ナタリー PowerPush - 竹達彩奈

成長するあやちと“チーム竹達”の可能性

竹達彩奈の通算5枚目となるニューシングル「わんだふるワールド」が完成した。昨年12月リリースの4thシングルではブラスをフィーチャーしたスカナンバーで新たな側面を打ち出した竹達だが、今作はデビュー時から彼女を支える小林俊太郎、沖井礼二を中心とした“チーム竹達”のコアメンバーで作り上げられた1枚だ。

ナタリー5回目の登場となる今回の特集では竹達本人に加え、小林&沖井の2人にも集まってもらい、前半は小林&沖井のみ、後半は竹達を交えてのインタビューという2部構成で話を聞いた。

取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 佐藤類

小林俊太郎×沖井礼二 インタビュー

初ワンマンがもたらした影響

竹達彩奈

──前作「週末シンデレラ」発売時に竹達さん1人に話を聞いたとき(参照:竹達彩奈「週末シンデレラ」インタビュー)、以前に比べて主張がはっきりとしてきたように感じたんですね。近くで見ているお2人はそのあたりどう感じているのかなと。

小林俊太郎 確かに自分の意思は語るようになりましたよね、前より。

──個人名義でのデビューから1stアルバム「apple symphony」の発表、そして初のワンマンライブ(参照:竹達彩奈、笑いあり涙ありスキップありの初ワンマン大成功)という一連のプロジェクトを経て、心境に変化があったのかなと思ったのですが。

沖井礼二 やはりワンマンライブの影響は大きかったと思いますよ。シングルを出していってアルバムまでたどり着いて、自分の発信した楽曲がお客さんにどう受け止められているのか、ライブをやっちゃうとどうしても目の当たりにするから。彼女自身が責任を自覚せざるを得なくなったんだと思います。だとしたらそこに何かしらの自分の意思を投影しないと、お客さんと向き合えない……ということを我々も経験してきたからすごくわかる。

小林 それまでもずっとキャラソンは歌ってたけど、竹達彩奈として歌を歌うことの自覚がはっきり芽生えたんでしょうね。

──楽曲制作を通してわかりかけていたことが、ワンマンを経験することでより明確になった。

沖井 うん。あれは本当に大きかったと思うなあ。

小林 あとは大人からいろいろ言われるようになって、自分でも言いたくなってきたんでしょうね(笑)。

──ああ、経験を重ねてわかることが増えたぶん、じゃあ自分ならこうできるという選択の幅が増えたと。

小林 そうそう。自分でこうしたいというアイデアもあるだろうから、拒否反応も含めて自分の意見を言えるようになったのかな。

理論を超えて“降りてきた”メロディ

──前作はそんな一連の流れを経ての“第2章”のスタート、という位置付けの作品だったと思うんですけど、そこでは音楽的に新しいことにチャレンジしましたよね。新しい作家と組んで、サウンド面も新しく。本人は「1stアルバムまでは“ピアノロック”という裏コンセプトみたいなのがあったから、そこから離れるのが実は不安だった」とおっしゃってました。

沖井 1枚アルバムを作ったからそこで完結というわけじゃなく、竹達彩奈の膨張は続いているわけじゃないですか。その膨張する勢いがそのまま出たのがあのシングルだったんだと思います。

──一度新たな扉を開けた上で、今作では改めてチーム竹達のコアメンバーが集結して、彼女の“その後”を提示しているという。「わんだふるワールド」は“第1章”の頃に作ったものではなく、今回のために?

小林 そうです。ライブで人気のある「Candy Love」(2ndシングル「♪の国のアリス」収録)の発展作というか、続きを書きたいなという思いが去年のワンマンの頃からあって。そういう意味ではすごく原点に立ち返った曲でもあるというか、“竹達彩奈のピアノロック”の王道を書いたつもりです。

沖井 でも僕が知っている俊太郎くんの曲の中では、最も攻めた曲だと思いますね。

小林 攻めてんのかなあ。

沖井 俊太郎くんはいわゆるJ-POPの構造を理解した上で曲を作り上げるプロフェッショナルなんだけども、この曲はそういうフォーマットからは外れてるよねって言ったら「ああ、気付いてなかった」って。今まで竹坊の曲を作るときは、もっとJ-POPであることを意識してたところがあったと思うんだけど、今回はその意識から外れたところで作ったんじゃないかなと思ったんですよ。

小林 今回は締め切りまでが長かったことも大きかったかもしれない(笑)。じっくり作れたぶん、サビメロが降りてくるのを待てたというか。僕は「曲が降りてくる」なんてウソだと思っているんですよ。どんなメロディもある程度理論にのっとって作るのが基本だと思っているので。とは言え何曲かは「降りてきた」としか言いようのない曲もあって、今回はそれですね。

沖井 アイツがいつ降りてくるかわかんないからね(笑)。

小林 ね(笑)。

わんだふるワールド / 竹達彩奈

ニューシングル「わんだふるワールド」 / 2014年6月4日発売 / ポニーキャニオン
初回限定盤 [CD+DVD] / 1890円 / PCCG-1404
通常盤 [CD] / 1350円 / PCCG-70212
CD収録曲
  1. わんだふるワールド
    [作詞:加藤哉子 / 作・編曲:小林俊太郎]
  2. サーフでゴゴゴ
    [作詞・作曲・編曲:沖井礼二]
  3. わんだふるワールド(Instrumental)
  4. サーフでゴゴゴ(Instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
  • わんだふるワールド(MUSIC VIDEO)
竹達彩奈バースデーライブ
2014年6月22日(日)
千葉県 舞浜アンフィシアター
OPEN 16:00 / START 17:00
料金:5800円(吉野家「アタマの大盛り」無料券付き)
応募抽選制(申込券はシングル「わんだふるワールド」に封入)
竹達彩奈(タケタツアヤナ)

竹達彩奈

埼玉県出身の声優アーティスト。2009年放送のテレビアニメ「けいおん!」中野梓役で大きな注目を集める。「けいおん!」から派生したユニット「放課後ティータイム」では数々のヒット曲を生み、2009年12月には神奈川・横浜アリーナ、2011年2月には埼玉・さいたまスーパーアリーナにてコンサートを行った。2012年4月には初の個人名義によるシングル「Sinfonia! Sinfonia!!!」でソロアーティストとしてデビュー。同年9月には2ndシングル「♪(おんぷ)の国のアリス」、2013年1月には筒美京平書き下ろしの3rdシングル「時空ツアーズ」をリリースした。2013年4月10日に1stアルバム「apple symphony」を発表し、同年6月23日には東京・TOKYO DOME CITY HALLにて初のワンマンライブを大成功に収めた。2014年6月には通算5枚目となるニューシングル「わんだふるワールド」をリリース。