TEAM SHACHIインタビュー|全力でしゃち誇り、愛にあふれた13年。 (3/3)

“わかってるけど”全力でやった「鯱詣2025」

──2019年はTEAM SHACHIとしての活動1年目らしく、いろんなところでライブをしたり、さまざまなコラボも行ったり、主演映画「燃えよ!失敗女子」の公開もあったりと、たくさんトピックがある1年でした。

坂本 そうそう。それで「Rocket Queen feat. MCU」のリリースもあって、夏フェスもたくさん出ていい流れだった。

咲良 けど、翌年からコロナが流行り始めてさ……。

大黒 コロナ禍は同期のグループが解散したり活動休止したりしたけど、うちらは前を向いてずっとポジティブな話し合いをして、「シャチZERO」だったり「おうち時間LIVE」や「SPOT」という企画を通じてファンの皆さんにライブを届けてきたじゃん。これはいつでも前を向いて進んできたTEAM SHACHIのチームだったからこそ実現したと思う。

──大黒さんが言ったように、TEAM SHACHIはコロナ禍もいろんな形でエンタメを届け続けて、2021年にはリアルライブも再開しました。これまでもライブでファンを魅了してきたTEAM SHACHIらしく、ライブハウスでのライブをたくさん重ねて、秋には満員のパシフィコ横浜で「OVER THE HORIZON ~はちゃめちゃ!パシフィコ!~」を開催しました。この実績をもってまた日本武道館公演を開催するという夢を強く宣言して。

大黒 2022年はTEAM SHACHI名義で初めてのアルバム「TEAM」をリリースして、路上デビューから10周年を期に、ずっとお世話になっていたunBORDEさんから卒業してプライベートレーベルを立ち上げたり……この年もすごい年だったね。

坂本 TikTokで「待ち合わせに、飽きもと。」(参照:TEAM SHACHI、正体隠してTikTokで大バズり!ネタばらしまでの裏側を、自ら仕掛けたメンバーが語る)をバズらせたのも懐かしいね。2023年か。いろんなチャレンジをしたなと思います。

──解散を考え始めたのは3年前という話が冒頭でありましたが、いろいろとクリエイティブなことをやってみて、いよいよやり尽くした感覚が少しずつ出てきた中、目標に掲げている日本武道館での単独公演は現実的なのかと向き合い始めた……というところでしょうか。となると、冒頭の話にしっかりとつながっていく気がします。

咲良 そうですね。でも記事を見るとどれもしっかり思い出せるから、本当に常に全力だったんだなと思います。活動の裏でたくさん話し合いを重ねて、2025年で解散するということを決めてからのTOKYO DOME CITY HALLでの「鯱詣」だったから、今までにない感情でライブをやったんですよね。終わることが“わかってるけど”全力でやるっていうのが。

坂本 ファンのみんなはまだ解散することを知らなくて、その中でライブをやるという状況だったからね。タフ民が何も余計なことを考えずにただただライブを笑顔で楽しめるのはこれが最後なんだということを噛み締めながら「鯱詣」に挑みました。

坂本遥奈

坂本遥奈

大黒 始まる前の円陣がすごく長かったよね。

秋本 そうそう。お互いに「楽しもうね!」って励まし合ってね。

シャチらしさって、こういうこと

──そして解散を発表して、最後にリリースするのが今回のEP「DERA Journey!!!!」です。リード曲の「翔け抜けてスターマイン」は、浅野くんこと浅野尚志さんの提供曲です。TEAM SHACHIのこれまでを詰め込んだ歌詞は涙なしには聴けない……と思いながらも、ライブですごく盛り上がれるアッパーな浅野サウンドがシャチらしい曲です。

咲良 本当に私たちらしさが詰まっているなと思います。Dメロでほーさん(秋本)が歌う「無駄なことなんて 何ひとつなかったはずだから 一片の悔いも残さない! 全力でしゃち誇れ」という部分なんかはちょっと聴いててグッと来るところがありますね。でもすでにライブでかなり盛り上がる曲に育っているので、感傷に浸るよりも楽しい気持ちが勝っちゃってます。最後のライブ曲という感じです。

──ライブで披露する前も「楽しい」曲になると思っていましたか?

