PUNPEE&原島“ど真ん中”宙芳|ガジェット好きとイヤホンビギナーが語るTechnics「EAH-AZ100」の魅力 (2/2)

こんなものが市販されているのか

PUNPEE ちなみに自分、これに搭載されているという「磁性流体ドライバー」がすごく気になっているんです。いったいどういう仕組みなんですか?

──イヤホンの中に磁力を持った液体が入っていて、振動板のストロークを正確に制御することで、音のブレや歪みを軽減しています。さきほど話題に出た音の粒立ちを際立たせているのがまさにこのドライバーです。Technicsの製品だと、10万円以上する有線のハイエンドイヤホンには搭載されています。それをこの価格帯で実現させた、というのが今回のポイントなんです。

PUNPEE あ、なるほど。音に合わせてイヤホンの中でヴェノムみたいなのが動いて音のブレを軽減させてるんだ。「AZ100」で音楽を聴くと、音が1つの塊じゃなく、構成している音の1つひとつまでクリアに聞こえました。しかも単純に“左側から聞こえる”とかじゃなくて、左の奥のほうで鳴っているとか、そういう定位もしっかりわかる。リバーブ(残響音や反射音。音に深みを出すエフェクト)もめっちゃ聞こえるし、音が詰まりすぎてないというか。

PUNPEE

PUNPEE

──音の広がりと奥行きを感じることができる、と。

原島 そう。だからサンプリングの元ネタを聴いたりすると面白いかもね。「このビートはここをこう増強しているんだ」とか気付けたりすると思う。

PUNPEE 普通の状態でもライブ音源を聴いているような感覚だったから、アプリでイコライジングやノイズキャンセルを細かく調整したらさらにすごい没入感を作れそう。

原島 あ、俺はそのノイズキャンセリングも初めて体験しました。最初、普通のモードがノイズキャンセリングだと思っていたんです。でも途中で気付いてオンにしたら、音の解像度が一気に上がって驚きました。

PUNPEE カナル型イヤホンに続き、ノイズキャンセリングも初体験なんすね。この時代にこんなビビッドな反応をくれる人はなかなかいない(笑)。ノイズキャンセリングの度合いもアプリで調整できるらしいですよ。

原島 すごいですね。正直、こんなものが市販されているのかって衝撃を受けましたよ。

未来を感じるデザイン

PUNPEE 自分はガジェットが好きなので、このデザインもすごく気に入りましたね。ケースの「Technics」のロゴにも高級感があって。イヤホン本体も、未来を感じるデザインでかわいいですよね。水を耳に装着している感じ。

Technics「EAH-AZ100」

Technics「EAH-AZ100」

原島 俺はイヤホンのことを全然知らないから、とんちんかんなことを言っているのかもしれないけど、さっきから聞いているとすごくいろいろな機能が付いてますよね? なのにボタンらしきものがほとんどないことにびっくりです。最初はよくわかんなかったから、適当にイヤホン本体を触っていたら何かにタッチできて。

PUNPEE ワイヤレスイヤホン初体験だとやっぱりそうなりますよね。

原島 でも「ああ、こうやんのか」って、長押しとか感覚的にすぐ理解できました。今、こんなふうになっているんですね。

──「AZ100」はかなり操作しやすいと思います。複雑なことはアプリでできますし。

原島 あと、大きければ音がいいというものではないですが「音のクオリティに対して小さいな」という印象がありました。ケースも含め。

左からPUNPEE、原島“ど真ん中”宙芳。

左からPUNPEE、原島“ど真ん中”宙芳。

──「AZ80」から少し小さくなっています。

PUNPEE 大きすぎず小さすぎずって感じでいいですよね。個人的にはケースを立たせられるのが好きです。テーブルに置いたときに視認性が高いのってまあまあ重要な気がするんですよね。そのほうがなくしづらいし。

──「AZ80」からの改善点を挙げると、まずバッテリーの連続使用時間が伸びたこと、あと通話の場合はそれぞれの声が相手にクリアに届くという機能があります。

原島 え! 着けたまま電話もできるんですか?

──できます。通話状態になると、マイクが拾ってしまう余計な音をカットして、お互いの声だけが相手に聞こえるようになっているんです。

PUNPEE そうなんですね。自分はたまにZoomで会議をするので今度使ってみます。なんかこのイヤホンはガジェットとしての強みが多いですね。そういうところに「Technics」を感じます。

ヒップホップ特有の“揺れ”を聴く

──「AZ100」で聴いてもらいたい自分たちの楽曲を挙げるとしたら?

