次はQOPしかない
──今回、QOPがナナスタ(ゲーム内に登場する次世代アイドル劇場型スタジオ「スリーセブン」の略称)内ユニットとして初となるアルバム「I'M THE QUEEN」をリリースし、ワンマンライブを開催するに至ったのはどうしてだったんですか?
去年4Uが単独ライブをやりましたけど、じゃあ次に単独をやるとしたらって考えたら、それはもうQOPしかないでしょという感じだったんですよね。これは僕だけじゃなくて、僕含めた音楽制作チームやライブ製作チームの総意でした。アルバムを作ったのもその流れです。
──数多くのユニットが存在する中で、なぜQOPだったんでしょうね?
2000人くらいのハコで、オールスタンディングでやる単独ライブと考えると、そこに大人数の女の子が立つのが僕としてはあまり想像ができなかったんです。これはもう完全に個人観で、もちろんナナシスとしてZeppでやったりとかはしてますけど、本来自分の中ではライブハウスってちょっと違うというか。ライブハウスのイメージって“湯気”なんですよ。あとはある種の魂の解放というか、“SHOW”を観るというよりは、投影してしまうというか。幸い、もし777☆Sが単独ライブをやったとして、2000人のハコではもう収まらないって話もありましたし。
──要はバンドスタイルでロックを鳴らすQOPこそがライブハウスにはふさわしいと思ったわけですね。
そういうことです。あとは現実的に制作の都合もですかね。曲を10曲作るのって歌収録含めると、かなり大変なんです。歌唱者が多ければ多いほど。でもバンド曲ならよし悪しの判断も、制作のスピードも、何もかもがうちのチームだと早いっていう。そういうことをひっくるめて考えるとQOPしかないなという判断でした。
──茂木さんの音楽的ルーツが如実に表れたユニットでもありますしね。
わかりやすいですよね(笑)。ルーツという意味ではあくまで一部ではありますけど、のめりこんだ期間が長かった音楽ジャンルではありますから。音楽プロデューサーって立場的に、やはりナナシスに出てくるユニットはすべて、僕自身の過去の音楽履歴と重なる部分が多いと思います。だから基本的にはすべてが並列なんだけど、QOPは日常生活では照れちゃうようなカッコいいことも青臭いことも、尖ったこともガンガン言えるのが楽しいんですよね。ロックってそういうものでしょというか、カッコつけられるのがうれしいという(笑)。
──アルバムの全体像に関して迷うことはなかったですか?
うん、すべてがこのまんまです。ジャケットやタイトルも含め、寸分の狂いもなく想像してた通りに仕上がりました。さっき話した健ちゃん(秋山健介)に「どういう曲にしますか?」って聞かれたら、すべての曲に対してそのイメージをパッと伝えられましたから。で、それは健ちゃんにとってもわかりやすかったんだと思います。進行自体は実に早かった。今回のアルバムは多岐に渡って健ちゃんが実働で頑張ってくれたものなので、僕としては本当に頼もしかったです。
好きなアルバムの流れなんです
──イントロダクションとも言える「I'm queen, Bitch?」で幕を開けるアルバムは、バンドのテンションを見せつけるように4曲目まで一気に疾走していきますね。
これはもう僕の好きなアルバムの流れなんです。「ここからこういう世界に連れていくよ」って意味合いを持つイントロのあとに、「もうここに入れるしかない」という感じの勢いがある「Majesty」を持ってきて、テーマを表明する。で、3曲目にある種のメジャー性というか、個人的にシングルカットしたいくらい好きな「THUNDERBOLT」。洋楽のアルバムなんかを聴くと、だいたい3曲目くらいにシングル曲が入ってますからね。で、4曲目では「こんな側面もあるよ」というような曲をわざと入れて。
──僕は4曲目の「KID BLUE~裸の王様~」が好きなんですよ。ある意味、現代社会を皮肉った歌詞が痛快で、そこがQOPっぽいなと。
この曲を気に入ってくれてる人は僕の周りにも多いです。皮肉ってるというか、けっこうストレートに書いちゃってますけどね(笑)。まあ、言いたいことというか、曲を聴いてパッと思い浮かんだのがこういう歌詞の方向性だったってだけなんですけど。
──で、5~7曲目には瀬戸ファーブ、堺屋ユメノ、三森マツリのソロ曲が。
ソロ曲は今回、すごく気に入ってますね。各キャラクターのイメージがキレイにハマった曲と歌詞になったなと思っていて。ここは自分でも予想外によかったです。
──歌っているキャラの姿がちゃんと浮かぶ歌詞になっていますよね。
ですね。もちろん各キャラに対して当て書きはしましたけど、正直ここまでハマるとは思ってなかった。ちょっとおこがましいですけど作詞家としてイメージしてた歌詞と、キャラクターの個性とカラー、あるいは言い回しの合致具合がここまでうまくいくとは、という。
──ソロ曲に関して、歌のレコーディングはいかがでしたか?
