武道館への道のりは昔と今では全然違う
──プライベートレーベル発足から1年半が経ちましたが、グループの活動にはどんな変化がありましたか?
プライベートレーベルになったことで、自分たちが出したいタイミングで曲をリリースできるようになったと感じています。リアルタイムとまでは言わないけれど、私たちが今届けたいものをすぐに表現できるのがプライベートレーベルのいいところだと思っています。具体的に言うと、ツアーに向けて「ライブのこのあたりで盛り上がる曲が欲しい」といった細かいイメージをスタッフさんに伝えて楽曲をリクエストできるようにもなりました。TEAM SHACHIらしさを大事にするだけでなく、「こういう曲に挑戦したい」「最近こういうのが流行っているから私たちもやってみたい」といったメンバーの意思も作品作りに反映されるようになったなと思います。
──ニューアルバム「笑う門には服着る」の楽曲たちは、そういったメンバーの意思によって生まれたと。
そうですね。ただメンバーからのリクエストで生まれた曲ばかりじゃなく、スタッフさんから「こういうのもやってみようよ」と提示していただいたことがきっかけで生まれた曲もあって。メンバーやスタッフさんたちも含めてみんなでアイデアを出し合い、それこそチームで作り上げたアルバムだと思います。
──その結果、非常に振れ幅の大きい1枚になりましたね。
はい。チームしゃちほこ時代からいろんなジャンルの楽曲を作っていただいていたので、正直「もうやり尽くしたかな」と思っていたんですよ。だけど今回さらにいろんなジャンルの曲を歌わせていただき、「私たちがやれることはまだこんなにあったんだ!」と改めて実感しました。あと、昔からお世話になっている作家さんに今回も楽曲を提供していただいたんですけど、作家さんも私たちも年月が経つといろいろと変わっていくじゃないですか。だから、同じ組み合わせでも昔と今じゃまったく違うものが生まれて、面白いなと感じました。
──「私たちがやれることはまだあった」と特に感じた楽曲はどれでしょう?
やっぱり「おとなりさん」です。今までのTEAM SHACHIの印象とは真逆の楽曲なので。今までの楽曲ではほーちゃん(秋本帆華)がかわいらしいパートやセリフを担当することはあったものの、メンバー全員でかわいい衣装を着てかわいい曲を歌うのは初めてだったので、違うアイドルグループになったような気分になりました。ファンの方も喜んでくれて、「アイドル好きの人たちはかわいいものが好きなんだな。やっぱりかわいいこともやっていなきゃなあ」と学びました(笑)。
──特に咲良さんはロック好きで、ライブではカッコよく煽ったりするイメージが強いので「おとなりさん」は挑戦だったのでは?
そうですね。パワーのある声がグループ内での役割だと自分でも思っていたから、高音を張り上げて歌うパートを多く担ってきました。「おとなりさん」はセリフっぽく語るような歌なので、歌唱法の面でも初めての経験でした。
──パフォーマンスする際、照れや気恥ずかしさはありませんでした?
照れというよりも「私、できているのかな」という不安はあって。今回のツアーを通して、みんなのリアクションを見つつ「こうすれば喜んでもらえるんだな」と研究しているところです。でも「かわいい」と言ってもらえるのはうれしいですね。特に衣装を褒めてもらうことが多くて、競演したアイドルちゃんから「その衣装めちゃくちゃかわいい!」と褒めてもらったりすると自信になります!
──ちなみに、「おとなりさん」を手がけたヤマモトショウさんとはお会いになりましたか?
はい。レコーディングでディレクションをしていただきました。ええと……話が変わっちゃってもいいですか?(笑) ショウさんとは初対面だったんですけど、ものすごく趣味が合ったんです! ショウさんも私もX JAPANと「スター・ウォーズ」が好きで、レコーディングが終わったあと意気投合してめっちゃ長話をしました(笑)。レコーディングしたショウさんのスタジオもX JAPANと「スター・ウォーズ」だらけのカオスな部屋だったんですよね。ショウさんってかわいい楽曲のイメージが強いけど、根本はロックな人なんだなって思いました(笑)。ショウさんにはロックな楽曲も作ってほしいです!
──さてTEAM SHACHIは結成から12年間活動してきましたが、どういったところで成長を感じますか?
結成当初は中学生だったから、みんなずっと元気でうるさくて! 昔は今日のような取材や撮影では私たちが騒ぎすぎるせいでスケジュールが押したりしていたんですけど、今ではそういうこともなく空気を読めるようになったので、そこは大きな成長だと感じます(笑)。私たち大人になったなって。
──活動への向き合い方や考え方の面でも、大人になったなと思う部分は多いのでは?
