ナタリー PowerPush - スキマスイッチ

新たな一歩を踏み出すスキマ流ロック

スキマスイッチが2014年第1弾シングル「Ah Yeah!!」をリリースした。アニメ「ハイキュー!!」オープニングテーマに採用されたこの曲は、ロックテイストを全面に押し出したサウンドと高揚感にあふれるメロディがひとつになったアップチューン。昨年デビュー10周年を迎えた彼らは「Ah Yeah!!」によって、新たなステージに向かって進み出すことになりそうだ。

今回ナタリーでは、大橋卓弥(Vo, G)、常田真太郎(Key)にインタビュー。ニューシングルの制作プロセス、デビュー11年目を迎えた現在の心境などについて語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 佐藤類

新たなスタートを飾る「Ah Yeah!!」

スキマスイッチ

──ニューシングル「Ah Yeah!!」はスキマスイッチの新しいスタートを告げる作品と言えそうですね。

大橋卓弥 そうですね。去年はライブを中心にした活動だったんですけど、その頃から「新しい作品を作りたい」という気持ちはあって。年明けには制作モードになってましたね。

常田真太郎 「musium」(2011年10月リリースの5thアルバム)以来オリジナルアルバムを出してないっていうのもすごく気になってたんですよ。もう3年くらい出てないし、ファンの方からも「早く出してほしい」という声をいただくので。今年でデビュー11年目になりますけど、丸10年でアルバム5枚っていうのも少ない気がするし……。そういうことを含めて「新曲を作っている」ということを伝えたいな、と。実際、制作欲はかなり強かったですね。

──新曲のアイデアも溜まってた?

常田 そうですね。以前はやれなかったことも「今ならできるかも」ということもあったり。そこはやっぱり「10年やってきた」というキャリアも関係してくると思うんですよね。去年の活動を通して「素晴らしい環境でやらせてもらってきたな」ということも改めて感じたので。

大橋 うん。今回はまず、お互いに(楽曲の)叩き台を作るところから始めたんですよ。「最低5曲は書いてこよう」って。

大橋卓弥(Vo, G)

常田 「シンタくんも曲を書かなくちゃダメだよ」って怒られました(笑)。最近は卓弥に任せてしまうところもあったので……。で、実際に5曲書いたんです。卓弥はもっと書いてきたけど。

大橋 まあ、思い付くままにね。

──デビュー前も同じようなことをやってましたよね。

大橋 “炎の10曲”(デビュー直前、スキマスイッチはスタッフから“2週間で10曲ずつ新曲を書く”という課題を与えられた)ですね。このタイミングで、そういうことをやってもいいかなって。

常田 お互いの確認にもなりますからね。「今、こういうことをやりたいんだな」っていう。

11年目のスキマスイッチは何をやるべきか?

──曲作りはスムーズでした?

大橋 いや、それがそうでもなくて。新曲を作りたいという気持ちが強かったから、もっとポンポン出てくるかと思ったんですよ。(曲の)数はけっこうあったんですけど、いまいちピンと来なかったというか……。まわりの反応がよくても、自分の中で「何か違うんだよな」っていうのが続いていて。

常田 ずっと言ってたよね、それ。

大橋 新曲を書きたいという気持ちはあるんだけど、体や耳が付いてきてないというか。いい曲ができたときって、神経に触れてビリビリってなる感覚があるんですけど、それがあんまり感じられなかったんですよね。

常田 「ホントにいいと思う?」って何度か聞かれました。「これはいいと思うよ」って言うと、「そうかなあ。やっぱり、もう1回作り直す」とか。僕はわりと楽しくやってたんですけどね。まとめて曲を書くのはひさびさだったし、その中で「自分がやりたいことをどこまで卓弥に伝えられるか?」ということもあって。もちろん、卓弥の向こうにはファンの皆さんがいるわけですし。楽しさもありつつ、ちょっとした不安も感じつつ……。

常田真太郎(Key)

大橋 いろいろ考えてましたね、今振り返ってみると。11年目のスキマスイッチは何をやるべきか?っていう。

常田 うん。でも、2人とも(デモ音源に)ディストーションギターがけっこう入ってたんですよ、なぜか。

──打ち合わせたわけではなく?

大橋 そうです。たまたま2人ともロックサウンド、バンドサウンドに意識が向いてたというか。

常田 「自分にはできない」というコンプレックスはあるんですけど、ロックも好きで聴いてましたからね、ずっと。GRAPEVINEも好きだし、もっとオルタナなのも聴くし。

大橋 意外と僕らって、CDラックのライブラリーは共通してる部分が大きいんですよ。シンタくんに70年代のAORを薦められて「カッコいいね」とか、「これ知ってる?」って新人アーティストの話をしても「聴いてるよ」みたいなこともけっこう多くて。だからお互いのデモにギターが入っていても「あ、やっぱりそんなふうに思ってた?」っていう感じというか。

常田 ずっと共通してるのは“歌モノ”ってことですね。最近はEDM系も聴いてますけど、やっぱり歌モノのEDMのほうが面白いので。

ニューシングル「Ah Yeah!!」 / 2014年7月23日発売 / アリオラジャパン
初回限定盤 [Blu-spec CD2 + DVD] 1944円 / AUCL-30020~1
通常盤 [CD] 1296円 / AUCL-162
アニメ盤 [CD] 1404円 / AUCL-163
初回限定盤および通常盤CD収録曲
  1. Ah Yeah!!
  2. 夏のコスモナウト
  3. passage(from 新宿LOFT 2014.4.9)
  4. Ah Yeah!!(backing track)
初回限定盤DVD収録内容
  • 「SHINJUKU LOFT 15th ANNIVERSARY PREMIUM LIVE SERIES 2014 THE DREAM MATCH#1」Documentary & Live
アニメ盤CD収録曲
  1. Ah Yeah!!
  2. 夏のコスモナウト
  3. passage(from 新宿LOFT 2014.4.9)
  4. Ah Yeah!!(anime ver.)
  5. Ah Yeah!!(backing track)
スキマスイッチ
スキマスイッチ

大橋卓弥(Vo, G)、常田真太郎(Key)のソングライター2人からなるポップユニット。大橋が自分の曲のアレンジを常田に依頼したことをきっかけに1999年に結成された。2003年7月にシングル「view」でデビューしてからは「オフィスオーガスタ」所属の新人として話題を集め、フックの効いたメロディと心地よいアレンジで人気沸騰。2ndシングル「奏(かなで)」がロングヒットを記録し、1stアルバム「夏雲ノイズ」はオリコン週間チャート2位を獲得した。2005年には5thシングル「全力少年」で「第56回NHK紅白歌合戦」初出場。翌2006年には7thシングル「ボクノート」が「第48回日本レコード大賞」金賞(大賞ノミネート作品)に選出された。デビュー10年目を迎えた2013年には6月に18thシングル「スカーレット」、7月に19thシングル「Hello Especially」を立て続けに発表し、8月には初のオールタイムベストアルバム「POPMAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~」が発売された。2014年7月には通算20枚目となるニューシングル「Ah Yeah!!」とライブDVD「Sukimaswitch in Augusta Camp 2013」をリリース。