音楽ナタリー Power Push - チームしゃちほこ

夢に見た“おわり”とリアルな“はじまり”

かねてより目標に掲げていた愛知・日本ガイシホールでの単独公演を3月21日に控えるチームしゃちほこが、2ndアルバム「おわりとはじまり」をリリースした。

目標達成を目前に発表された「おわりとはじまり」には、チームしゃちほこの第2章の幕開けを強く印象付ける“はじまり”がテーマとなった楽曲を多数収録。今作のリリースを記念したこのインタビューでは、彼女たちの心象とリンクした「おわりとはじまり」の収録曲についてはもちろん、昨年11月に開催した初の神奈川・横浜アリーナ単独公演を終えての心境、日本ガイシホール公演に向けての意気込み、今後の目標などを聞いた。

取材・文 / 清本千尋 撮影 / 須田卓馬

横アリは発表会みたいな気分だった

──まずは昨年11月に開催した横浜アリーナでの単独公演の話を聞かせてください(参照:チームしゃちほこ、5人で新たな出発誓った横アリ「colors」公演)。初めてメンバーがライブの制作に携わった公演ですよね。

チームしゃちほこ

咲良菜緒 横アリより前にやった公演はスタッフさんが用意してくれたステージに立ってパフォーマンスをするというだけだったんですよ。今回は打ち合わせに私たちも参加して、1つのライブがどうやって完成するのかを知りました。

秋本帆華 ライブに対する考え方がだいぶ変わったよね。

坂本遥奈 うん。今まではステージの上のことしか知らなかったけど、いろんな演出があって、それによってライブが構成されてるんだなと知りました。セットリストもこのブロックはこういうふうに煽るとお客さんのテンションが上げられるとか、このブロックは歌を聴かせたいからこういう照明にしてるとか。

──そうやってみんなで作ったライブをやっているときはどんな気持ちでしたか?

咲良 とにかく楽しかったですね。

伊藤千由李 ライブ中はみんなで考えた演出で「お客さんがどういう反応するのかな?」ってずっと考えていたので、ワクワクしていました。

大黒柚姫 そうだね。横浜アリーナっていうチームしゃちほこ史上最大規模のアリーナ会場で、どうやってお客さんと私たちとの距離を感じさせないようにするかっていうのをすごく考えたんですよ。私たちが客席まで行けば距離は縮まるんじゃないかと思って、当日はいっぱい走ってお客さんの近くへ行きました。ライブを終えて、お客さんと距離が近いライブだったなという実感があります。

秋本帆華

秋本 あと今回は後輩ちゃんたちにバックダンサーとしてライブを盛り上げるのを手伝ってもらったんですよ。こういうことをしたのは今回が初めてだったので、貴重な体験でした。「ULTRA 超 MIRACLE SUPER VERY POWER BALL」のヘドバンの振り付けのところで後輩ちゃんたちが、床に付いちゃうぐらい頭を振ってるのを見て、私たちももっともっとがんばらなくちゃって、刺激を受けましたね。

──達成感はありますか?

秋本 あったー。今までで一番あったかも。

咲良 なんかすっきりしたよね。

──すっきり?

咲良 ライブ当日は発表会みたいな気分だったんですよ。いつもは短期間のレッスンだけで当日を迎えるので「ここ大丈夫かな?」とか不安があるんですけど、しっかり準備したから大丈夫っていう気持ちで臨めたんです。だからメンバーみんな「あとは観てもらうだけだね」っていう気持ちでライブをして、終わったときは「ちゃんと観せられた! やったー!」っていう達成感がすごかった。

言葉なしに思いが通じた

──横アリ公演は2015年11月から活動を休止していて、昨年9月にグループ卒業を発表した安藤ゆずさんを送り出すために用意されたブロックが印象的でした。本人がいなくとも客席が安藤さんのイメージカラー、ポニー・ピンクのペンライトで埋め尽くされましたが、あれってお客さんが自発的にやったんですよね。

秋本 そうなんですよ。客席がピンク一色に染まったとき「なんにも言ってないのに私たちの思いが通じた!」と思いました。

坂本 私たちはゆずを笑顔で送り出して、5人で前を向いて歩いていこうっていうのを言葉ではなくてパフォーマンスで示しただけなんです。それが伝わったらいいなって思っていて。

