Tokyo 7th シスターズ The QUEEN of PURPLE「I'M THE QUEEN」インタビュー|茂木伸太郎総監督が語るロックモード全開のThe QUEEN of PURPLE

アイドルを育成、プロデュースするiOS/Android向けリズム&アドベンチャーゲーム「Tokyo 7th シスターズ」(通称ナナシス)内に登場するロックバンド、The QUEEN of PURPLE(QOP)が5月22日に1stアルバム「I'M THE QUEEN」をリリースした。

昨年配信された「Clash!!!」を含む、全10曲で構成された本作。越前ムラサキ(Vo)の力強い歌声が聴き手をロックな世界に引き込む多彩な楽曲群に加え、瀬戸ファーブ(B)、堺屋ユメノ(G)、三森マツリ(Dr)のソロ曲によってQOPの持つ独自の個性が明確に提示され、6月に開催される単独ライブへの期待値を押し上げる仕上がりとなっている。

音楽ナタリーでは、ナナシスの総監督&総合音楽プロデューサーである茂木伸太郎にインタビューを実施。ゲーム内でスタートした最新エピソード「EPISODE 4.0 AXiS」にまつわる話題から、QOPのアルバムと単独ライブのこと、そして7月に予定されている5thアニバーサリーライブを含めた今後の展望まで、じっくりと話を聞いた。

取材・文 / もりひでゆき インタビュー撮影 / 関口佳代

武道館ライブを経て新エピソードへ

──茂木さんが音楽ナタリーに登場されるのはナナシスの3rdアルバム「THE STRAIGHT LIGHT」(2018年7月4日リリース)以来になります。なので、まずはその後に開催された「Memorial Live in NIPPON BUDOKAN "Melody in the Pocket"」(2018年7月20日開催)と「4th Anniversary Live -FES!! AND YOUR LIGHT- in Makuhari Messe」(2018年10月20、21日開催)について振り返っていただこうと思います。

茂木伸太郎

おひさしぶりです(笑)。そうですね、僕の中ではやはり去年の武道館ライブが大きい節目だったんです。あそこでナナシスが作品として、本当の意味での成長を見せることができていなかったら、(ゲーム内での最新エピソード)「4.0」はやれていなかったと思うので。777☆SISTERSというキャラクターたちが成長し、有名になって、大きな会場で単独ライブがやれるぞっていう流れがあっての「4.0」なので、武道館のように大きな会場に立っていなかったら説得力がないですからね。

──あのタイミングで武道館ライブを用意したのは、そこで成長が見せられる、そしてそこから「4.0」につなげられるという確信があったからなんですか?

いや、そこは明確に作品とリアルの線引きをしています。「4.0」につなげるために武道館をやったわけではなく、実際は現実として興行をやるなら、たまたまあのタイミングになったというだけです。なので確信があったかと言われたら、そんなこと考えてもなかったというか。まあ結果として「4.0」、要するに話を進められるなって思ったわけですけど。

──では、武道館ライブでの手応えによっては、「4.0」のスタートが後ろ倒しになる可能性もあったと。

そうですね。あの武道館をやらなかったら、まだ「4.0」をやろうとは思ってなかったかもです。そういう意味でも大きな節目になったってことですね。武道館ライブは本当にすごくよかったですから。僕自身、観ながら感動してました。

バカなことやってるのかも

──その後の4thライブに関してはどうですか?

今までのアニバーサリーライブは、それ自体が作品であり、物語の表現の一部のつもりで作ってました。ただ、そういう作り方をするのが、現実的な制約が理由で厳しくなってきたところがあって。なので4thではそれをやらないことにしたんです。もちろんライブ自体のコンセプトは作りましたし、構成を考え、脚本も書いてますけど、作品としての詰め方というか、表現したいものへのアプローチに関しては、とにかく意図的に自分で抑えました。リアルは作品と違ってアンコントローラブルなんです。それが面白かったりもするんだけど、その中で作品を作ろうとすると、とにかく大変。で、ここ数年間そういうアンコントローラブルな部分をがんばっていて、ある意味武道館で結果も出た。だから改めて、自分の制作時間の比重を作品側に寄せようと思えたんです。

──タイトルに「FES!!」というワードが掲げられていたことを考えると、お祭り的なライブという意味合いが強かったのかもしれないですね。

うん、そうですね。で、4thに関してそういう関わり方をしたので、その期間で「4.0」のシナリオを書いたり、それ以外の音源リリースやらなにやらの動きをいろいろ考えたりすることができたっていう。

