TEAM SHACHIプライベートレーベル設立後初のフルアルバム、メンバー個別インタビューで探るグループの変化

2022年夏、それまで10年間にわたってタッグを組んできたワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル・unBORDEを卒業し、プライベートレーベル・ワクワクレコーズを立ち上げたTEAM SHACHI。結成12年目ながら新たな道を歩んでいる彼女たちが、レーベル設立後初のフルアルバム「笑う門には服着る」をリリースした。

アルバムは「さまざまなジャンルの服(=曲)を着たTEAM SHACHI」が作品全体のテーマ。早くもライブの鉄板曲に定着した「沸き曲」、ヤマモトショウが提供した「おとなりさん」という先行配信曲2曲のほか、本間昭光やMIMiNARI、沖聡次郎(Novelbright)、松隈ケンタ、TEAM SHACHIの盟友・浅野尚志による新曲が収められている。プライベートレーベルからの発表となったことで、グループの音楽性にどのような影響があったのか。楽曲以外の面ではいったいどんな変化が訪れたのか。2016年以来となる東京・日本武道館公演の開催を目指しているTEAM SHACHIを深く掘り下げるべく、音楽ナタリーではメンバー4人の個別インタビューを行った。

取材・文 / 左藤豊撮影 / 佐々木康太

坂本遥奈 インタビュー

「かわいい」も「カッコいい」も、何もかも自信がある

──TEAM SHACHIは2022年8月にプライベートレーベル・ワクワクレコーズを発足しました。そこから約1年半の活動を通して感じたことを聞かせてください。

プライベートレーベル発足以降、いろんなTEAM SHACHIを見せられている実感があります。チームしゃちほこからTEAM SHACHIに改名したタイミング(2018年)では「私たちは変わった」という部分を見せなきゃいけなかったので、ラウドポップというコンセプトでカッコよさを前面に出し、逆にチームしゃちほこ時代の色はあえて薄くしていたんです。でも今はそういった縛りみたいなものもないですし、チームしゃちほこ時代も含めて私たちのよさだと思っているので、とにかく自分たちがワクワクできるものを作って発信していこうと思いながら活動しています。

──そのワクワクが詰まったのが今回のアルバム「笑う門には服着る」なんですね。

はい! アルバムリリースにあたって新曲を7曲レコーディングしたんですけど、楽曲が届くたびにワクワクを感じましたし、制作期間中メンバー同士で「今回ヤバくない? すごいアルバムができるんじゃない!?」と話していました。中でもメンバーの心に刺さったのが「沸き曲」です。難しいことを考えずにライブで沸き散らかせる曲を私たちも求めていたので、初めて聴いた瞬間に「これだ!」とハマって、速攻でレコーディングしました。しかも(大黒)柚姫と(秋本)帆華ちゃんの「沸き曲」に対する熱量がものすごく大きかったので、「だったらもう2人がメインボーカルで歌っちゃいなよ!」という話になり、私はラップ、(咲良)菜緒はクイズだけを担当することになりました(笑)。

──歌唱パートの多い2人と少ない2人が明確に分かれているのはそういう理由だったんですね。

レコーディングではサビのユニゾン部分も歌いましたけど、ライブでは両手を左右に振る動きを大きく見せたいので、私と菜緒は歌わずダンサーに徹しています。「あの2人、全然歌ってなくない?」って思われているかもしれないけど(笑)、メンバーやスタッフさんと話し合って役割分担を決めて、楽しみながらパフォーマンスしています。

──実際に「沸き曲」をライブで披露してみて、手応えはいかがですか?

ありがたいことに、びっくりするくらい反応がいいんです! みんなでコールをして踊れるというTEAM SHACHIのライブの楽しさが凝縮されているので、ファンの皆さんも「こういう曲を待ってた!」って。チームしゃちほこ時代から今までずっとライブの鉄板曲と言えば「抱きしめてアンセム」だったんですけど、「沸き曲」は構成がわかりやすいこともあって、新規の曲なのに早くも「アンセム」くらい盛り上がっています。

──「沸き曲」のほかにも、アルバムには多種多様な楽曲が収録されています。坂本さんの中で特に印象深い楽曲を挙げるとしたら?

