TEAM SHACHI「待ち合わせに、飽きもと。」インタビュー|TikTokバズから生まれた“踊れる”EP (2/2)

地元民としてのこだわり

──収録曲の3曲目「まつりびと~カキツバタ~」は、「TEAM SHACHIのソーラン節(南中ソーラン)」同様に和の要素が強い1曲です。

咲良 まず最初に「にっぽんど真ん中祭り」(毎年8月末に名古屋で行われている日本最大級の“よさこい”イベント)の総踊り曲をTEAM SHACHIが1曲担当させていただけるという話が決まって。私たちにとって「どまつり」は生活に根付いているお祭りなので、最初にデモ音源をいただいたときに「もっとこういうテンポにしたい」とか「イントロは短くしたい」とか、地元民としてのこだわりがどんどん出てきてしまいました。けっこういろいろ注文させていただいたよね。

秋本 踊りのことを考えながら伝えさせていただいて。

咲良 シャチのアイドルっぽい振りというよりもみんなで踊れるような、よさこいに徹した踊りになっています。シャチのこと、「どまつり」のことを日本中に皆さんに知ってもらえるきっかけの曲になればいいなと思っています。

咲良菜緒

咲良菜緒

──皆さんはこれまでも地元に根付いた楽曲多く発表してきましたが、愛知を代表するお祭りの楽曲をリリースするとなると、感慨もひとしおではないでしょうか。

坂本 「どまつり」公式ですから、本当にすごいことですよ! 振付を手がけた方が「ここは迷ったんだけど、どうかな?」と振り入れのときに聞いてくださって、一緒に作り上げた印象もあるんです。いろんな方の協力があって完成した曲なので、より多くの方に知ってもらいたいですし、こちらも海外に届けたいです!

咲良 「TEAM SHACHIのソーラン節(南中ソーラン)」と「まつりびと~カキツバタ~」は特にそうだよね。

大黒 「どまつり」に関わることができるだけでも幸せなのに、総踊り曲として愛知県民の皆さんに踊っていただけるわけで。愛知県に恩返しをすることがデビュー当時からの最終目標だったんですけど、この曲がどんどん広まっていけばその夢につながると思うので、愛知発のガールズグループとして地元を盛り上げていこうという気持ちがさらに強くなりました。

大黒柚姫

大黒柚姫

「沸き曲」との運命の出会い

──そして、EPの最後を飾るのはすでにファンにはおなじみの楽曲「沸き曲」です。

大黒 ここまでの並び、最高だよね。これ以上ないよね?

秋本 そうだね。去年の10月に配信でリリースして、今年のフルアルバムにも収録していて。初披露からまだ1年も経っていないんですけど、すでにライブの鉄板曲に成長しています。ライブになくてはならない1曲になりました。

──イントロを聴いた瞬間、否が応でもアガりますよね。

咲良 本当にそうなんです。気持ちが「わーっ!」って高ぶるんだよね。

坂本 どれだけ落ち込んでいても、この曲が始まったらアガらざるを得ない。

大黒 強制的にね(笑)。

──最初に音源を聴いたときから、このような鉄板曲になることを想像できていました?

大黒 (即答で)はい!

秋本 私たちは想像できてたよね?

咲良 運命の出会いだった。

大黒 これなら天下を取れると思いました。

咲良 曲を最初に聴いたときのこの2人(秋本、大黒)の勢いが本当にすごくて(笑)。前回のフルアルバムのためにいろんな曲を準備していたんですけど、「ちなみにこういう曲もあるんだけど」ってストックされていた曲の中に「沸き曲」があったんです。ほとんど今と同じくらい仕上がっていて、1回聴いて柚姫と帆華が「わーっ!」って絶叫してました。

秋本 その場で踊り出したもんね(笑)。

秋本帆華

秋本帆華

坂本 4人全員じゃないっていうのが、またいいよね。

大黒 両極端というか。

咲良 初めて聴いたときに同じようなリアクションをする人たちが、ほかにもいるんじゃないかと思ったんです。それくらいインパクトがあるはずだって。

大黒 このままストックしておいたらほかのアーティストさんに取られると思って、「今すぐ(楽曲制作者の)藤田(卓也)さんに連絡してください!」とスタッフさんに伝えました。

秋本 「温めてる場合じゃない! 今すぐ電話してほしいです!」ってね(笑)。

咲良 ライブハウスツアーが控えていたから、ライブ感を強く打ち出した楽曲が欲しかったんです。そういう意味で「これは間違いない!」と。先ほどの撮影中のBGMとしてこの曲が流れていたんですけど、ほーちゃんが「はあ……いい曲が流れてる」とつぶやいてました(笑)。

秋本 本当に大好き!

大黒 どの曲も思い入れが強いし、こだわり抜いたうえで発表しているんですけど、自分たちの曲に対してここまでファン目線で好きと思える曲ってそうそうなくて。

咲良 メッセージらしいメッセージがないところが、またいいんだよね。

大黒 ただバカになろうっていう。

坂本 何も考えずに踊れるのが一番!