皆さん、楽しそうにやってましたよ。ファーブ役の広瀬(ゆうき)さんは常にガンガン歌ってる人だから全然問題なかったですね。歌声もそうだし、常に外へのエネルギーが強い人ですよね。ユメノ役の山本(彩乃)さんもね、自分では歌が得意じゃないとか言ってるんだけど、でもすごく楽しそうに歌うんです。サウンド感と山本さんの声のマッチングがどうかなとミックスの段階までは思ってましたけど、結果的にはドはまりしましたね。軽快で踊れる感じが出たのでとてもよかった。
──山本さん同様、マツリ役の巽悠衣子さんの声もすごくキュートですよね。
そうそう。山本さんと巽さんは、ほかの2人とは違ってキュートタイプの声ですよね。でも同じタイプではあっても、巽さんはマツリっていうキャラの方向性から、よりメロディアスでメッセージ性のあるものを歌ってほしいと思って曲を選んで、歌詞を書きました。Dメロの「Heroine, wake you up!!!!」のところはめっちゃカッコいいですよね。ライブでも絶対楽しいところだと思います。
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野村さんの声がなければこういうアルバムを作ろうと思わなかった
- The QUEEN of PURPLE「I'M THE QUEEN」
- 2019年5月22日発売 / Victor Entertainment
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初回限定盤 [CD2枚組+オリジナル缶バッジ]
3564円 / VIZL-1594 -
通常盤 [CD2枚組]
3024円 / VICL-65196~7
- DISC 1収録曲
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- I'm queen, Bitch?
- Majesty
- THUNDERBOLT
- KID BLUE~裸の王様~
- Purple Raze
- R.B.E.
- Wake Up Heroine
- Clash!!!
- I AM
- DAYS
- DISC 2収録曲
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- 女王たちの冬(ドラマトラック)
ライブ情報
- The QUEEN of PURPLE 1st Live "I'M THE QUEEN, AND YOU?"
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- 2019年6月9日(日)東京都 Zepp Tokyo
- 2019年6月14日(金)東京都 チームスマイル・豊洲PIT
- Tokyo 7th シスターズ 5th Anniversary Live
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- 2019年7月13日(土)千葉県 幕張メッセ国際展示場
- 2019年7月14日(日)千葉県 幕張メッセ国際展示場
- Tokyo 7th シスターズ(トウキョウセブンスシスターズ)
- 2014年2月にサービスインしたスマートフォン向けのアイドル育成リズム&アドベンチャーゲーム。“アイドル氷河期の西暦2034年”を舞台にアイドルを育成&プロデュースしていく。ゲーム中にはメインユニット・777☆SISTERSをはじめ多くのアイドルグループやユニットが登場する。
- 茂木伸太郎(モテギシンタロウ)
- 株式会社Donutsに在籍するクリエイター。「Tokyo 7th シスターズ」の総監督兼総合音楽プロデューサーとして同作品のビジュアル、脚本、楽曲の企画や制作、ライブ制作に携わっている。