ナタリー PowerPush - たんこぶちん

バンド=自分たちがやらなきゃいけない楽しいこと

佐賀・唐津市の高校3年生5人からなるガールズバンド、たんこぶちんが7月17日、メジャー1stシングル「ドレミFUN LIFE」をリリースする。

たんこぶちんは2007年、メンバーが小学6年生のときに結成。以来、年齢不相応ともいえる高度なテクニックとアンサンブルを引っさげ、九州を中心にライブ活動を展開する一方で、今年1月の「The 6th Music Revolution」など、数多くのコンテストで賞を獲得。また「ARABAKI ROCK FEST.13」などの音楽フェスや、日本テレビ系「AKBINGO!」といったテレビ番組にも出演し、さらにはMADOKA(G, Vo)がGoogleのCMキャラクターに抜擢されるなど、現在、各方面で大きな注目を集めている。

今回ナタリーでは彼女たちのメジャーデビューを記念してインタビューを実施。早熟の天才バンドはいかにして誕生したのか? そしてイマドキの地方在住のJKのバンドライフとは? その実態に迫った。

取材・文 / 成松哲 インタビュー撮影 / 上山陽介

バンド結成の主な理由は「誘われたから(笑)」

──結成は小学6年生のときなんですよね? なぜバンドを組もうと?

MADOKA(G, Vo)

MADOKA(G, Vo) 5年生のときに、6年生の先輩が学校で演奏してるのを観て「やってみたいな」と思ったので。小学校の先生が、部活とかではないんですけど、希望した子たちに楽器を教えてたので「私も習おっかな」って。

──ほかの皆さんはなんでその課外活動に?

NODOKA(B) 誘われたから?

YURI(G)HONOKA(Dr) うん。

──誘ったのは当然……。

MADOKA はーいっ!(笑)

──CHIHARUさんも誘われてバンドに?

CHIHARU(Key) いや、私は最初マネージャーって感じでみんなの練習を見てただけなんですけど、もともとオルガンを習ってて。それを知ってた先生から「キーボードしてみんか?」って言われたので。楽しそうだったし「あっ、はい」って。

──小学生バンドのマネージャーって何をするんですか?

MADOKA(G, Vo)

CHIHARU 特に何も……。だから「バンドやらんか?」って言われたんだと思います。

──練習中、あまりにヒマそうにしてたから(笑)

CHIHARU はい(笑)。

MADOKA そういえばYURIも最初マネージャーやったよね?

──明らかにマネージャーが供給過多ですよね(笑)。

YURI ですね(笑)。なので、私もみんなの練習が楽しそうに見えたし、先生に「空いてるパートないですか?」って聞いてギターになりました。

──皆さん、MADOKAさんや先生に強要されたわけではなく、面白そうだから話に乗った、と。

HONOKA はい。全員5年生のときに観た先輩のバンドをカッコいいなあ、って思ってましたから。

MADOKA よかったあ(笑)。

主戦場は夏祭りのカラオケステージ

──課外活動の小学生バンドってどんな曲をプレイするんですか?

MADOKA 先生が最初にもってきてくれたのはチャットモンチーさんの「バスロマンス」で……。

NODOKA(B)

NODOKA あとは大塚愛さんの「CHU-LIP」とか、木村カエラさんとか、SCANDALさんとか「けいおん!」とか?

──「Don't say "lazy"」?

MADOKA そうですそうです。SCANDALさんも「けいおん!」も、先生じゃなくて、高校受験のときに抜けちゃった前のボーカルの子がもってきてくれて。あと「バスロマンス」以外のチャットモンチーさんとかもそうなんですけど、中学に上がったくらいからは自分たちで「カッコいいからやってみたい」って曲をやるようになりました。

YURI でも最初の頃はどの曲もギターもベースもドラムもキーボードも全部ひとまとまりの音に聞こえてて。「どれが私の弾くギターの音やろ?」って感じでした(笑)。

MADOKA 楽譜の読み方もわからんから、先生に「お前はここ弾け」って感じで蛍光ペンでピャーって線を引いてもらってましたし(笑)。

──そんな調子の面々が6年後にメジャーデビューするにはけっこうな努力が必要な気もするんですけど、どのくらい練習してました?