咲良 この曲を披露するときは2人(秋本、大黒)の表情が急にガラッと変わって、こっちが清々しくなるくらいカッコよくキメてくれます。

坂本 いつも「もっといけ!」と思いながら2人を見ています(笑)。

坂本遥奈

坂本遥奈

大黒 私たちがこの曲の一番のファンだからね。たとえ5時間ライブしてヘトヘトになっても、「沸き曲」がかかったら切り替えられる自信があるし、それぐらいのパワーを持っている曲だと思います。

咲良 爆発力が本当にすごくて、初めて聴いた人も「え、なんか楽しい!」と思うはず。

秋本 「楽しんでいいよ!」って、メロディが教えてくれるんですよ。

まだまだがんばりたいと思えるこの環境に感謝

──今回のEPは、TikTokの「待ち合わせに、飽きもと。」でTEAM SHACHIに興味を持った人なら確実に惹きつけられる曲ばかりですね。

坂本 すごいですよね、本当に。「TEAM SHACHIのソーラン節(南中ソーラン)」と「まつりびと~カキツバタ~」で和の世界を見せて。

大黒 かと思えば、「のんあるすいけん feat.炒飯」は中華とパラパラだし、国籍、年齢、性別関係なく人類みな踊れ!っていうことを表現した作品ですね。

秋本 やりたいことを全部詰め込んだらこうなりました(笑)。

TEAM SHACHI

TEAM SHACHI

──年明け1月にはTOKYO DOME CITY HALLでのワンマンライブが控えていますし、その先にはさらに大きな会場でのライブを目指していると思います。TikTokでのバズを起こして、これだけ強い曲を得られたTEAM SHACHIですが、ここからはどういう姿を見せていきたいですか?

坂本 「TikTokがきっかけで来ました」と言ってライブに足を運んでくれる方が少しずつ増えているんですけど、その数をもっと増やしていくのが今の私たちの課題でもあるかなと。そういう意味では「待ち合わせに、飽きもと。」も第2ステージに入ったと思うので、たくさんの方にTDCホール公演に足を運んでもらうためにどうしたらいいのか、楽しみながらいろいろ考えていきたいです。

大黒 チームしゃちほこ結成から今年で13年目に入りましたが、この13年でアイドルシーンもすごく変わったじゃないですか。その13年のアイドル文化を駆け抜けてきたシャチって、実はすごく強いと思うんです。だって10数年前のアイドル楽曲が好きな方にハマる曲も持っていますし、逆に最近アイドルオタクデビューをした方にハマる曲もある。それが最強の武器になると思います。この財産を持って、今のシャチの強さや魅力をたくさんの方に向けてぶちかましていきたいです。

咲良 その財産を掘り返すことができるのは一種の強さでもあると思います。最近は出し惜しみをしないというのが私たちの中でもテーマというか、前身グループの初期の曲から最近の曲までざっくばらんにライブで披露するんですけど、その中で「このイベントにはこの一発でしょ!」「このアイドルちゃんと一緒ならこの曲が刺さるでしょ?」っていう1曲をライブごとに選んでいて。そういうことができるのが今のシャチの長所だと思うので、いろんな場面で会心の一撃を狙っていきたいです。

秋本 このインタビューを受けている間にも、「ここをもっとがんばりたい」とかやりたいと思うことがどんどん浮かんでくるんです。例えば、海外に向けて何か仕掛けたいとか、TikTokも今度はこういう感じでがんばりたいとか。13年目なのにまだまだがんばりたいと思えるこの環境に感謝だし、今のシャチを少しでも多くの方に知ってもらいたいので、すべてのことに対して「こなす」のではなく、自分たちが楽しみながら全部がむしゃらに向かっていきたい。そのがんばりが毎回報われなくても少しはかするかもしれないし、その“かすり”が増えていったら私たちに注目してくれる人も増えると思うので、とにかく今できることを初心を忘れずにやっていきたいなと思います。

TEAM SHACHI

TEAM SHACHI

プロフィール

TEAM SHACHI(チームシャチ)

スターダストプロモーションの女性アイドルセクション・STARDUST PLANETに所属するガールズユニット。愛知県出身の秋本帆華、咲良菜緒、大黒柚姫、坂本遥奈の4人からなる。2018年10月に前身グループ・チームしゃちほことしての活動を終了し、TEAM SHACHIとして再スタートを切った。2019年2月にミニアルバム「TEAM SHACHI」でデビュー。2021年10月に神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールでワンマンライブ「OVER THE HORIZON~はちゃめちゃ!パシフィコ!」を行い、成功に収めた。2022年2月に1stフルアルバム「TEAM」をリリース。同年の夏に、10年間にわたってタッグを組んできたワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル・unBORDEを卒業し、プライベートレーベル・ワクワクレコーズを立ち上げた。2024年2月にワクワクレコーズ設立後初のアルバム「笑う門には服着る」をリリース。8月には、素性を隠した状態で“バズ”を生み出したTikTokアカウントと同名タイトルのEP「待ち合わせに、飽きもと。」を発表した。