ナタリー PowerPush - 高橋優

2ndアルバム「この声」に込めた意志

「ラブ&ピースな感じでしょ?」「そうでもないよ!」

──曲の作り方やレコーディングに関して変化はありましたか?

基本的には変わっていないですが、前作以上に編曲に携わってます。

──歌詞を書いて曲を付けて終わりではなく、完成まで全部やりたい?

その気持ちが強くなりましたね。もちろんいろいろな人とレコーディングをして化学変化が起こるのも素敵だし、それを楽しんできたけど、今は自分が思ったとおりの音にしたい気持ちが強いです。昔から音楽が好きな少年だったので、自分が聴きたい音じゃないと完成させたくないというか。だからサウンドプロデューサーの浅田(信一)さんにもそうだし、プレイヤーの方々にも細かく注文させていただきました。実際に家にある音源を持っていって「こういう感じで」ってお願いしたり。

──1曲目「序曲」がエレキギターのインストで始まるのが意外でした。

インタビュー風景

元々「蛍」ができたときに、これを1曲目にしたいって思いが強かったんです。それでイントロダクションとしてエレキで前奏を作ることにして、リフやハウリングを付けるうちに、「蛍」とは分けたほうがそれぞれの良さが出るんじゃないかということになって。だから「序曲」ができたのは偶然なんですよ。それから実は、インディーズ盤の「僕らの平成ロックンロール」も1曲目の頭にアコーディオンで前奏があって、前作もアコギのリフから始まってるんです。だからそのシリーズのつもりでいて。

──なるほど。あまり深い意味はない?

ですね、すいません(笑)。いや……でも、エレキギターは必要なステップだと思ってました。男性1人でアコギで歌ってるから「ラブ&ピースな感じでしょ?」って思う人もいるかもしれないけど、「そうでもないよ!」っていう自己紹介がしたいなと。もちろんラブ&ピースも大事だけど、笑顔を知るために人のムカつくところも思いっきり歌いたいし、バカヤローって叫びたいときもある。だから今回は改めての自己紹介として、ハウリングからの「蛍」というスタートにしたかったんです。

──では最後の質問です。2012年の目標は「自分の時間を充実させること」とブログに書かれてますよね。これも、いい音楽家になるためには自分自身を成長させることが必要だという考えの表れで、去年1年間、精一杯音楽活動をした末に得た答えなのかなと感じましたが、いかがですか?

おっしゃるとおりですね。もちろん音楽はがんばるけど、曲を作る自分の根っこにあるのは何かと考えたら、ニンテンドー3DSを買おうかずっと迷っていたとか、ようやく買えてうれしかったとか、新しい靴はどれにしようとか、おいしいお菓子を見つけてテンションが上がったとか、そういう自発的な部分なんだと気付いたんです。でも去年は良くも悪くも誰かに与えてもらった時間が長くて、見せてもらった景色や用意してもらった経験を受け入れていた。それだと主軸が自分じゃないというか、人のせいにしちゃうなって。僕が音楽を発信して誰かに届けるためには、“自分”がちゃんとないといけないと思うんです。今年は初めてのホールツアーも始まるので、その実感を持ってもっと成長していきたいですね。

「気ままラブソング」ビデオクリップ

2ndアルバム「この声」 / 2012年3月14日発売 / Warner Music Japan

  • 2ndアルバム「この声」
  • 初回限定盤 [CD+DVD] 3500円(税込) WPZL-30360/1 / Amazon.co.jp
  • 通常盤 [CD] 3150円(税込) WPCL-11049 / Amazon.co.jp
CD収録曲
  1. 序曲
  2. 誰がために鐘は鳴る
  3. 雑踏の片隅で
  4. 気ままラブソング
  5. あなたとだから歩める道
  6. 卒業
  7. この声
  8. 一人暮らし
  9. 誰もいない台所
  10. 絶頂は今
  11. セピア
初回限定盤特典内容
  • DVD ~ドキュメンタリー2012 “卒業”+MUSIC VIDEO 1.誰がために鐘は鳴る / 2.誰もいない台所 / 3.卒業
  • “高橋優全国ツアー~この声って誰?高橋優じゃなぁい?2012” バックステージ招待抽選参加券(各会場5名)
高橋優(たかはしゆう)

高橋優

1983年生まれ、秋田県出身のシンガーソングライター。大学進学と同時に路上で弾き語りを始める。2008年に活動拠点を東京に移し、2009年7月に初の全国流通盤「僕らの平成ロックンロール」を全国リリースする。その後ワーナーミュージック・ジャパンと契約し、2010年7月にシングル「素晴らしき日常」でデビュー。2011年4月にリリースされたメジャー1stアルバム「リアルタイム・シンガーソングライター」はロングヒットを記録する。その後もコンスタントにシングルを発表し、2012年3月に2ndアルバム「この声」をリリース。社会、友情、恋愛、性、孤独など自身が感じた思いをストレートな言葉で表現した歌詞、聴き手の感情を揺さぶる熱い歌声で、支持を集めている。