音楽ナタリー PowerPush - taffy

ティム・バージェス(The Charlatans)が語る、日本在住バンドをイギリスに招待した理由

taffyインタビュー

イギリスのファンは歌を聴きたがってる

──昨年、初めてヨーロッパを回るツアーをやったんですよね。反響はどうでしたか?

アイリス(Vo) これまでリリースツアーはイギリスでしかやってなかったんですけど、今回初めてドイツとイタリアも回ってきまして、小さい会場ではあったんですけど、ありがたいことにイタリアはソールドアウト。ドイツもほぼ完売でした。短い期間に次々に国を渡ったので、その土地ごとの言葉に対応できなくなっちゃって。MCは浅野が話すんですけど、混乱してました(笑)。

浅野芳孝(G) ドイツのライブで「ダンケシェン」って挨拶したあと、イタリアで「グラッチェ」って言うつもりが「ダンケシェン」って言っちゃって(笑)。

アイリス グラスゴーではMogwaiのドラムのマーティンが「僕がDJやるよ」って、我々のライブの前にDJをしてくれたりして、今回も楽しいツアーでした。

──自分たちの音楽を聴いてくれている層が増えていると感じますか?

浅野 そうですね。taffyを観るために、遠いところからわざわざ車を運転して来てくれる人も増えてきましたし。

taffy

アイリス 前回イギリスに行ったときは、The Wedding Presentのサポートでツアーを回ったんですけど、そのときにライブを観てくれた人が今回のツアーで必ず会場に何人かいらっしゃって。あと、私たちがいつも乗ってるツアーバスを街中で見かけて「あれはtaffyが乗ってた車だ」「あの車があるってことはtaffyが来てるんじゃないか」って思ってライブに来てくれた人もいたりして。

──もの珍しさでライブに来た人だけでなく、固定したファンが付いてきたということですね。それによって自分たち自身にも何か変化はありましたか?

粕谷謙介(Dr) やっぱり最初は「海外でライブをやるんだ!」っていう勢いが前に出てたんですけど、だんだん回を重ねるごとに、歌を聴かせたいとか、楽曲本来の魅力を出したいっていう思いが強まった気がしますね。お客さんも、ただノリで観てる感じじゃなくて、歌を聴きたいっていう気持ちが強くなってるみたいで。

アイリス 皆さんがしっかり歌詞を聴いてるなっていうのは実感しています。だから間違えられない(笑)。カップルでライブに来る方も多いんですけど、ウルウルしながら2人の世界に入って歌を聴いてくれてるのを見ると「あー、ちゃんと歌わなきゃダメだな」って、ハッとさせられます。

──なるほど確かに、英語詞の曲をイギリス人のオーディエンスの前で歌うのは、日本のライブハウスで歌うのと歌詞の伝わり方が全然違うでしょうね。

アイリス そうですね。以前は「歌詞は響きが曲に合ってればいい」くらいに思ってて、「なるべく日本人に聞きなじみがある単語を使うようにしよう」って意識してたんです。でもイギリスの人たちが曲を聴いてくれるようになってからは、そのルールを全無視して、普段言えないようなことを盛り込むようになりました。だから歌ってると、その曲を書いたときのことを思い出して、自分でもたまにウルッてきたりするんですよ(笑)。

浅野 イギリスのメディアには歌詞に関して、けっこう突っ込まれて書かれることが多いですね。珍しい歌詞なのか。

アイリス 「こんなポップな曲調なのに暗いことを歌ってるのがいいんだよ!」みたいに評されると、「あっ、伝わったんだ。うれしい」って思いますね。

The Brian Jonestown Massacreリミックスは恩返しの曲

──そして「Lixiviate」から1年半ぶりの新作「Darkle」が完成しました。このアルバムの制作はスムーズにいきましたか?

浅野 今回は前回とちょっと制作過程が違ってて、前もってやることをきっちり決めたんです。だからテンポよくレコーディングができて。

アイリス 後から足したのは味付けぐらいで。きっちりキメキメで完成図を考えたうえで、レコーディング当日にやりながら思い付いたものを加えた感じです。

粕谷 最初に作ったのはTwitterにアップした「Suicidal Bunny」で、この曲はリリースすることも特に決めずにレコーディングセッションしたものなんです。ライブ感覚で一発で録って「おー、いいじゃん!」ってなったから、この曲から新作の出来上がりの図がなんとなく見えてきて、ほかの曲のことをいろいろ決めたんです。

アイリス 「Sparkle」って言葉があるじゃないですか。「きらめき」っていう意味の。アルバムのタイトル「Darkle」っていうのはその反対の「黒っぽくぼんやり光ってる」って意味なんです。水面下でかすかに光ってるイメージは、私たちらしいかなと思って。暗いわけじゃないんですよ。むしろキラキラしてる。でも歌詞は死についてのことが多かったりして、ちょっとヘビーで。そういう「ドロドロしてるけどきれい」っていうのが今回の作品のイメージです。

──今作にはアメリカ・サンフランシスコのサイケデリックロックバンド、The Brian Jonestown Massacreによるリミックスが収録されていますが、どういう経緯でこれが収録されることになったんですか?

