ナタリー PowerPush - たんこぶちん

バンド=自分たちがやらなきゃいけない楽しいこと

バンドの原動力は「楽しいから」

──「なっちゃった」とは言いつつも、皆さん別にお仕着せで演奏させられてる感じではないですよね。先生の影響を受けながらも、ちゃんと主体的に活動している印象があります。

YURI でもウチらってなんかヘンですよね(笑)。

HONOKA(Dr)

──あっ、その自覚ってあります?(笑) いわゆるインディーズのバンドとは成り立ちも活動形態も全然違うよなあ、って。

MADOKA はい。最初はなんも考えてなかったんですけど……。

──まあ小学6年生ですし(笑)。

MADOKA でもライブハウスに出るようになると、対バンの人とかと話をするじゃないですか。

HONOKA そうすると、なんかおかしい(笑)。

CHIHARU 皆さん、デビューなんかを目指してバンドをやってるのに……。

MADOKA 私たちは楽しいからしてる、みたいな(笑)。よく「メジャーデビューしたいからがんばってるんじゃないの?」みたいに言われてたんですけど「いや、楽しいからしてるだけ」みたいな感じでした。

受験 vs. メジャーデビュー

──そのある意味“目指してはいなかった”デビューのきっかけは?

MADOKA 今年のミューレボです。優秀賞をいただいたらヤマハの方から「デビューを目指してがんばってみませんか」ってお話があって。

──で、実際にデビューが決まったときの心境って?

YURI(G)

YURI 目指してなかったとはいえ、やっぱりうれしかったんですけど「ほかにもいいバンドがいるのに私たちでいいのかな?」とも思って。不安はそれぞれ抱えてたと思います。

一同 うん。

──へえ、ちょっと意外かも。皆さん基本的にフットワークが軽いじゃないですか。先生がもってきた「Music Revolution」の話にも「力試しがてら出てみる?」って乗っかるし「AKB48の前で『GIVE ME FIVE』をカバーしたら面白そうだよね」ってことでテレビにも出ている。でもデビューについては悩んだ?

YURI 全員受験生だから「進路どうしよう?」みたいな気持ちもありましたし。テレビやコンテストは放送日や本番が終われば終わりなんだけど、デビューは将来にかかわるっていうか、がんばり続けなきゃいけないことだから。

──進学とデビューを両天秤にかけて悩むあたりも「楽しいからバンドをやる」って言い切る皆さんらしい気がしますね。

HONOKA 確かに(笑)。でもやっぱり「デビューしたら、進学とか、自分のしたいことを全部はできなくなるのかな」って思っていて……。でもみんなとバンドはしたいし(笑)。だからメッチャ悩んだんですけど、お父さんとお母さんが「あんたたちには後悔しない道を選んでほしい」って背中を押してくれて「じゃあ両方やってみよう」って。

YURI(G)

──NODOKAさんはHONOKAさんとは双子の姉妹ですよね。やっぱりご両親の言葉に背中を押された?

NODOKA はい。今の自分に勉強とバンドをちゃんと両立させられるのか普通に迷ったんですけど、お父さんとお母さんが応援してくれたし、あとバンドのみんなも「支え合ってやっていこう」みたいなことを言ってくれたんで「がんばろう」ってなりました。

CHIHARU 私もそうかも。みんなと話し合って「いや、もうバンドも進学も両方やるしかない」って気持ちになったって感じだったから。

YURI でも「やるしかない」になるまでにはそれぞれけっこう悩んだし、泣いたよね(笑)。

メジャーデビューってすごい!

