音楽ナタリー PowerPush - 瀧川ありさ×久野美咲

「七つの大罪」、ミント、散歩に見る2人の関係

久野美咲、瀧川ありさのルーツを言い当てる

瀧川 あと久野さんがカップリング曲もちゃんと聴いてくださっていたのも……。

久野美咲

久野 (遮って)「ふたりよがり」大好きです!

──ラジオの収録中、その発言を聞いて「あっ、久野さん、本当に瀧川さんの音楽が好きなんだな」って気がしたんですよ。

久野 そうなんですか?

──瀧川さんは以前、山下達郎さんや松任谷由実さんをはじめとした1970~80年代のニューミュージックやポップミュージックがルーツにあると言っていて……。

瀧川 「ふたりよがり」ってそういうアーティストさんたちの影響が特に出た曲なんです。

──メロディはちょっとノスタルジックで、アレンジはシティポップ的。おしゃれでヌケがいい感じですもんね。

瀧川 だから久野さんが「ふたりよがり」に私の意図やルーツを感じて、いいな、って思ってくださっていたのがうれしかったんです。

久野 そんなそんな! それを感じられたのはたぶん、私もユーミンさんが好きだからなんだと思います。

瀧川 あっ、そうなんですか!

久野 カラオケでもよく歌います(笑)。

瀧川 それも私と一緒だ(笑)。好きな曲ってなんですか?

久野 「ダンデライオン~遅咲きのたんぽぽ」とか素敵じゃないですか?

瀧川 すっごくいいですよね!

久野 ふふふふふ(笑)。瀧川さんはどの曲が好きなんですか?

瀧川 「雨の街を」とか……。

久野 あーっ! 「雨の街を」もすっごくいいですよね!

瀧川ありさ、アーティスト冥利に尽きる

瀧川 あの曲を聴いてるときは私もその世界に入り込んじゃってますから(笑)。私、とんでもなく遠い場所から自宅まで歩いて帰るのが好きなんですけど、ユーミンさんを聴きながらだと「なんか知らぬ間に玄関先に着いた気がするけど、実は2時間経ってました」みたいな感じになっちゃって。

久野 あっ、それ私も! たまにアフレコスタジオから歩いて帰ってみよっかな?ってときがあるんですよ。で、音楽を聴きながら2、3時間くらいかけて帰るのが好きなんです。あと私、写真を撮るのも好きで。SHOWROOMの番組の中で、瀧川さんが撮った写真を紹介していたじゃないですか。だからあのときから「私と趣味が合う方なのかもな」とは思ってたんですけど……。

瀧川 でも写真が趣味の人なんていっぱいいますもんね。

久野 そうなんですよね。だからまさかこんなに似てるとは思ってなくて。

瀧川 今「どうしようっ! すっごい似てる!」って感じがしてます(笑)。

久野 「やだーっ! すごい似てるー」って感じがしますよね(笑)。

瀧川 どうしましょう、この状況?(笑)

──いや、わかり合える仲間がいたことを素直に喜び合えばよろしいかと(笑)。お2人とも表現に対する心構えが似ている上に、80年代ニューミュージック的なサウンドがお好きなわけですから。

久野 あっ「ふたりよがり」は曲調だけじゃなくて、歌詞も大好きで。なんていうか、すごく共感できたんです。昔、とても苦しそうにしている人に対して「支えてあげたい」「何か私が力になれるんじゃないか」って思って手を差し伸べようとしたことがあったんですけど。だけど私にはその人を助けることはできなくて……。

──それこそ「ふたりよがり」の歌い出しの「あなたを助けようと、右手を差し出せば」「あなたは俯いたまま、地面を濡らしてた」的な状況が?

