sumika|結束力増した4人が鳴らすチャイム

吉澤嘉代子と交わらない「あの手、この手」

──吉澤嘉代子さんがゲストボーカルとして参加した「あの手、この手」も、sumikaの幅広い音楽性を示す曲だと思います。一般的なデュエットソングとは違い、1番を片岡さん、2番を吉澤さんが歌うという構成が斬新だなと。

片岡 1番は男性の目線、2番は女性目線になっているんですけど、もともとは「1つの楽曲と、そのアンサーソングが一緒になってたら面白いよね」というアイデアから始まっていて。2番を女性に歌ってほしいという話から、全員一致で「吉澤さんにお願いしたい」ということになったんです。吉澤さんは変幻自在な方だと思うんですよ。

黒田隼之介(G, Cho)

黒田 女優感があるというか。

片岡 演じている部分もあると思うんだけど、歌にはぜんぜんウソがなくて、すごくリアル。そういう表現ができる女性シンガーって、稀有だと思うんですよね。

黒田 しかも(片岡と吉澤の)声が1回も交わらないっていう。

片岡 そうだよね(笑)。スタッフからも「どこかで声を交わらせるのはどう?」という意見があったんですけど、1番は男性の気持ち、2番は女性の気持ちを歌ってるので、交わらないほうがいいなと。

──これ、ライブではどうするんですか?

片岡 そこは乞うご期待ということで(笑)。曲として形にするところまでが最初のゴールで、ライブについてはまだ考えてないんですよ。スタッフやファンの方から「こういう演出で聴いてみたい」という意見が来て、それが面白かったらやってみようかなと。

黒田 何ができるか、僕らも楽しみです。

そばにいる大事な人をもっと大事に思えるように

──アルバムの最後の曲は「Familia」。1stアルバムのタイトルと同じ題名の曲ということもあり、前作からのつながりが感じられる曲ですが、どのタイミングで作ったんですか?

片岡 最後です。ずっと曲名を伏せて、スケジュールに「14曲目のレコーディング」とだけ書いていて。「Chime」というタイトルを最初に伝えたように、この曲はメンバーにも最後に聴いてほしかったんですよ。アルバム作りにおいて「メンバーにどのタイミングで聴かせるか?」って、すごく重要だと思うんです。特に「Familia」はアルバムの最後の曲だし、制作の途中で聴いてもらうと、ゴールテープが目に入っちゃうじゃないですか。そうじゃなくて、目の前のことに集中しながら進んでいくのがsumikaらしいと思うので。逆に言うと、「Familia」を録るときは「Familia」のことだけ考えてほしいというか。それは僕のエゴなんですけどね。

黒田 「Familia」のデモを聴いたのは、本当に最後の最後だったんですけど、絶妙なタイミングでしたね。

荒井 キメに来たなと。

片岡 ははははは(笑)。

小川貴之(Key, Cho)

小川 僕だけ、事前にデモを聴いてたんですよ。メンバーやスタッフは早くどんな曲か知りたい状態だったし、「ホントに大丈夫?」って心配してたんですけど。

片岡 「実は曲ができなくて煮詰まってるんじゃないか?」って。ずっと「小川さんが大丈夫って言ってるので、大丈夫です」と答えてました(笑)。

小川 (笑)。ビッグバンド風のアレンジで、ここまでたくさんホーンが入ってる曲は初めてですね。迫力のあるサウンドが構築できたし、作っている最中も感動してました。

──この曲はバンドとファンの関係を歌った曲なんですか?

片岡 半分はそうですけど、もう半分は「そばにいる大事な人をもっと大事に思えるようになったらいいな」という気持ちです。血のつながりは大きいし、成長するにつれて「家族はやっぱり大事なんだな」と思うようになったけど、反抗期の頃には「ここからは抗えない。つらいな」と感じる時期もあると思うんです。でも、大人になると、自分で家族を作ることもできるんですよね。今、生きづらさを感じている人には、ぜひそのことを知ってほしいなと。僕自身もsumikaを通して「0から1を作れる」ということを実感しているので。あと、ここ1、2年の間にスタッフやチームの中で結婚した人、子供ができた人が多かったことも影響してますね。

自慢のチームと共にツアーへ

──3月からは「Chime」のリリースツアーが始まります。日本武道館から始まって、横浜アリーナ、大阪城ホールまで続く大規模なツアーですが、ライブのスケールが拡大することで、ステージに立つときの意識も変わってきてますか?

片岡 去年、初めてホールツアーをやって(参照:sumika、名古屋の観客と“目を見て約束”した「Familia」ホールツアー最終公演)。始まる前は「何か変わるのかな?」と思ってたんだけど、根本は同じだったんですよ。お客さんが300人でも1000人でも1万人でも、スタンスとしては“1対1”だなって。「Chime」のツアーも、そういう確信をもって臨めると思うし、さらにしっかり向き合えるんじゃないかなと。

荒井智之(Dr, Cho)

荒井 ありがたいことに、以前と大きく変わることなくライブをやれていて。それはもちろん、スタッフや関係者のおかげですよね。規模が大きくなると人出も必要になるけど、見知った顔がステージを設営してくれてたり、いろいろなところで力を貸してくれて。お客さんも今まで通り純粋に楽しんでくれているし、僕らは目の前のステージに集中するだけでいいので。

小川 うん。個人的にはツアーのたびに「ここをがんばれたらいいな」という目標を決めて、その中でトライ&エラーを繰り返していて。そういう挑戦ができるのも、周りの皆さんのサポートのおかげだと思います。制作もライブも、チーム力が上がってる。

片岡 自慢のチームですね。

黒田 僕らはずっと「いい曲を作って、いいライブをやる」ということだけを考えていて、それを支えてくれてるのがチームのみんななんです。MCでも言ったことがあるんですが、sumikaのライブを観て「いいな」と思ってもらえるのは、いい舞台を作ってくれる設営チーム、いい明かりを照らしてくれる照明チーム、いい音で届けてくれるPAチームがいるから。sumikaのスタッフ、チームには圧倒的な自信があるし、だからこそ僕らも楽しんで音楽をやれるんですよね。

ツアー情報

sumika「Chime」Release Tour
  • 2019年3月14日(木)東京都 日本武道館
  • 2019年3月30日(土)神奈川県 カルッツかわさき
  • 2019年4月6日(土)香川県 サンポートホール高松 大ホール
  • 2019年4月7日(日)愛媛県 松山市民会館
  • 2019年4月13日(土)岩手県 盛岡市民文化ホール
  • 2019年4月14日(日)宮城県 東京エレクトロンホール宮城
  • 2019年4月20日(土)広島県 上野学園ホール
  • 2019年4月21日(日)広島県 上野学園ホール
  • 2019年4月27日(土)石川県 本多の森ホール
  • 2019年4月28日(日)新潟県 新潟県民会館
  • 2019年5月2日(木・祝)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2019年5月3日(金・祝)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2019年5月6日(月・振休)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2019年5月11日(土)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
  • 2019年5月12日(日)北海道 音更町文化センター
  • 2019年5月19日(日)千葉県 市川市文化会館
  • 2019年5月22日(水)静岡県 アクトシティ浜松 大ホール
  • 2019年5月25日(土)鹿児島県 宝山ホール
  • 2019年5月26日(日)福岡県 福岡サンパレスホテル&ホール
  • 2019年5月30日(木)東京都 NHKホール
  • 2019年5月31日(金)東京都 NHKホール
  • 2019年6月9日(日)神奈川県 横浜アリーナ
  • 2019年6月26日(水)大阪府 大阪城ホール
  • 2019年6月30日(日)大阪府 大阪城ホール
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