PUNPEE 「夢のつづき」ですかね。宙芳くんと一緒にラップした初めての曲なので。

──「夢のつづき」はPUNPEEさんにとってどんな存在の楽曲なんですか?

PUNPEE 2人でここまでラップする曲を作ることになるとは思っていなかったので、いまだに不思議な曲だなと思いますね。「夢のつづき」は、実は自分はすでに死んでいて、今見ている世界は“夢のつづき”なんじゃないか、という妄想を2人で曲にしたものなんですよ。「夢にしてはいいところまできましたね」っていう。そういう、夢がベースになっている曲を臨場感のある「AZ100」で聴いたら面白いんじゃないかと思います。

原島 サウンド的なことで言うと、ハットを意識して聴いたら面白そうだよね。

PUNPEE あー、確かに。

原島 この曲のビートは、PUNPEEが「FUJI ROCK FESTIVAL」のWHITE STAGEに出たときに苗場のホテルで聴かせてもらったんです。「なんかドラムの位置が面白いよね」って話した記憶があります。一般的なリズムのパターンでは鳴らないところでハイハットが聞こえたりしていて。

PUNPEE これはブダくん(BudaMunk)のビートです。普通はキックが1で入って、スネアが2、キックが3、4となるけど、ブダくんはハイハットが3拍子のところで急に鳴ったりする。揺らぎをドラムで体現する方なんですよね。

──“揺らぎ”をもうちょっと言語化していただきたいです。

PUNPEE ヒップホップに関して自分の思うビートの揺らぎなんですけども、すべてのサンプリングの素材は異なるレコーディング環境で録られていて、それぞれ異なるスウィング感があるわけじゃないですか。90年代のヒップホップなんかはそれをピンポイントでサンプリングして組み替えてコラージュしているわけです。

原島 全然違うものをいろんなところから持ってきて組み合わせて1曲にしている。そうすると普通のバンド演奏では生まれない、表現上の“揺れ”みたいなものが出てくるんです。そこがヒップホップの面白いところ。「夢のつづき」は特にその面白さが特徴的に出ている曲だと思います。あと「夢追人 feat. KREVA」とかも。

原島“ど真ん中”宙芳

原島“ど真ん中”宙芳

PUNPEE 以前、自分がサンプリングで作った曲を生ドラムで叩いていただいたことがあったんですよ。そうすると、原曲とはハイハットのタイミングとかそういう細かいところの違いで印象が変わってくる。あと、一般的にはハイハットのローを削りがちなのですが、ヒップホップの人はあえてローを鳴らしてグルーヴを出したりもしています。自分の曲を生ドラムで叩いていただいたときは、ハイハットのパッドのローを切らずに叩いてもらったりして、曲が持っている揺らぎ感を再現しました。

──サンプリングと生ドラムの音の違いという点では、お二人が出演しているライブDVD / Blu-ray「PUNPEE PRESENTS SEASONS GREETINGS'18」を観るときに「AZ100」を試すのも面白いかも。

PUNPEE それ、いいかもしれないですね。あと映画を観るときとかにも使ってみたい。

原島 でもさ、こんな解像度の製品が一般化されちゃうと作る側は大変じゃないの?

PUNPEE 音楽って、時代ごとの最新デバイスによって変わっていくものだと思うんですよね。だからむしろこういうイヤホンが出てくるのは面白いです。この価格のワイヤレスイヤホンで、この臨場感が出せるのはすごい。リバーブや定位がしっかり分離して聞こえるので、自分の聴いてほしい位置に声を配置したりとか、破裂音の表現にこだわったりとか、いろいろやってみたくなりました。

原島 もう1個買ってカミさんにプレゼントしようかな。驚くと思うんだよな。

PUNPEE

PUNPEE

原島“ど真ん中”宙芳

原島“ど真ん中”宙芳

Number_iは裏方にも光を当ててくれている

──お二人の活動についてもお聞きできればと思います。PUNPEEさんといえば、最近はNumber_i「SQUARE_ONE」のプロデュースが大きな話題になりました。こちらの制作についてはいかがでしたか?