MADOKA 小学校のときは毎日。放課後とか、朝、授業が始まる前とか、20分休みっていう普通の休み時間より長い休み時間があったので、その時間とかに。で、中学になってからは週1で。地元に子供にはタダで貸してくれるスタジオみたいなのがあるので、そこで小学校のときの先生に教わってます。

──練習の成果の発表の場、つまりライブはどんなところで?

NODOKA(B)

YURI 地域の盆踊りみたいなところとか。

──お祭りのときって地域の人のカラオケ大会なんかのためにステージを用意してたりするけど……。

NODOKA そこでやってました(笑)。

YURI 福岡とか佐賀市内とかならライブハウスもたくさんあるんだけど唐津にはあんまりなかったっていう理由もあって、出るのはお祭りみたいな地元でやってる野外のイベントが中心でした。

MADOKA あとバンドのホームページの掲示板に「こんなイベントに出ませんか?」って書き込みがあったりして。先生にその人と連絡をとってもらって九州のほかの県のイベントに出たりとか。ライブハウスでやったのは中学生になって応募したミューレボ(ヤマハ主催の23歳以下を対象とした音楽コンテスト「Music Revolution」)の予選が初めてだったんですよ。でもそのおかげで場数を踏めたし、結果的にはそれでよかったのかな、って。

──ライブハウスのチケットノルマなんかに頭を悩ませることなくバンバンステージに立てるし、バンド目当てではないとはいえお客さんはいっぱいいるし。

MADOKA そういう感じでした(笑)。

「力試し」と「面白そう」でコンテスト荒らしに

──その「Music Revolution」では今年の1月に優秀賞を獲ったり、それから「SCANDALコピーバンド / ヴォーカリストコンテスト」の決勝大会に2年連続で進んだり、「AKBINGO!」に出てAKB48の前で「GIVE ME FIVE!」をカバーしていたりしますよね。そういうコンテストやテレビ番組への応募はどなたが?

MADOKA SCANDALさんの話は前のボーカルがもってきました。でも、その年はもう応募を締め切ってて「来年がんばろう」ってことになったんですけど、その子はバンドをやめちゃったので「じゃあ5人で」ってことで毎年出てて。あとAKBさんのは面白そうだったので(笑)。

HONOKA(Dr)

YURI で、ミューレボは先生です。毎年恒例の力試しって感じで先生が応募してたので。

MADOKA 私たちも「今年は九州大会まで行けたから、来年は西日本大会を目指してみよう」って感じでやってるよね。最初はコピーで出てたんですけど、中3のときからはオリジナルで出てました。

──インディーズでもリリースしていて、デビューシングル「ドレミFUN LIFE」のカップリングにもなっているオリジナル曲「コイゴコロ」や、2枚目のインディーズ盤の「UJI UJI」って古きよきアメリカンロック、サザンロックっぽいですよね。どうしてああいうサウンドデザインに?

YURI みんなでメロディを考えてから先生と一緒にコードやアレンジを作ってたら、ああいう感じの音になっちゃってました(笑)。

たんこぶちん

2007年、MADOKA(G, Vo)、YURI(G)、CHIHARU(Key)、NODOKA(B)、HONOKA(Dr)らが小学校の課外活動の一環として佐賀県唐津市で結成したガールズバンド。九州を中心にライブ活動を行うかたわら、ヤマハ「Music Revolution」など、さまざまな音楽コンテストで各賞を受賞する。2008年には唐津と姉妹都市提携を結んでいる韓国・麗水市との交流イベント「麗水市国際青年祝祭」や、2013年には「ARABAKI ROCK FEST.13」にも登場。さらに2008年放送の「M PRESENTS 全力!Tunes」(日本テレビ系)や、2012年の「AKBINGO! サマースペシャル ! 全力バンド選手権」(同)に出演し、MADOKAがGoogleのCMキャラクターに選ばれるなど、各方面にその名を轟かせ、2013年7月「ドレミFUN LIFE」でメジャーデビューした。