新しいTEAM SHACHIを見せることができたという意味で、ヤマモトショウさんに作っていただいた「おとなりさん」はとても新鮮でした。ライブの激しさやロック要素強めの楽曲のイメージが強いTEAM SHACHIが、ついにかわいい面を解禁しちゃいました(笑)。楽曲も衣装も振付もかわいくて、楽しい! ちなみにこの曲は元PASSPO☆の槙田紗子さんに振付を手がけていただきました。PASSPO☆と言えばアイドルの先輩ですし、チームしゃちほこ時代にフェスでPASSPO☆のお姉さんたちのステージを観ていたので、今回紗子さんに振付してもらえるのが楽しみで。お会いしたとき「10年ぶりだよね!」と覚えてくださっていたのがうれしかったですね。紗子さんも「楽曲とTEAM SHACHIのイメージがかけ離れているから最初はびっくりした」とおっしゃっていたんですけど、かわいくてコミカルな振りを作っていただきました。決して無理をしている感じにはならない、TEAM SHACHIらしい“かわいい”を作り上げることができたと思います。

──音楽面でグループに変化が生まれていく中、メンバー自身にはどんな変化がありましたか? ここ最近、特に大きく変わったメンバーは誰でしょう?

一番変化が大きいのは柚姫かな。もともとファンの方やメンバーへの愛は強かったものの、だからといってそれを言葉にするタイプではなかったんです。でも、「愛の重さを伝えてもいいんだ」って本人が気付いたんでしょうね。今ではもう愛がダダ漏れ(笑)。MCで「シャチを胸に刻みながら日々生きていってください」みたいなことを言うんですよ。選ぶ言葉がいちいち重たくて、一周回って面白くなっちゃってる(笑)。そこが柚姫の個性であり、素敵なところだなと思います。柚姫の愛あふれるパフォーマンスにも刺激を受けています。

──では、TEAM SHACHIが見据える今後の展望についても聞かせてください。

今やっているツアー(「ライブハウスツアー2023-2024 WINTER~ライブスペクタクル!命短し、沸かせよ乙女~」)のセットリストには今回のアルバムの新曲がけっこう入ってるんですけど、それがファンの方たちの間ですごく好評なんです。みんなに楽しんでいただけるライブを作れているのは、きっとそれだけ楽曲が強いからなんだろうなと私は感じていて。だからこそ、このアルバムを多くの人にぜひ聴いてほしい! いろんなタイプの曲が入っているので、初めてTEAM SHACHIを聴いてくださる方も絶対に心に刺さる曲があるはず。アルバムを入り口にして、ライブに足を運んでいただけたらうれしいですね。そして、満員の日本武道館でライブをするという私たちの目標につながればいいなと思っています。

──坂本さんは今作のリリースにあたって「今のシャチが間違いなく一番かっこいいし!可愛いし!! 最強です!!!」とコメントされていました。それだけ今のTEAM SHACHIには自信があるということですね。

はい。プライベートレーベルを立ち上げて自分たちで責任を持って作品を作っているからこそ、自信があるものしか届けていません。「かわいい」も「カッコいい」も、何もかも自信があるので、ぜひアルバムを通してたくさんの方に受け取ってほしいです!

秋本帆華 インタビュー

「なんか面白そうなことやってるなあ」と思われたい

──プライベートレーベルを立ち上げてからおよそ1年半。活動内容にも変化があったと思うのですが、手応えはいかがですか?

手応えは……ありますね(笑)。長年お世話になったワーナーミュージック・ジャパンさんから離れてプライベートレーベルを立ち上げた当初は、何がどう変わるのかあまりわかっていなかったんです。でもいざ自分たちのレーベルでの活動が始まると、新曲のジャンル決めや配信の頻度など、全部自分たちのやりたいようにできるようになって! 外側から見るとあまり大きな変化は感じないかもしれないけど、私たちとしては楽曲制作やライブ制作に深く関われるようになって、とてもうれしいです。

──秋本さんにとって、特に関わることができてうれしかったことはなんでしょうか?

今のところ一番うれしかったのは「沸き曲」を世に出せたことです。もともと「沸き曲」はアルバムに入る予定ではなく、アルバムの会議でスタッフさんから「今まで楽曲コンペでこんな曲も来ていたんだよ」と聴かせていただいた1曲だったんです。メンバー間で「えっ、こんなにいい曲があったの!?」という話になって、即レコーディングすることになりました。私はただただ楽しい曲をやりたかったから、「沸き曲」と出会えたのは本当に大きいです。レコーディングでも私はめちゃめちゃ前のめりでしたね。レコーディングは1番目が柚姫、2番目に私という順番だったんですけど、柚姫のレコーディング中から私もスタジオに入って。柚姫が受けているディレクションを聞きながら「じゃあ私はこうしよう」とイメージを作っていきました。振付もメンバーで考えましたし、まさに自分たちで作り上げた曲だな、プライベートレーベルだからこそできたことだなと感じています。