PUNPEE ダンスボーカルユニットへの楽曲提供が初めてだったのですごく新鮮でした。Number_iの皆さんと遊びで作ったノリをそのまま曲に押し込めたんです。ご本人たちが楽しんでいる感じって、聴き手の皆さんにも伝わるじゃないですか。そういうノリや勢いを皆さんに届けられたと思うし、本当にたくさんの人に聴いてもらえたことがうれしかったですね。

原島 「SQUARE_ONE」はDJのときにめちゃくちゃ使わせてもらってるよ。

PUNPEE 自分とか宙芳くんがDJで「SQUARE_ONE」をプレイすると、Number_iさんのヘッズの方が「かけてくれてる」と反応してくださるんですよ。そういうのは初めての経験だったのでびっくりしました。

──PUNPEEさんの音楽が新しい層に届きましたね。

PUNPEE そうですね。しかも普段と変わらないスタンスで自由にやらせていただけたんですよね。ものすごく柔軟でした。自分のネームタグも入れさせてくれたし。あと、Number_iさんがライブのときに「SQUARE_ONE」の尺を伸ばしてダンサーさんの紹介に使ってくださって。それがものすごくうれしかったです。裏方にも光を当ててくれるんですよね。そういう皆さんの姿勢もあって、お互いにいい形で融合できたんだと思います。

──では最後に、PUNPEEさんと原島さんがお互いにとってどんな存在か、教えてください。

PUNPEE 宙芳くんがDJのとき後ろにいてくれると心強いですね。10代からの付き合いだから感覚的に共有できる部分もすごく多い。いい距離感でやらせてもらっています。あとは特有のこだわりとか人間らしさとか自分にないものをたくさん持っているので。これからもよろしくお願いします。

原島 「夢のつづき」のリリックじゃないけど、「いいとこまできたよな」っていうか、まだ行くんだろうなって感じですね。昔からカッコいいと思っていますが。これからも迷惑かけない程度に、遊んでもらったり無茶に付き合ってもらおうかなって。

PUNPEE 2人で作った曲でまだ世に出てないものもあるしね。

──それをぜひ「AZ100」で聴いてもらいたいですね。

PUNPEE そうっすね。「AZ100」のことを意識しながら制作しましょうかね(笑)。

左からPUNPEE、原島“ど真ん中”宙芳。

左からPUNPEE、原島“ど真ん中”宙芳。


Technics「EAH-AZ100」

Technics「EAH-AZ100」

Technics「EAH-AZ100」

「ありのままの音が生きる、生音質へ。」をキャッチコピーに掲げる、Technicsの完全ワイヤレスイヤホン。磁性流体ドライバーを搭載しており、振動板の正確なストロークで音楽を再生することで新次元のクリアさと臨場感を実現している。「EAH-AZ80」よりコンチャフィット形状を小型化し、軽い着け心地で多くの人に快適なフィット感を提供。また市場の要望に応え、通話やノイズキャンセリング、バッテリー性能なども使いやすさが向上している。

公式サイト

プロフィール

PUNPEE(パンピー)

東京都板橋区出身のラッパー / トラックメーカー / DJ。2006年に「ULTIMATE MC BATTLE 2006」東京大会で優勝し、2007年にGAPPER、弟の5lackとPSGを結成。PSGは2009年10月にデビューアルバム「David」をリリースし、この作品は各所で高い評価を集める。エナジードリンク「レッドブル」のCMソングや、TBS系「水曜日のダウンタウン」のオープニングテーマおよびジングル制作で多くの人々に知られるようになる。2015年12月に加山雄三とのコラボ曲「お嫁においで 2015」をアナログ12inchでリリース。2017年1月に宇多田ヒカルのヒット曲をリミックスした「光(Ray Of Hope MIX)」を全世界で配信し、同年10月に初のソロアルバム「MODERN TIMES」を発表した。2024年には、5月リリースされたNumber_iのミニアルバム「No.O -ring-」に楽曲「SQUARE_ONE」を提供し話題を呼んだ。

原島“ど真ん中”宙芳(ハラシマドマンナカミチヨシ)

1981年生まれのDJ / トラックメイカー / ラッパー。PUNPEE、仙人掌、GAMEBOYS(CHAPAH & KAICHOO)らのライブDJを務めることで知られており、地元の友人でもあるPUNPEEとのユニット・板橋兄弟としても活動している。ヒップホップグループ・Chaos On Paradeとして初のシングル「グッドフェローズ / 車窓から」を2022年2月にリリースした。