──なるほど。その時間があったからこそ、「4.0」のスタートと、七花少女やCi+LUS、The QUEEN of PURPLE(QOP)、AXiSといったユニットの怒涛のリリースラッシュへとつながっていったと。

茂木伸太郎

そうです。「t7s Longing for summer Again And Again ~ハルカゼ~」(2017年4月19日リリース)でのショートアニメ制作と3rdライブ(2017年4月22、23日開催の「3rd Anniversary Live 17'→XX-CHAIN THE BLOSSOM」)が重なった時期の忙しさを完全に超えてる感じです。バカなことやってるのかもなあっていう(笑)。まあ、自分で「やる」としちゃったものなんですけど。

──どうしてそうなっちゃうんでしょうね? ファンとしてはうれしい限りですけど。

おかしなものですよね(笑)。だってナナバナ(七花少女)もCi+LUSもQOPも別にやらなくてもいいいわけですよ。でも「やろうよ」と言っちゃうんですよね。苦労するのがわかってるのに。ただ、そこには今までとはちょっと違うところもあって。最近は、ちょっと自分とは違う価値観をわざと入れてるというか。例えばCASQETTE'Sとナナバナ、Ci+LUSの今回のシングルがそうなんですけど、今までだったら差し替えてもらってたであろう音符とかメロを、意図的に採用してる部分があって。自分として違うなと思った音符が10個あったとしたら、今までは10個全部直してもらってたんです。でも今は4、5個くらいだけ直してもらう感じになってるんですよね。だから気持ち的にはちょっと楽になった部分もあるというか。

──すべてを自身で背負い込むのではなく、クリエイターから提示されたものに乗っかる部分も出てきたと。

そうですね。でもそういうことができるのも、間違いなく周りのスタッフのおかげです。ナナシスライブでギターを弾いてくれていて、4Uの単独ライブではバンマスをやってくれた健ちゃん(秋山健介)なんかはまさにそうですね。今回、QOPのこのアルバムのディレクターもやってくれたんですけど、数年間一緒にやってきたことで、彼には「茂木さんはこういうフレーズ好きだよね」ということがバレちゃってるんです。さらに「ナナシスにこういうサウンドってアリですかね?」みたいな提案もいっぱい持ち込んでくれる。そういう関係だからこそ委ねられるようになってきたところがあるんだと思います。だってね、制作前の段階で「QOPはこういうアルバムにしたいんだよね」と話をしたら、「でしょうね。Clash!!!辺りから、そう言うと思ってました」って言われましたから(笑)。そういう人たちと一緒に仕事をすることで、自分の中に多様性を入れ込みたい時期でもあるんじゃないかな。

次のページ »
次はQOPしかない

The QUEEN of PURPLE「I'M THE QUEEN」
2019年5月22日発売 / Victor Entertainment
The QUEEN of PURPLE「I'M THE QUEEN」初回限定盤

初回限定盤 [CD2枚組+オリジナル缶バッジ]
3564円 / VIZL-1594

Amazon.co.jp

The QUEEN of PURPLE「I'M THE QUEEN」通常盤

通常盤 [CD2枚組]
3024円 / VICL-65196~7

Amazon.co.jp

DISC 1収録曲
  1. I'm queen, Bitch?
  2. Majesty
  3. THUNDERBOLT
  4. KID BLUE~裸の王様~
  5. Purple Raze
  6. R.B.E.
  7. Wake Up Heroine
  8. Clash!!!
  9. I AM
  10. DAYS
DISC 2収録曲
  1. 女王たちの冬(ドラマトラック)

ライブ情報

The QUEEN of PURPLE 1st Live "I'M THE QUEEN, AND YOU?"
  • 2019年6月9日(日)東京都 Zepp Tokyo
  • 2019年6月14日(金)東京都 チームスマイル・豊洲PIT
Tokyo 7th シスターズ 5th Anniversary Live
  • 2019年7月13日(土)千葉県 幕張メッセ国際展示場
  • 2019年7月14日(日)千葉県 幕張メッセ国際展示場
Tokyo 7th シスターズ(トウキョウセブンスシスターズ)
2014年2月にサービスインしたスマートフォン向けのアイドル育成リズム&アドベンチャーゲーム。“アイドル氷河期の西暦2034年”を舞台にアイドルを育成&プロデュースしていく。ゲーム中にはメインユニット・777☆SISTERSをはじめ多くのアイドルグループやユニットが登場する。
茂木伸太郎(モテギシンタロウ)
株式会社Donutsに在籍するクリエイター。「Tokyo 7th シスターズ」の総監督兼総合音楽プロデューサーとして同作品のビジュアル、脚本、楽曲の企画や制作、ライブ制作に携わっている。