──デビューシングル「ドレミFUN LIFE」の表題曲ってバンドオリジナルではない、作家さんからもらった曲ですよね。

NODOKA だからいつもとは違う感じっていうか、明るくて楽しそうだなって印象を受けました。

CHIHARU(Key)

──確かにサザンロックっぽくはない、いわゆる「ポップ」な楽曲ですよね。歌詞もメロディも明るいし、キメやブレイクがいっぱいある魅せるアレンジになってるし。

CHIHARU でもなんか「これも私たちっぽいかな」とも思ってて。明るくて楽しそうな感じとか、イントロのキメっていうか、みんなで息を合わせて一緒に「♪タッタッタッタタタタ」って駆け上がるところとか。なんか私たちっぽい気がします。

MADOKA うん、歌詞も実は私たちっぽいし。「ソロの途中で 君と目が合う」ってところとか、実際ライブをやってるとメンバーと目が合ってホッとすることとかよくあるから。

HONOKA だからなんかすごいな、って。

──すごい?

HONOKA 今までは自分たちでオリジナルを作ってたのに、今度はいろんな人たちが私たちのために曲を作ってくれてる上に、ちゃんと私たちっぽい曲になってるのが、なんかすごいなって(笑)。

同世代の人たちに私たちの名前を知ってもらいたい

──確かに音楽制作のプロとの共同作業を通じてバンドの新しい魅力を引き出してもらえるのもメジャーで活動する魅力なのかもしれませんね。カップリングの「コイゴコロ」にしてもインディーズ盤とは別バージョン。アレンジャーさんを立てたことで、皆さんのプレイヤーとしての実力を見せつけるテクニカルな楽曲に変身しているし。

CHIHARU(Key)

HONOKA だから「コイゴコロ」もすごく感動して。自分たちの曲がもっとカッコよく変わるなんて思ってなかったから。

MADOKA あともう1曲の「バビロン」も作っていただいた曲なんですけど、やっぱりすごいっていうか。

CHIHARU 初めて聴いたとき、みんなで「メッチャカッコいい!」って言ってましたし。

YURI なんかロックンロールっぽい曲で「ドレミFUN LIFE」とは違う意味でこれまでのたんこぶちんっぽくはないんだけど、でもやっぱりなぜか私たちっぽい(笑)。

MADOKA だから私たち自身は新しい挑戦ができた感じがするし、でもどれも高校生の私たちらしい曲ではあるので、同世代の人たちにも聴いてもらえたらいいなって思ってます。で、たんこぶちんの名前をいろんな人に知ってもらえたらなって。私が思い付きで付けた、全然意味のない名前なんですけど(笑)。

YURI で「たんこぶちん、いいよね」って言ってくれるお客さんたちの前でライブをしてみたいよね。

──それがさっき言っていた「デビューするのが私たちでいいのかな?」っていう疑問の回答になるはずですしね。夏祭りに遊びに来たついでにたまたま皆さんを観る人たちだけではなく「たんこぶちんを聴きたい」っていう人にきちんと音楽を届けることが、皆さんに対する期待に応えることになるんだろうし。

YURI だから最初はバンドは趣味でしかなかったんだけど、今は私たちにとってバンドは夢だし、あと義務とかじゃないんだけど、やらなきゃいけないことっていうか。自分たち自身が「やらなきゃ」って前向きに思えることに変わりました。

NODOKA かっこいいなあ……。

MADOKA へっ!? のどちゃん、他人事?(笑)

NODOKA いやいやいやっ! がんばりますっ!

──がんばってください(笑)。期待しています!

たんこぶちん
たんこぶちん

2007年、MADOKA(G, Vo)、YURI(G)、CHIHARU(Key)、NODOKA(B)、HONOKA(Dr)らが小学校の課外活動の一環として佐賀県唐津市で結成したガールズバンド。九州を中心にライブ活動を行うかたわら、ヤマハ「Music Revolution」など、さまざまな音楽コンテストで各賞を受賞する。2008年には唐津と姉妹都市提携を結んでいる韓国・麗水市との交流イベント「麗水市国際青年祝祭」や、2013年には「ARABAKI ROCK FEST.13」にも登場。さらに2008年放送の「M PRESENTS 全力!Tunes」(日本テレビ系)や、2012年の「AKBINGO! サマースペシャル ! 全力バンド選手権」(同)に出演し、MADOKAがGoogleのCMキャラクターに選ばれるなど、各方面にその名を轟かせ、2013年7月「ドレミFUN LIFE」でメジャーデビューした。