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粕谷 ツアーでベルリンに行ったときに、共通の知人からアントン(・ニューコム、The Brian Jonestown Massacreのフロントマン)を紹介してもらって。

アイリス それで「一緒に朝ごはん食べよう」ってことになって。ベルリンには3日間くらい滞在してたんですけど、彼とは1日1回は会ってました。

浅野 すごく気さくな人だったんですよ。スタジオにも一緒に行ったりして。

粕谷 だから今回も、僕らから「リミックスをしてください!」ってお願いしたんじゃなくて、なんか流れでそうなった感じ。

浅野 曲もこっちから指定したわけではなくて、向こうから「この曲をリミックスしたい」って言ってくれたんです。

アイリス アントンが「今何やってんの?」って言うから「アルバム作ってるの」って答えたら、「おー!じゃあできたら聴かせて?」って。それで完成した曲を全部聴いてもらったら、リミックスしてみたい曲が思い浮かんだみたいで。

──リミックスを聴いた感想は?

アイリス 原曲の仕上がりもすごく気に入ってるんですけど、リミックスもすごくカッコよくて。どっちもアルバムで一押しですね。この「Young Tines」って曲は、初めてのイギリスツアーでのサポートバンドのことを書いた曲なんですよ。

──どういうことですか?

アイリス ツアーでチェスターっていう小さい町を訪れたんです。町並みがすごく古いところで、その町に1つしかないライブハウスが築200年くらいの建物だったりして。そこでサポートしてくれた地元のバンドがYoung Tinesっていうバンド名だったんですよね。彼らはそれ以来、近くでやる公演には必ず来てくれるんです。私たちは彼らにとって外国人なのに、スターというか、憧れの人みたいな感じで接してくれるんです。「『NME』に載った人たちが来たよー!」みたいな感じで、古い小屋の2階から「待ってたよー」って手を振ってくれて。それが忘れられなくて、何か恩返しの曲が書けたらなと思って書いた“ありがとうソング”が「Young Tines」だったんです。そんな曲が、アントンがリミックスしてくれたおかげでさらにスペシャルになって。そのことを考えると私、歌いながらグッときちゃうんです(笑)。

ライブ情報
「New Modern Music」
2015年4月24日(金)
東京都 三軒茶屋HEAVEN'S DOOR
<出演者>
taffy / 花ト散るらん / 死んじゃうじゃんか / 音の旅crew / MIRROR MOVES
「star trail vol.3」
2015年5月3日(日)
東京都 下北沢CLUB251
<出演者>
taffy / sugardrop / re-Peat / TENDOUJI / Cactus Flower / Siôn Russell Jones
DJ:ysk / antoine
taffy ミニアルバム「Darkle」 / 2015年6月17日発売 / 1500円 / Moderna Records / mdrn-0007 ※5月20日タワーレコード先行発売
「Darkle」
収録曲
  1. Suicidal Bunny
  2. Redamancy
  3. Young Tines
  4. Remember to Remember
  5. dr. K
  6. HBD
  7. Young Tines(The Brian Jonestown Massacre Remix)
taffy(タフィー)

東京在住のインディーロックバンド。何度かのメンバーチェンジを経て、現在の編成はアイリス(Vo, G)、小泉将希(B)、浅野芳孝(G)と粕谷謙介(Dr)の4人。2012年に1stアルバム「Caramel Sunset」をイギリスでリリースすると、これが現地で評判に。大手一般新聞「ガーディアン」などさまざまなメディアで絶賛され、音楽雑誌「NME」では日本人の新人アーティストとして初めて巻頭特集が組まれた。2013年には2ndアルバム「Lixiviate」発売後、3カ月のスパンで2度のUKツアーを実施。同年12月に「Lixiviate」を初の日本発売アルバムとしてリリースし、2014年には7inchのB面曲などを集めたコンピレーションアルバム「plus+++」をイギリスで発表。2015年初夏にミニアルバム「Darkle」のリリースを日本とイギリスで予定している。