久野 そうですね。そのとき結局人は自分自身の力で立ち上がるしかないし、夢だって自分自身の手でつかむしかないのかもしれないなって気付いて。そういうふうに実体験とマッチしていたっていうのが「ふたりよがり」に一番惹かれた理由なんです。

瀧川 うれし泣きしそう……。

久野 いやあの、ただの1ファンの感想ですから。

──でも“ミント感”の話といい、今のエピソードといい、楽曲について実感ベースで語ってもらえるのってうれしいことだと思いますよ。

瀧川 アーティスト冥利に尽きますよね。本当にありがとうございます。

久野 とんでもないです! あと「ふたりよがり」は歌い方も好きで。さわやかに歌ってらっしゃる「Season」と(もう1つのカップリング曲の)「ロストラブレター」を聴き終えたら、最後に瀧川さんがそっと寄り添う感じで歌ってくれるこの曲が流れてくるから、こういう魅力も持ってる方なんだって気付かされるんです。

「このままだとマズいです!」

瀧川 今、本当に動揺してます(笑)。ここまでご自身の言葉で私の曲のことをお話してくれる方っていなかったから。

──実は今回の対談のテーマの1つに「久野美咲に瀧川ありさをホメてもらおう」っていうのがあったんですけど……。

瀧川 ホメられまくってます(笑)。このままだとマズいです!

──あはははは(笑)。

久野 当たり前なんですけどホメようとしているつもりは全然なくて。さっきもお話したようにアニメのテーマソングを歌ってる方とお会いする機会ってほとんどないですし、基本的におしゃべりが上手じゃないから、こういう機会でもないと音楽の話をすることなんてないですから。

──なのにおためごかしなんか言うわけがない、と。

左から久野美咲、瀧川ありさ。

久野 はい。ホントに好きだから「好きです」って言っただけなんです。

瀧川 ……本当にうれしすぎてマズいかも。私さっきから「うれしい」しか言ってない気がするんですけど(笑)、今日はホントにうれしくて。こんなにしっかり曲に向き合ってくださっていたのもそうだし、あとすごく心が通じ合った気がしていて……。

久野 そうですよね。これまでは曲を聴いているだけだったから「私が勝手に共感しているだけかもしれない」って思ってたんですけど、改めてお話してみたら本当に共感できる部分がたくさんあったのがうれしかったし、勇気をもらえた気もしていて。「こういうことを考えてるのは私だけじゃなかったんだな」って思えたので、すごく心強くなりました。

瀧川 いやいやいや! 勇気をもらったのは私のほうですから。

──また心が通じ合ったところで(笑)、今日は本当にありがとうございました。

瀧川久野 ありがとうございました!

メジャーデビューシングル「Season」2015年3月4日発売 / SME Records
通常盤 [CD] 1300円 / SECL-1646 / Amazon.co.jp
アニメ盤 [CD+DVD] 1500円 / SECL-1647~8 / Amazon.co.jp
CD収録曲
  1. Season
  2. ロストラブレター
  3. ふたりよがり
アニメ盤DVD収録内容
  • 「七つの大罪」ノンクレジットエンディング
「ラジオ七つの大罪 <豚の帽子>亭 ホークトーク」

アニメ「七つの大罪」の劇中にも登場するレストラン「<豚の帽子>亭」のラジオ支店“店長”を務める久野美咲が、毎週出演声優やテーマソングのアーティストらを迎えて、アニメを盛り上げるべくトークを繰り広げるインターネットラジオ番組。

「ラジオ七つの大罪 <豚の帽子>亭ホークトーク」

瀧川ありさ(タキガワアリサ)

瀧川ありさ

5月8日、東京都生まれのシンガーソングライター。幼少期より音楽に親しみ、小学2年生の頃から本格的な歌手を目指す。中学2年生のときからバンド活動を開始し、高校時代には彼女の手がける楽曲群が数多くのコンテストで評価を集める。高校卒業と前後してバンドが解散すると1年のブランクののち、ソロアーティストとして活動を再開。2015年3月4日、アニメ「七つの大罪」1~3月期のエンディングテーマにして、デビューシングル「Season」をリリースした。

久野美咲(クノミサキ)

1月19日、東京都生まれの声優。6歳のとき子役としてキャリアをスタートさせ「ミュージカル オズの魔法使い」「放浪記」などの舞台に出演。その後、声優活動を展開し、2010年の映画「いばらの王 -King of Thorn-」のアリスを演じたのを契機に「ガリレイドンナ」のグランデロッソ、「世界征服~謀略のズヴィズダー~」の星宮ケイト、「selector infected WIXOSS」「selector spread WIXOSS」のタマなど人気アニメの主要キャラクターに立て続けに抜擢される。2014年10月からはアニメ「七つの大罪」のキャラクター・ホークの声を担当。