咲良菜緒

咲良 ゆずの件については、ファンのみんなも「これからどうしたらいいんだろう?」って思っている人が多かったのを知っていたから、これからも私たちのファンでいてもらうために、私たちが引っ張っていかなきゃと思ったんです。私たちの気持ちをパフォーマンスで見せて、ファンのみんなに納得してもらいたかった。そういう私たちの思いが通じて、ピンクのペンライトが灯ったとき、ファンのみんなも私たちと同じ方向を見てくれてるんだなってうれしくなったよね。

秋本 うん。ゆずの送り出しについてはやりきった感が私たちにもお客さんたちにもあったと思う。だからこそゆずのソロ曲「私がセンター」を5人で歌ったあとの「抱きしめてアンセム」はみんなで笑顔で踊れたよね。

──このタイミングだから話せることだと思うんですけど、安藤さんが抜けることが決まったとき、皆さんの気持ちはどうでしたか?

咲良 ゆずが卒業することを発表したのは去年の9月だけど、ステージに立てなくなったのは一昨年の11月。だからゆずが戻って来れないことも可能性としては考えていたんです。

──メンバーは6人なのにステージ上では5人という期間が1年近くありましたもんね。

咲良 うん。だからゆずが戻って来ても、戻って来れなくても、どっちになっても冷静でいられる準備が個々でできていたんだと思う。

──横アリを終えてすっきりしたという気持ちはそこにつながってくるのかもしれませんね。ファンと自分たちとの間にあったモヤモヤが解消したというか。

咲良 それはありますね。

ブル兄はしゃちの歴史を勉強してくれてる

──1stアルバム「ひまつぶし」(2014年8月発売)をリリースした頃は全員がまだ高校生でしたよね。にぎやかな楽曲がたくさん収録されていて、あの頃のメンバーの雰囲気にもぴったりだと思いました。今回の「おわりとはじまり」には音数の少ないシンプルなナンバーや大人っぽいバラードなんかも入ってますよね。

伊藤 この2年半で私たち大人になったよね。

──そんな気がします。1曲目の「プロフェッショナル思春期」なんかはまさに今のチームしゃちほこを表現した1曲だなと思いました。楽曲はチームしゃちほこの楽曲ではおなじみの浅野尚志さんと「Chérie!」を手がけたSAKRAさんとの共作。歌詞は「パレードは夜空を翔ける」も手がけた小川貴史さんが担当しています。これからの5人のことを歌ったナンバーですね。

坂本遥奈

坂本 この曲の歌詞の最初に「空になった宝箱」っていう言葉が出てくるんですけど、ハルは最初「宝箱ってどんどん自分の宝物を詰めていくものなのになんで空になっちゃうんだろう」って思ったんです。スタッフさんに理由を聞いたら「どうせ新しく始めるなら中途半端よりまっさらなほうがいい。空にした宝箱にどんどんいい思い出が詰めていこう」っていう意味だったみたいで。私はそれを聞いてからレコーディングに臨みました。

咲良 そこ、帆華のパートになったけど、帆華は意味を知ってたの?

秋本 今知った。これからは意味を噛み締めて歌うね(笑)。

大黒 「愛を知るたび強くなる」っていう歌詞があるけど、これ愛知のことだよね。今回のアルバムってそういうさりげない愛知要素も散りばめられてるよね。

──確かにそうですね。2曲目の「START」はBLUE ENCOUNTからの提供曲です。ロックバンドの方からの提供曲だと過去に川谷絵音(ゲスの極み乙女。、indigo la End)さん提供の「シャンプーハット」がありましたが、実はこういうストレートなロックチューンってチームしゃちほこにとっては珍しいですよね。

咲良 意外となかったんですよね。この曲を聴いたとき、ブル兄はしゃちほこの歴史をちゃんと勉強して歌詞を書いてくれたんだなって思いました。歌ってみたらキーがとんでもなく高くてびっくりしたけど。

大黒 そうそう。ロックは勢いが大事だから裏声じゃダメって言われたしね。

秋本 でもその必死に歌ってる感じがいいからって、キーを高くしたって聞きました。ライブだと本当に必死だよね(笑)。

ニューアルバム「おわりとはじまり」2017年2月22日発売 / unBORDE / Warner Music Japan
初回限定盤A [CD+Blu-ray] / 4860円 / WPZL-31264~5
初回限定盤B [CD2枚組] / 3780円 / WPCL-12511~2
通常盤 [CD] / 3240円 / WPCL-12510
CD収録曲
  1. プロフェッショナル思春期

    [作詞:小川貴史 / 作曲:浅野尚志、SAKRA / 編曲:シライシ紗トリ]

  2. START

    [作詞・作曲:田邊駿一 / 編曲:BLUE ENCOUNT]

  3. 完全満足NGY

    [作詞・作曲・編曲:浅野尚志]

  4. シャンプーハット(おわりとはじまり ver.)