咲良 シャチらしさってこういうことだから楽しい曲にしよう、と決めていました。

──MVは「首都移転計画」「愛の地球祭」「いいくらし」をはじめ、チームしゃちほこ時代からお付き合いのあるスミスさんが監督ですね。浅野くんにスミスさんと、まさに集大成と言える布陣です。

秋本 最後もスミスさんに監督してもらえてうれしいです。古民家で撮影して、夏休みを詰め込んだような映像になっています。ぜひみんなに観てもらいたいです。

咲良 私たちの笑顔がずっとあふれてるMVです。

大黒 あと、菜緒が苦手なクラッカーを笑顔でがんばっています。

咲良 シンプルに怖いんだよね。がんばりました。

10年ぶりのえびシャチライブ

──2曲目の「晴れ晴れ」はyouth caseさんの提供曲です。youth caseさんも「よろしく人類」にはじまり、「パレードは夜空を翔ける」や「Rainbow」などシャチのライブを彩る楽曲をたくさん手がけてきた作家さんです。9月21日の東京でのラストライブ「TEAM SHACHI 最終SHOW ~アイドルロード~:君のココロの伝説になりたい!」で初披露されるそうですが、楽曲をもらったときはどんな気持ちになりましたか?

秋本 めっちゃうれしかったです。今のシャチの4人がこうありたいという気持ちを歌詞にしてもらえて、湿っぽくならずに晴れ晴れした気持ちで活動を終えたいと考えているので、そんな思いに寄り添ってもらえたなと思います。

──4人に用意された花道のような曲ですよね。

坂本 明るい雰囲気で、すごく自分たちらしいなと思いました。「晴れ晴れ」に関しては披露するチャンスが少ないと思うので、1回1回気持ちを込めて歌いたいです。この曲は振付を槙田紗子さんにお願いしたんです。紗子さんはシャチの歴史も知っていて、ご自身もPASSPO☆のメンバーだったからアイドルの経験がある。だからこそ作れる振付で、振り落としのときからエモい気持ちになっちゃって。ライブで観たらタフ民も思いがあふれ出ちゃうんじゃないかな。

咲良 私たち、タフ民の泣き声が聞こえてくるパートを予測していて(笑)。

大黒 うちらは笑顔で歌い切りたいから、つられて泣かないようにがんばりたいよね。

大黒柚姫

大黒柚姫

坂本 リハのときからタフ民の顔が思い浮かぶから早く届けたい思いもあるし、初披露したときに自分がどんな気持ちになるのか……ずっとドキドキしてる。

咲良 この曲は“やり直し可能曲”にしておきたい。笑顔で歌い切りたいから。

──「翔け抜けてスターマイン」はこれまでのこと、そして「晴れ晴れ」はこれからのことを描いていて、対になっているのがいいですよね。これらの新曲が披露されるであろうステージは東京でのラストライブ後もたくさん用意されていて、ばってん少女隊、いぎなり東北産との対バンライブ「スタプラローカリズム vol.5」や私立恵比寿中学とのツーマンライブ「俺のえびシャチライブ~THE FINAL~」は特に注目度が高いのではと思います。

秋本 えびシャチはたぶん10年ぶりくらいなんです。

──2015年の1月以来のようです。

大黒 前回もやったけど「また明日」とか一緒に歌いたいよね。

咲良 うんうん。どの曲になるかはわからないけど、またコラボしたいなと考えてます。

TEAM SHACHIにとってタフ民とは

──そろそろ締めに入っていこうと思うのですが、これまで応援してくれたタフ民は4人にとってどういう存在ですか?

大黒 うれしいことだけじゃなくて、ネガティブな気持ちも共有したいと思える存在です。いいところだけを見せたいから悔しいことは隠したいと思うことも大人になってから増えたけど、それでもタフ民にはそういう気持ちも共有したい。タフ民だったら一緒にがんばって乗り越えてくれるだろうという自信があるし、真摯に向き合ってくれると知っているから、本当に些細なことでも報告したいと思えるんですよね。ちょっと髪切ったよとか、それくらいのことだけでも報告したい存在です。

坂本 私にとってタフ民は“青春仲間”って感じ。形が変わっても、挑戦することが大好きなチームをずっと愛してくれて、一緒に青春を捧げてきたなと思うので。途中で離れてしまった人もいたかもしれないけど、そのときどきで“今のシャチ”に青春を捧げてくれたことに感謝したいです。

