ようやくできたよ」という気持ちです。

yama

Technics「EAH-AZ100」

Technics「EAH-AZ100」

Technics「EAH-AZ100」

「ありのままの音が生きる、生音質へ。」をキャッチコピーに掲げる、Technicsの完全ワイヤレスイヤホン。磁性流体ドライバーを搭載しており、振動板の正確なストロークで音楽を再生することで新次元のクリアさと臨場感を実現している。「EAH-AZ80」よりコンチャフィット形状を小型化し、軽い着け心地で多くの人に快適なフィット感を提供。また市場の要望に応え、通話やノイズキャンセリング、バッテリー性能なども使いやすさが向上している。

公式サイト

公演情報

the meaning of life TOUR 2025

  • 2025年3月9日(日)北海道 Zepp Sapporo
  • 2025年3月13日(木)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2025年3月14日(金)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2025年3月20日(木・祝)福井県 鯖江市文化センター
  • 2025年3月22日(土)富山県 砺波市文化会館
  • 2025年3月30日(日)宮城県 SENDAI GIGS
  • 2025年4月9日(水)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2025年4月10日(木)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2025年4月12日(土)広島県 JMSアステールプラザ 大ホール
  • 2025年4月17日(木)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2025年4月18日(金)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2025年4月24日(木)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
  • 2025年4月25日(金)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)

プロフィール

yama(ヤマ)

SNSを中心にネット上で注目を集める新世代シンガー。2018年よりYouTubeをベースにカバー曲を公開し活動をスタート。2020年4月に自身初のオリジナル楽曲としてリリースした、ボカロPくじらが手がけた「春を告げる」はSNSをきっかけに多くのリスナーの心をつかみ、あらゆるヒットチャートでトップにランクイン。また2022年に放送されたテレビアニメ「SPY×FAMILY」の第2期エンディングテーマである「色彩」では、ボカロPくじらと約3年ぶりにタッグを組んだ。2025年3月に4thアルバム「; semicolon」をリリースし、4月まで全国ツアー「the meaning of life TOUR 2025」を行う。