──先ほど坂本さんもおっしゃっていましたが、「沸き曲」は早くもライブで大盛り上がりだそうですね。

はい。しかも今までにない沸き方なんです! 振付の動きが簡単だから初めて見た方でもすぐに踊れるし、声を出して騒げるので、ライブで初披露したときから皆さんすぐに踊って沸いてくださいました。あまりにも反応がよくて、「すごい曲だ!」って思いました(笑)。3分っていう短さもちょうどいいんですよね。最大瞬間風速のまま一気に駆け抜けていく感覚が楽しすぎる! 12年間いろんな楽曲を歌ってきましたが、私は今この曲が一番しっくりきています。「沸き曲」をやっているときの私が一番ニッコニコしていると思います!

──そんな「沸き曲」も収録されたニューアルバム「笑う門には服着る」について、秋本さんはどういう1枚だと捉えていますか?

TEAM SHACHIにとって、変わったものと変わらないものがひとつになったアルバムだと思います。まず変わらない部分でいうと、今回「愛のニルバーナ」を作ってくださった浅野(尚志)くんや「江戸女」を作ってくださった(川谷)絵音くんは、ワーナーミュージック・ジャパン時代から関係性が続いていて。レーベルが変わっても関係は途切れず続けていけるんだよとファンの方にも示せたと思います。一方で変わった部分は、やはり「おとなりさん」ですね。デモ音源をいただいたとき、あまりにかわいい曲だったので自分たちが歌っている姿が想像できなかったんですよ。でもいざチャレンジしてみると、ちゃんとTEAM SHACHIの曲になった。ファンの方からは「激しさが強みだと思っていたけど、かわいいシャチもありだね」という反応をいただいて、出してみてよかったなと思っています。

──カッコいい部分やかわいい部分、TEAM SHACHIのさまざまな面が楽しめるアルバムになっていると感じました。

楽曲の幅が広すぎて、「同じアーティストが歌っているのか?」とびっくりしちゃうかもしれません(笑)。曲順も面白いんですよ。8曲目「NEO首都移転計画」で名古屋のことを歌っているのに、次の9曲目「江戸女」の歌詞が「江戸の女に生まれたかった」って、どういうこっちゃって(笑)。曲順で言えば、Novelbrightの沖聡次郎さんが提供してくださった「Voyage」が1曲目に入っているのもすごくしっくりきています。「Voyage」の「さあ行こうか、虹を背に進め」という歌詞が大好きで! 私たちは12年活動する中で何度も“出港”というか、再スタートを切っているんですけど、過去を「虹」という言葉に例えてくださったのがとてもうれしくて。同じく松隈ケンタさんも提供曲の「勲章」で過去のことをタイトル通り“勲章”と例えてくださいましたし、本当にありがたいなと思います。

──ところで、メンバーの皆さんはライブの制作にも深く関わるようになったそうですね。

はい。メンバー全員ライブへのこだわりはかなり強いです。例えばレッスンの時間も、半分くらいは話し合いに充てていますね。「この曲のここをこうしたい」とか「ここの煽りはこの子が煽ったほうがいいよね」といった意見を出し合いながら作っています。「この子の個性を生かしたいからこうしよう」という思いももちろんあるんですけど、今やっているツアーでは楽曲のよさを生かしたいので、「楽曲に自分の個性を合わせにいく」という挑戦をしています。

──では最後に、TEAM SHACHIの今後についてお伺いします。秋本さんとしては昨年TikTokでバズった「待ち合わせに、飽きもと。」のように、面白いことにどんどんチャレンジしていきたいというスタンスなんでしょうか?(参照:TEAM SHACHI、正体隠してTikTokで大バズり!ネタばらしまでの裏側を、自ら仕掛けたメンバーが語る

その通りです! 「待ち合わせに、飽きもと。」はTEAM SHACHIを知らない層に私たちのことを知ってもらいたくてがんばってみたら、反響がすごく大きくて。友達からも「面白い!」と連絡がいっぱい来てうれしかったです。私としては、「なんか面白そうなことやってるなあ」と思われるグループでありたいです。「あの子たち、また何かやってるよ~」って思われたい(笑)。12年もやっているからズシンと構えなきゃ、みたいな考えは一切ありません! 楽しそうなことは躊躇せずにどんどんやっていきたいと考えています。

──ファン以外の方に「TEAM SHACHIって面白いグループだな」と興味を持ってもらい、そこから目標の日本武道館へつなげていこう、と。

そうですね。興味を持ってもらって、ライブに来てもらいたいです。来てもらえれば、好きにさせる自信はあるので!