1. street g♥thic

──ここからはそんな“カラフル”なアルバムについて解説していっていただきたいと思います。「BLACK」の幕開けを飾るのは「street g♥thic」と名付けられたインストゥルメンタルです。

タイトルの通り、「ストリートとゴシック」というテーマで作った曲ですね。最初は歌を入れる予定だったんですけど、アルバムの序章になる曲が欲しかったのでインストのままがいいかなと。言葉で具体的に表現することができないんですけど、ストリート感とゴシックな雰囲気がちゃんと混ざった曲になったと思います。

2. MISSING

──「MISSING」は1年間の活動休止を経て、2014年2月に再始動後初のシングルとして出された曲で、非常に攻撃的なサウンドです。シングルとしてリリースした段階でアルバムのどの位置に入れるか考えていましたか？

ええ。ほかの曲をまだ書いていない状態から「HELLYEAH」か「MISSING」のどちらかをアルバムの冒頭に持ってこようと考えていましたね。この「MISSING」は復活のタイミングでリリースしたんですけど、「再生」がテーマになっているんです。小説の中でも、1回死んだ男の子がクローンとして再生するんで、その設定ともリンクさせてますね。

──ちなみに小説はどんな内容なんですか？

再生医療が身近な存在になって、2割くらいの人が細胞をいじってる世界が舞台ですね。例えば体の50%以上を再生医療で入れ替えちゃったら、それは人間なのかということが問題になってるような社会で。そんな世界の中で、整形中毒の女の子のように細胞をチューンナップしていく姿なんかを描いてます。

──そういった話が浮かんだきっかけはあったんですか？

死んだネズミから採取した血液でクローンを作ることに成功したというニュースを知ったことがきっかけですね。だから10年前くらいから話の構想を練ってました。

03. HELLYEAH

──この曲はソロプロジェクトの浮気者名義でも発表されている曲ですが、SuGのアルバムに入れるにあたってどんなアレンジにしようと思いましたか？

デモだとバンドのイメージで作ってたんですよ。だからオリジナルはギターが入った今回の音源に近いんですよね。アルバムを出す前にいろんな人に聴いてもらいたかったのと、PVを撮りたかったので浮気者として出したんです。

──「CRY OUT」のリリース時のインタビュー（参照：SuG「CRY OUT」インタビュー）でも、浮気者はアルバムのための活動だとお話していましたね。

ええ。だから気持ち的に「HELLYEAH」は、オリジナルよりも先に浮気者でリミックスを発表した感じでなんです。

──SuGのライブでもすでに披露されていますが、反応はどうですか？

コール＆レスポンスをする前提で作ったのもあるかもしれませんけど、すさまじくお客さんのノリがいいですね。自分たちでもびっくりするくらい反応がいいです。

04. overflow

──この曲はかなり展開が激しいですね。

確かにすさまじいですね。これは「MISSING」「HELLYEAH」に続く曲だし、好きにやろうとした結果激しい感じになりました。ただごちゃごちゃしてるけれど、“どれだけちゃんと聴かせることができるか”はアレンジで意識してます。

──歌詞に「退路なしでちょうどいいや」「道無き道を 切り開いて」という一節がありますが、この言葉は今のSuGの決意表明なのかなと。

そうですね。歌詞は再生して復活した小説の主人公の姿と、SuGの復活を重ねていて。サウンドにもそういう思いが込められてますね。「overflow」って「あふれ出る」って意味なので、飽和状態になった自分たちの気持ちがあふれていく感じ。バンドでもこれからさらに新しいことに挑戦していくぞっていう感じですね。

05. night market

──これはグルーヴィなベースが印象的なトラックですが、この位置に入っている理由は？

これは小説の流れにあわせて入れた曲ですね。先ほどもお話したように、アルバムの曲は基本的に小説のストーリーにあわせてサントラ的に作っているので。ちなみに曲のイメージは東京の夜市ですね。

06. B.A.B.Y.

──「B.A.B.Y.」は2014年7月にリリースされたシングルで、この曲が発表されたあたりから武瑠さんが「BLACK」について具体的に言及し始めた印象があります（参照：SuG「B.A.B.Y.」インタビュー ）。当時は「B.A.B.Y.」は今まで以上にポップな方向に振り切った楽曲だとおっしゃっていました。

夜市で遊んで、テンションが高いままみんなで海に行こうよっていうノリの曲ですね。小説の中の登場人物たちが仲良くなるシーンとリンクしてて。アルバムの中ではここまで明るい曲はないので浮いてるかもしれませんね。