そうですね。私たちには改名だったりレーベルの立ち上げだったりいろんなターニングポイントがあり、その都度自分が何を思って活動しているのかを話してきました。そこでお互いの気持ちを再確認し、「この子はそんなふうに思っていたんだ。だったら私ももっとがんばらなきゃ」と感じてきたんですけど、特に改名以降はそれぞれの責任感が強くなったと感じます。例えばほーちゃんはもともと自分の意見を通そうとするタイプではなく調和を重視する子なので、いつもほかのメンバーを優先しようとしてくれるんですけど、センターとして「ここで決めなきゃ」という場面では前に立って物事を決めてくれるようになりました。昔は私たちがほーちゃんの背中を押していたけど、今や自分から進んで前に出てくれるようになって、頼もしいなと感じています。
──そして、TEAM SHACHIの現在の目標である「満員の日本武道館でライブをすること」。そこへ向けての展望を聞かせてください。
今回のツアーでほーちゃんが「チャンスをつかみに行くツアーを今やっているんだ」と話していて、確かにそうだなと思いました。「昔はチャンスをもらっていたけど、今は自分たちでチャンスを作ってつかまなきゃいけない。そのためのツアーなんだ」って。それこそ前に武道館のステージに立ったときは、背中をたくさん押してもらっているうちにいつの間にか立っていたみたいな感覚でしたから。「武道館でライブをする」という事実は同じかもしれないけど、そこへの道のりは昔と今じゃ全然違いますし、叶えたいという思いは今とても強いです。「自分たちの力で武道館をつかんだんだ!」という実感をファンの方と一緒に味わえたらいいな。そんな未来へ向かって進んでいきたいです。
安心してTEAM SHACHIについてきて
──ここまで3人にお話を伺ってきたのですが、プライベートレーベルでの活動に皆さん手応えを感じているようでした。大黒さんもほかの皆さんと同じでしょうか?
はい、私も今すごく活動を楽しめています! 最初は「私たちどうなっちゃうのかな」という不安が大きかったんですけど、プライベートレーベルで活動してみると自分たちの意見を形にして発信できることが増えて。メンバーがやりたいと思ったことに挑戦できる環境だなと感じているし、今また新鮮な気持ちで活動に臨めています。ステージに立つ側として、「ライブでこういう曲が欲しいよね」という話は昔からメンバー内でよくしていたんです。でもそれをスタッフさんに直接伝えられる機会が、プライベートレーベルになってからとても増えました。その結果、楽曲の幅もライブの幅も広がったと最近特に感じますね。
──今回のアルバムの楽曲の多くも、メンバー側からの「こういう曲が欲しい」という要望で作られたそうで。
そうです。例えば「おとなりさん」で言うと、今までTEAM SHACHIは誰かの背中を押すような応援ソングが多かった一方、かわいい恋愛ソングが全然なかったんです。でも私自身アイドルが大好きだし、ファンの立場からすると推しのかわいい姿を見られるのはうれしいじゃないですか。時代の流れ的にも最近はかわいさに振り切った曲がたくさんヒットしているので、私たちも挑戦してみたいなと思ってヤマモトショウさんに楽曲を作っていただきました。「おとなりさん」はファンの方にすごく喜んでいただけているので、挑戦してよかったなと思っています。
──プライベートレーベル立ち上げ以前と以後で、楽曲を制作する過程での違いはありますか?
以前は、長年お世話になっている方にずっとレコーディングのディレクションをしていただいていました。それがプライベートレーベルになってからは、松隈さんの楽曲であれば松隈さんが、Sundae May Clubの浦(小雪)さんの楽曲なら浦さんが直接ディレクションしてくださるというような機会も増えて。いろんな方と関わることで、今まで見せてこなかった一面、自分でも知らなかった一面を引き出していただいているように感じます。メンバー同士でも「この子、こんな歌い方もするんだ!」という発見があり、新境地を切り開けたアルバムになりました。
──ちなみに、誰のどんな一面を新発見しましたか?
