「ベストってなんだろう？」

──ベストアルバムの発売日を11月29日の“いい肉の日”にしたのは、狙ってのことですか？

わりと狙いました（笑）。そこまで考えてたわけじゃないんですけど、“竹達＝肉”って周りの人も思ってくれているから（参照：竹達彩奈、“たけたつ公国”の公的行事「あやりんぴっく」で誕生日祝う肉ケーキ / 竹達彩奈、誕生日ライブで吉野家60人前牛丼つまみ食い / 牛丼大好き竹達彩奈、CM撮影中も我慢できず）、せっかく11月にベストアルバムを出すんだったら、じゃあ“いい肉の日”にしようよって提案しました。

──なんでここまで肉キャラクターが定着したんですかね？

なんですかね。そんなつもりじゃなかったんですけどね（笑）。

──ベスト盤と言うと、歴代のシングル曲を網羅したり、本人がお気に入りの曲をセレクトしたりといろんなまとめ方がありますけど、竹達さんがファン投票によるリクエスト形式を選んだのはなぜですか？

ベストアルバムを作ると決まったとき、まず「ベストってなんだろう？」って思ったんです。それは自分にとってのベストなのか、みんなにとってのベストなのか…望まれてない曲が入っていたらベストとは言えないし……と考えているうちに「自分で作ったベスト」ってよくわからないなと思い、やっぱりみんなが喜んでくれるのが一番なので、みんなが思う1番の曲を教えてもらって、それを順番に入れていくという形を取らせていただきました。

──投票によるランキングの結果を見てどう思いましたか？

意外な曲もあってびっくりもしたけど、「案外ちゃんとキレイにまとまったなあ」という印象です。

──1位はシングル表題曲じゃなく、アルバム曲の「ライスとぅミートゅー」（2013年4月発売の1stアルバム「apple symphony」に収録）でした。これは初期からライブのキラーチューンになっているので納得です。2位の「Hey! カロリーQueen」は比較的新しめのシングル（2016年1月発売）なので、短い期間で伸びたなーという印象でした。

「Hey! カロリーQueen」は思っていた以上にどんどん曲の存在が大きくなっていって、ライブでもすごく盛り上がる1曲になりました。作っているときはそこまで意図してないんですよ。もちろん「アップテンポでかわいいからみんな盛り上がってくれるよね……？」という思いで作ってますけど、同じような気持ちで作ってもそこまで盛り上がらない曲もあるし、こちらが意図していた以上に盛り上がる曲もあるので……。「Hey! カロリーQueen」は私の中でも思った以上に、育った子供がどんどん大きくなっていくみたいな気持ちがありますね。

──4位の「HIKARI」（1stアルバム「apple symphony」収録曲）はバラードですが、1stライブでの大合唱（参照：竹達彩奈、笑いあり涙ありスキップありの初ワンマン大成功）もあって、ライブの光景と結び付いて強い思い入れを持っているファンも多いのかなと思います。

そうですね、うん。

いつか全曲入りアルバムを

──ちなみに「この曲は入らないんだ!?」という曲はありましたか？

「春がキミを綺麗にした」（1stアルバム「apple symphony」収録曲）ですかね。これも大好きな曲なのでちょっと残念なんですよね。

──「自分のベストってなんだろう」という話もありましたけど、確かに自分の好みや思い入れで選び始めたらキリがなさそうですよね。

そうなんですよ。作った曲はもちろんどれも大好きなので、なんなら全曲入れたい……いつか全曲入りアルバムを作りたいですね（笑）。

──ベスト盤には入門編的な側面もあるので、このアルバムで初めて竹達さんの曲を耳にするという方もいるでしょうから、「だったらこの曲も」「あの曲も」となってしまいそうな……。

そう！ もったいないんですよ。「春がキミを綺麗にした」はめちゃめちゃかわいくてポップな曲なので、ベスト盤で興味を持ってくださった方にはぜひ聴いてほしいです。

「頭に『ライス』が来たらもったいないよ！」

──曲順については、リリース順にしたり、曲調と流れを考えて組み直したりする方法もあったかと思うんですけど、14位から1位までをカウントダウン形式で並べる方法を取ったのはなぜですか？

最初プロデューサーさんからは「1位から順に入れたい」と言われたんですけど、私から「後ろからのほうがいいです」と提案しました。みんなが一番好きだという曲が最初に来たら、あとはテンションが下がっていくのかなって……（笑）。

──あははは（笑）。確かに。

アルバムを出すときは1曲目から順に聴いてもらいたいと毎回意識しているので、ベストアルバムも同じで、頭からお尻まで気持ちよく聴いてほしいんです。5年間のことを思い出しながら最後まで聴いてほしいし、最後は「これだよね！」というワクワクを味わってもらいたいなあと思ったので、「頭に『ライス』が来たらもったいないよ！」って言いました。

──カウントダウンで徐々に高めていって、1位の「ライスとぅミートゅー」でピークを迎えつつ、最後の最後は録り下ろしの新曲「apple*colorful*princess」で締めくくるという構成です。録り下ろしの曲を入れることは最初から決めていたんですか？

はい。ずっと「あやな公国」（公式ファンクラブの名称。もともとは自身とファンとの関係性を表した呼称として竹達やサウンドプロデューサーの沖井礼二らが使い始めた言葉だが、今年4月に新ファンクラブが設立される際、その正式名称として命名された）の国歌を作りたいなと思っていたんですけど、作るならこのタイミングと言うか、「ここで作らないでどこで作るんだ！」となりました（笑）。

──どのような“国歌”にしようと？

絶対にライブで歌う機会の多い曲になるので、「元気な曲だったらいいな」というのがまずありました。ライブで歌うということは、バンドさんが演奏する機会も多いと思うので、物理的に演奏できないようなにぎやかなアレンジにはしたくなくて……。もちろん同期で音を重ねる部分もあるんですけど、そうじゃなくてバンドの“生感”を大事にしたいなと思ったんです。やっぱり国歌なので、国民には広く愛してもらいたいし、バンドさんが“生感”を持って表現できるかわいさとテンポ感があって、いろんな人に愛される曲。そのバランスにはけっこう気を配りました。