    [作詞・作曲:川谷絵音 / 編曲:CMJK]

  5. ロードムービー

    [作詞・作曲・編曲:浅野尚志]

  6. Chérie!

    [作詞・作曲:SAKRA / 編曲:CMJK]

  7. 天才バカボン(おわりとはじまり ver.)

    [作詞:東京ムービー企画部 / 作曲:渡辺岳夫 / 編曲:CMJK]

  8. Kissy-麺

    [作詞・作曲・編曲:大内正徳]

  9. 夢でもいいの

    [作詞・作曲:SAKRA / 編曲:CMJK]

  10. ワタシノユウキ

    [作詞:MICRO / 作曲:藤本和則、MICRO / 編曲:藤本和則]

  11. パレードは夜空を翔ける

    [作詞:youth case、小川貴史 / 作曲:youth case / 編曲:youth case、北川暁]

  12. ULTRA 超 MIRACLE SUPER VERY POWER BALL

    [作詞・作曲・編曲:浅野尚志]

  13. なくしもの

    [作詞・作曲:高橋優 / 編曲:池窪浩一、高橋優]

初回限定盤A Blu-ray収録内容
  • ROAD to 笠寺 ~4年間の軌跡と5年目の奇跡~<完全版>
初回限定盤B CD収録曲
  1. おっとりガールの憂鬱
  2. ベイビーミソカツ
  3. ら・ら・ら・アイドル
  4. 泣いてなんかいないよ
  5. 小さな夜のうた
  6. 翼を授けてグローリア
  7. レディオにおねがい
  8. 秘密のセレナーデ

チームしゃちほこ SPRING TOUR 2017 おわりとはじまり~#ナゴヤの大逆襲~

2017年4月7日(金)愛知県 Zepp Nagoya
2017年4月15日(土)沖縄県 ナムラホール
2017年4月30日(日)石川県 金沢EIGHT HALL
2017年5月4日(木・祝)福岡県 DRUM LOGOS
2017年5月5日(金・祝)広島県 広島CLUB QUATTRO
2017年5月7日(日)愛媛県 WStudioRED
2017年5月13日(土)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
2017年5月14日(日)新潟県 新潟LOTS
2017年5月28日(日)北海道 札幌PENNY LANE24
2017年6月10日(土)宮城県 Rensa
2017年6月18日(日)大阪府 Zepp Namba
2017年7月1日(土)東京都 新木場STUDIO COAST
2017年7月23日(日)愛知県 Zepp Nagoya
チームしゃちほこ
チームしゃちほこ

スターダストプロモーション芸能3部に所属する愛知県出身の秋本帆華、咲良菜緒、大黒柚姫、坂本遥奈、伊藤千由李の5人からなるアイドルグループ。2012年4月名古屋城にて“路上デビュー”ライブを行い、2012年10月にはワーナーミュージック・ジャパンよりシングル「ザ・スターダストボウリング」を発表し“名古屋メジャーデビュー”を果たす。2013年6月には“日本先行メジャーデビュー”シングル「首都移転計画」をリリース。同年12月には愛知・愛知県体育館にてワンマンライブ「愛の地球祭り2013」を行い、2014年8月に初の東京・日本武道館ワンマン、1stアルバム「ひまつぶし」をリリースと、人気を全国区に広げる。2015年は5月に初の単独アリーナ2DAYSとなる千葉・幕張メッセ公演「幕張HOLLYWOOD」、8月に愛知・ラグーナテンボス ラグーナビーチにて過去最大の野外単独公演「しゃちサマ2015」を大成功に収めた。活動5年目に突入した2016年4月からの1年間を「VICTORY YEAR」とし、“路上デビュー記念日”である4月9日にシングル「Chérie!」を発表。8月にシングル「ULTRA 超 MIRACLE SUPER VERY POWER BALL」をリリースした。また5月の千葉・幕張イベントホールでの2DAYSライブを皮切りに計5万人を動員予定のライブ「5年目5公演5万人」を各地で開催し、ファイナル公演として2017年3月に以前より目標に掲げていた愛知・日本ガイシホールにて単独公演を行う。2月22日に2ndアルバム「おわりとはじまり」を発表。このアルバムを携えたツアー「チームしゃちほこ SPRING TOUR 2017 おわりとはじまり~#ナゴヤの大逆襲~」を4月にスタートさせる。