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首都かえてみそ!名古屋に首都を移転すべき6つの理由

浅野尚志インタビュー

「恋人はスナイパー」「トリプルセブン」「ザ・スターダストボウリング」「乙女受験戦争」と、チームしゃちほこがこれまで発表したシングルすべてに楽曲を提供しているのが、1989年・石川生まれの若きサウンドクリエイター、浅野尚志。最新シングル「首都移転計画」ではカップリング曲「そこそこプレミアム」の作詞・作曲・編曲を手がけている。繊細さと豪快さを矛盾なくあわせ持った浅野のサウンドが、結成まもないチームしゃちほこの方向性を決定付けたと言っても過言ではない。今回は「チームしゃちほこの音楽」を語る上で外せないキーパーソンとして、浅野へのインタビューも行った。

バイオリン、ピアノ、東大生……

──以前、チームしゃちほこのスタッフさんに浅野さんの話を聞いたところ「若い作家で、まだ学生さんだ」と。しかも東大生だという(笑)。

はい、まだ在学中です。

──でもすでにチームしゃちほこのメイン作家と呼べる立ち位置で、かつほかのアーティストの楽曲も多数手がけていますよね。とはいえまだまだ謎に包まれた部分も多いので、今日は詳しく聞かせてください。まず音楽遍歴から。

浅野尚志

最初は子供の頃に始めたバイオリンです。あとピアノを。

──「バイオリン」「ピアノ」「東大」って完全に“ええとこの子”ですよね(笑)。実際はどうなんですか?

あはは(笑)。そうなんスかねえ。両親が医者だったりするので……。

──100%お坊ちゃんじゃないですか! 習い事としてバイオリンを?

はい。自分からやりたいって言い出したらしくて。バイオリンとピアノは高校ぐらいまでやってたんですけど、中学の頃にドラムを始めて、そのあたりから自分で曲も作り始めたんです。最初打ち込みで始めたんですが、ギターを打ち込むのがめんどくさいから、ギターも弾くようになって、そのあとベースも。

──浅野作品を聴いているとベースが非常によく練られているので、勝手にベーシストなんだと思っていました。

あ、やり始めたのはベースが最後なんですけど、大学に入った頃ぐらいからすごくベースにハマッて。今一番うまく弾けるのはベースなんじゃないかなと思います。

──中学でドラムに目覚めたのはバンドに興味を持ったから?

それもあるんですけど、それよりも吹奏楽部で試しにドラムを叩いてみたら楽しすぎたっていう(笑)。そこからはバンド寄りになっちゃいましたけど。でも「バンドをやりたい」よりも「曲が作りたい」のほうが大きかったから、中2ぐらいですぐ打ち込みに走ったんです。

ひたすら自己満で曲作り

──同世代にはいわゆる「ニコ動」系のクリエイターも多いと思うのですが、浅野さんはニコニコ動画に投稿したり、ボーカロイドで曲を作ったりしなかったんですか?

ボーカロイドは一応やってみたんですけど、そんなにハマれなかったですね。

──ニコ動文化に走らなかったとなると、中学高校の頃は自作曲の発表の場はあったんですか?

いや、なかったです。ひたすら自分のために書いてたみたいな(笑)。友達に聴かせるぐらいで。文化祭でやることはあったけど、ほとんど自己満ですね。

──そうやって独自に音楽の道を進みながらも、同時に学業優秀な子でもあったわけですよね(笑)。のちに東大に入るぐらいなんですから。親は音楽に没頭していることに反対しなかったんですか? 両親とも医者となると、普通は同じ道を、という話になるのでは?

「好きにすれば?」みたいなスタンスですね。東京でちゃんと音楽がやりたくて「東京で大学……じゃあ東大か」って。

──東京の大学=東京大学(笑)。いろいろおかしいですよ!

でっかいレーベルは全部東京にあるし、人もいっぱいいるし、音楽をちゃんとやるなら東京に行こうと。

──作家としての活動を始めるきっかけはどのようにして手に入れたんですか?

きっかけはヒャダインさんの曲のリアレンジコンテストなんです。あのコンテストがきっかけで、今の事務所に声をかけてもらって。

仮で歌詞を書いてたら「この調子で書いてください」って

──事務所に入ってからはコンペ用に曲を書いて……という流れだと思いますが、チームしゃちほこへの初提供曲である「恋人はスナイパー」はどのようにして作られたんでしょうか。

あの曲はまず「恋人はスナイパー」というタイトルがあって、あとはいくつかあった指示に沿って。

──お題目に答えるように。音楽的にどういうものを、という注文はなかったんですか?

なかったですね。歌詞はもともと書く予定じゃなかったんですけど、仮で歌詞を書いてたら「この調子で書いてください」って言われて(笑)。

浅野尚志

──「恋人はスナイパー」とそのあとの「トリプルセブン」もすごいなと思いましたけど、“名古屋メジャーデビュー”シングルとなった「ザ・スターダストボウリング」は衝撃でした。リフレインにも細かい工夫が施されていて何度聴いても飽きない。実は5分以上あるのに長さを感じさせないんですよ。それと、イマドキのアイドルソングらしい曲であると同時に、フランス・ギャル「夢見るシャンソン人形」のような、いわゆる1960年代のイエイエ的な要素も感じられて。

スタッフさんにも「『夢見るシャンソン人形』みたいだね」って言われたんですけど、僕その曲知らなかったんですよ(笑)。

──1990年代の日本には60'sの手法を意図的に取り入れた音楽が多かったので、浅野さんはその世代の、いわゆる“渋谷系”世代の作家さんなのかなと思ってたんですね。それでスタッフさんに聞いてみたら現役大学生だと。まさか天然だったとは。

あははは(笑)。ただ「歌謡曲っぽいメロディ」にしようと思って作ったのがこれなんです。

メジャーデビューシングル「首都移転計画」/ 2013年6月19日発売 / unBORDE / Warner Music Japan
ジャパニーズ・エディション / 1200円 / WPCL-11464
ナゴヤ・エディション / 1200円 / WPCL-11465 / ※名古屋&会場限定
ジャパニーズ・エディション収録曲
  1. 首都移転計画
  2. そこそこプレミアム
  3. マジ感謝
  4. 首都移転計画(off vocal)
  5. そこそこプレミアム(off vocal)
  6. マジ感謝(off vocal)
ナゴヤ・エディション収録曲
  1. 首都移転計画
  2. そこそこプレミアム
  3. サマラバ
  4. 首都移転計画(off vocal)
  5. そこそこプレミアム(off vocal)
  6. サマラバ(off vocal)
チームしゃちほこ

チームしゃちほこ

スターダストプロモーション芸能3部「3Bjunior」から選ばれた、秋本帆華、咲良菜緒、安藤ゆず、大黒柚姫、坂本遥奈、伊藤千由李の6人からなるアイドルグループ。2011年9月より愛知・名古屋を拠点に活動をスタートさせ、2012年10月にはワーナーミュージック・ジャパンよりシングル「ザ・スターダストボウリング」を発表し“名古屋メジャーデビュー”を果たす。同年12月30日には愛知・名古屋CLUB QUATTROにて初のワンマンライブを行い、2013年5月には東名阪の3会場を回る「チームしゃちほこ World Premium Japan Tour 2013 ~見切り発車は蜜の味~」をいずれも大成功に収めた。2013年6月19日に“日本先行メジャーデビュー”シングル「首都移転計画」をリリース。