みんな新しい面が出ているけど、一番わかりやすいのはほーちゃんかな。ほーちゃんの歌声ってかわいいんです。カッコいい曲でもかわいさを残しながら情熱的に歌うのが彼女の魅力で。そんな中、今回のアルバムに収録されている「勲章」という曲は、「私たちががんばってきた12年の歴史はすべて勲章だよ」というめちゃくちゃ熱いメッセージが込められていて、この曲のほーちゃんの歌声が今までとは全然違うんです! カッコいいほーちゃんに、メンバーみんなびっくりしました。
──「勲章」は松隈ケンタさんから提供してもらった楽曲ですね。
ほーちゃんに話を聞くと、ディレクションで松隈さんから「かわいさは消して、カッコいい部分だけを見せて」と言われ、レコーディングブースの照明を消してライブ会場本番さながらの雰囲気の中でレコーディングをした、と言っていました。今回のツアーでも「勲章」は毎会場セットリストに入っているんですけど、私自身、生のほーちゃんの歌声は何回聴いてもカッコいいなと感じています。満員の日本武道館でライブをするという目標を掲げて活動をしている中、「勲章」でのほーちゃんの歌声を聴くと「もっとがんばろう!」って思えるし、元気がもらえます。
──メンバーから刺激やパワーをもらい、それを原動力として日本武道館を目指して進んでいるわけですね。
はい! なので、今回メンバーの新しい面を引き出してくださった作家の方々には本当に感謝しています。そして、仲間たちと切磋琢磨しながら、皆さんの想像を超えるパフォーマンスをしていかなきゃいけないなと思っています。「目標を作らず今を楽しもう」という活動のスタイルも、きっと幸せだとは思います。でも私は常に目標を持っていたい。なりたいものを思い描いて、そこへ向かっていく過程が私は好きなんですよね。仲間と協力して進んでいく熱い感じが大好き! ときにはメンバー同士ぶつかることもあるかもしれないけど、みんなで同じ方向を向いて進んでいきたいです。
──熱いですね! 先ほど坂本さんに話を伺ったところ「最近の柚姫はファンやメンバーへの愛がダダ漏れ」とおっしゃっていたのですが、今の大黒さんの言葉を聞いて、まさにその通りだと思いました。
確かにダダ漏れしちゃっていますね(笑)。もともと愛情深いタイプではあったんですけど、最近その重さがさらに大きくなっちゃっているんです。武道館への思いも強すぎて、ツアー中に何度も感情が込み上げてきたりして。その愛がファンのみんなにも伝わっていたらいいな。ハル(坂本)とはツアー先のホテルで一緒に寝たりするんですけど、「明日は朝早いから、早く寝ようね」と言いつつ結局熱い話をしちゃうんですよ。この前も2人でベッドの上で「今のTEAM SHACHIに足りないものは何か」ってテーマで熱く語り合いました(笑)。でも、ここまでメンバーと腹を割って話すようになったのも最近になってからで。以前はスタッフさんが敷いてくださったレールの上を走るのが私たちの役目だったけれど、TEAM SHACHIに改名したくらいからメンバーに意志が生まれて、その意志をお互いに話すようになりました。
──では最後に、今後の活動に向けての意気込みをお願いします。
私は、TEAM SHACHIを好きでいてくださる方たち全員に平等に愛を届けたいなと思っています。最近、ファンの方同士がツアーなどを通してどんどん仲よくなっている気がするんですよ。はじめましての方に積極的に話しかけているのをX(Twitter)でもよく見かけますし。もしかしたら「12年もやっているTEAM SHACHIを今から好きになるのって、出遅れてるかな」と思っている方もいるかもしれないけど、全然そんなことはありません! 好きになってもらえたら、平等に大きな愛で包みます! なので、ニューアルバムを聴いて興味を持ってくれたら、一度ライブに足を運んでいただけたらうれしいです。タフ民(TEAM SHACHIファンの呼称)はみんな優しいので、お友達もできるはず。Xで「初めて行きます」とつぶやいてくれたら、きっといろんなタフ民から「FF外から失礼します」ってリプライが来ると思う(笑)。だから安心してTEAM SHACHIについてきてください!
ライブ情報
TEAM SHACHI ライブハウスツアー2023-2024 WINTER ~ライブスペクタクル!命短し、沸かせよ乙女~
- 2024年2月17日(土)東京都 Spotify O-WEST(※追加公演)
OPEN 17:45 / START 18:30 - 2024年2月25日(日)東京都 KANDA SQUARE HALL
[第1部]OPEN 14:15 / START 15:00
[第2部]OPEN 17:45 / START 18:30 - 2024年3月31日(日)兵庫県 神戸Harbor Studio(※振替公演)
[第1部]OPEN 14:15 / START 15:00
[第2部]OPEN 17:45 / START 18:30
※U-NEXTにてKANDA SQUARE HALL公演第2部を生配信
ライブ配信:2024年2月25日(日)18:30~ライブ終了まで
見逃し配信:配信準備完了次第~2024年3月24日(日)23:59まで
プロフィール
TEAM SHACHI(チームシャチ)
スターダストプロモーションの女性アイドルセクション・STARDUST PLANETに所属するガールズユニット。愛知県出身の秋本帆華、咲良菜緒、大黒柚姫、坂本遥奈の4人からなる。2018年10月に前身グループ・チームしゃちほことしての活動を終了し、TEAM SHACHIとして再スタートを切った。2019年2月にミニアルバム「TEAM SHACHI」でデビュー。2021年10月に神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールでワンマンライブ「OVER THE HORIZON~はちゃめちゃ!パシフィコ!」を行い、成功に収めた。2022年2月に1stフルアルバム「TEAM」をリリース。同年の夏に、10年間にわたってタッグを組んできたワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル・unBORDEを卒業し、プライベートレーベル・ワクワクレコーズを立ち上げた。2024年2月にワクワクレコーズ設立後初のアルバム「笑う門には服着る」を発表した。
TEAM SHACHI💪❤️💙💜💚 (@shachi_staff) | X