咲良 タフ民に喜んでもらいたいとかタフ民を納得させたいとか、自分たちがタフ民に対してできることを考えてずっと活動していたので、それを言葉で表すなら道しるべなんじゃないかなって。そういうふうに考えて活動していたことが伝わっていたからこそ、メンバーの卒業とか改名とか大きな変化があっても、みんなここまでついてきてくれたんだなと思っています。

秋本 私はタフ民を……真実の愛を教えてくれた人だと思っています。こんなに愛にあふれた13年間は普通に過ごしていたら訪れなかったので。エンタメってなくても生きていけるものなのに、必要としてくれて、ライブに来てくれたり、コメントをくれたりすることは、本当に愛でしかない。私たちの関係は愛で成り立っていると思うんです。アイドルをやってなかったらこの愛には気付かなかった。

──では、最後の質問です。皆さんにとってTEAM SHACHIとはどういう場所でしたか?

咲良 実家よりも長くいた場所。育った場所って感じ。みんなに育ててもらったなと思います。

坂本 うんうん。菜緒ちゃんを育てた自覚はありますね、私たち(笑)。今の菜緒、会ったときと全然違うもん。

大黒 全然違うよね。でもこの活動が終わったらシャチになる前の菜緒に戻っちゃうのかな?

咲良 戻っちゃうかも。

坂本 でもさ、それはそれでよくない? うちらといるから“菜緒”だったって感じで。でもそれは菜緒だけじゃなくてみんなそうかもね。グループ内でのキャラクターがあって、それを13年貫いたから。今の自分も本当だけど、シャチを終えるということは、また別の自分を取り戻すタイミングなのかもしれない。

咲良 私、絶対口数減ると思う(笑)。ハルもしっかりしてなくてもよくなるから、もっとのほほんとした感じになると思う。

大黒 柚姫もまたネガティブな性格になっちゃうかなあ。それはやだからみんな定期的に会おうね?

秋本 うん!

坂本 シャチ会はこれからも開催しよう。私たちを守ってくれた場所で、守りたい場所だから。

TEAM SHACHI

TEAM SHACHI

公演情報

スタプラローカリズム vol.5

2025年11月9日(日)愛知県 COMTEC PORTBASE
[第1部]OPEN 13:15 / START 14:00
[第2部]OPEN 17:15 / START 18:00
<出演者>
TEAM SHACHI / ばってん少女隊 / いぎなり東北産
MC:堀くるみ(ex. たこやきレインボー)


私立恵比寿中学×TEAM SHACHI ツーマンライブ「俺のえびシャチライブ~THE FINAL~」

2025年11月30日(日)神奈川県 パシフィコ横浜国立大ホール
<出演者>
私立恵比寿中学 / TEAM SHACHI


TEAM SHACHI解散ライブ

TEAM SHACHI 最終SHOW ~晴れ晴れ~
2025年12月13日(土)愛知県 名古屋城 二の丸広場 野外特設ステージ
OPEN 17:15 / START 18:00 / END 20:30(予定)

プロフィール

TEAM SHACHI(チームシャチ)

スターダストプロモーションの女性アイドルセクション・STAR PLANETに所属するガールズユニット。愛知県出身の秋本帆華、咲良菜緒、大黒柚姫、坂本遥奈の4人からなる。2018年10月に前身グループ・チームしゃちほことしての活動を終了し、TEAM SHACHIとして再スタートを切った。2021年10月に神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールでワンマンライブ「OVER THE HORIZON~はちゃめちゃ!パシフィコ!」を行い、成功に収める。2022年2月に1stフルアルバム「TEAM」をリリース。同年の夏に、10年間にわたってタッグを組んできたワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル・unBORDEを卒業し、プライベートレーベル・ワクワクレコーズを立ち上げた。2024年2月にワクワクレコーズ設立後初のアルバム「笑う門には服着る」をリリース。2025年12月に“路上デビュー”の地である、名古屋城のふもとで解散ライブ「TEAM SHACHI 最終SHOW ~晴れ晴れ~」を開催し、13年8カ月の活動に終止符を打つ。