音楽ナタリー Power Push - SuG
5人が振り返る10年と日本武道館への思い
今年結成10周年を迎えたSuGが3月8日にベストアルバム「MIXTAPE」をリリースする。メンバーが収録曲をセレクトした本作は、2010年発表のメジャーデビュー曲「gr8 story」から、武瑠(Vo)が「楽曲、歌詞、映像、パフォーマンスを含めて、やりたいことが一番バランスよく実現できた」と語る最新シングル「SICK'S」までSuGの軌跡をたどることができる作品に仕上がっている。
今回音楽ナタリーではメンバー5人にインタビューを実施。本作「MIXTAPE」や9月2日に開催される初の東京・日本武道館公演への思いと共に、ヴィジュアル系の枠に収まらない多彩な音楽性とファッションセンスを備えたSuGの在り方について語ってもらった。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 後藤倫人
「お、10年経ったか!」みたいな感じはない
──今回のファッションは黒と白のモノトーンですね。
武瑠(Vo) はい。正装っぽい感じがいいかなと思って。
──結成10周年ですからね。
武瑠 意外と実感はないんですけどね(笑)。
yuji(G) ずっとバンドをやり続けてるから、「お、10年経ったか!」みたいな感じはないんですよ。
shinpei(Dr) そうだね。SuGって“○周年ライブ”っていうのもあまりやってないし。
yuji 7周年のときに下北沢GARDENでライブをやったんですけど、思ったほど盛り上がらなかったんですよ(笑)。
Chiyu(B) そうそう。あのライブは忘れられんな(笑)。
──でも、今回はアニバーサリー感がすごくありますよね。ベストアルバム「MIXTAPE」のリリース、そして初の日本武道館でのライブもあって。
武瑠 自分たちとしては10周年を迎えるより先に「武道館ライブをどうやって実現させるか?」ということを考えてきたんですよね。2013年に活動休止して、2014年の活動再開以降はそれが1つの軸になっていたし。
自分たちの中では現在進行形の曲ばかり
──ベストアルバムもこの記念すべき年にふさわしい内容だと思いますが、収録曲はどうやって選んだんですか?
masato(G) 事務所のホワイトボードに曲名を書いて……。
shinpei 選び方って、そういう話?(笑)
masato そこでいろいろ話し合いながら決めていったんですよ(笑)。
shinpei CDの収録時間もあるし、入れたくても入れられない曲もありますからね。
Chiyu まず曲を決めて、それをどう組んでいくか意見を出し合って。
武瑠 曲順はライブのセットリストを組む感覚と同じですね。
yuji そう。ほとんどライブでやっていて、自分たちの中では現在進行形の曲ばかりだから。
shinpei だから「懐かしい」っていう感じはなくて。こういう取材で話してると「そういえばあったね、そんなこと」っていろいろ思い出しますけど(笑)。例えばメジャーデビュー曲の「gr8 story」をリリースしたときに池袋でイベントをやったことだったり、ミュージックビデオの撮影の前日がライブで、ほとんど寝ないで撮影現場に行ったことだったり。「gr8 story」はテレビアニメ「家庭教師ヒットマンREBORN!」のタイアップ曲だったんですけど、テレビから曲が流れてきたときのことをすごく覚えてますね。
masato うん。
shinpei ライブでも「ここ!」という大事なときに演奏することが多いんですよ、この曲。自分たちにとっても思い入れのある曲だし、ファンの人たちの中でもいろいろな思い出が積み重なってるんじゃないかなって。
masato 僕は「mad$hip」が印象に残ってますね。メジャー2ndアルバム「Thrill Ride Pirates」のリードトラックなんですけど、こういう攻撃的な曲をリードに持ってきたのが初めてだったので。「Thrill Ride Pirates」は武瑠が書いた小説のストーリーに沿って作ったアルバムなんですよ。1stアルバム「TOKYO MUSiCAL HOTEL」も武瑠の小説に沿って作ったんですけど、それをさらに進めたアルバムというか。SuGがやろうとしていたことをちゃんと形にできた作品だと思いますね。
shinpei 一番忙しかった時期かもね(笑)。
武瑠 うん。そのあたりの3、4年は3日以上続けて休んでなかったから。
──Chiyuさんはどの曲が印象に残ってますか?
Chiyu 「Smells Like Virgin Spirit」(2016年3月発表のミニアルバム「VIRGIN」収録)かな。この曲はメンバー全員でスタジオに集まって、意見を出し合いながら作ったんですよ。そういう作り方って、本当にひさしぶりだったんですよね。結成直後に「曲がないからとにかく作ろう」ってスタジオに入ったことがあるんですけど、そのときはなんの知識もなかったし、なんとなく作ってしまった感じで。「Smells Like Virgin Spirit」のときは「ここはこうしたほうがいい」というアイデアをどんどん出せたし、みんなで作った感がすごくあったので。
yuji 僕は「CRY OUT」ですかね。この曲って、ジャンルがわからないと思うんですよね。SuGの曲にはラウド系だったりミクスチャーっぽいものもあるけど、「CRY OUT」はそういう感じがなくて。そのうえでSuGらしいバランスが取れているのがいいなと。「SICK'S」や「sweeToxic」もSuGにしかできない曲だなって思いますけどね。
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- ベストアルバム「MIXTAPE」 / 2017年3月8日発売 / ポニーキャニオン
 - LIMITED EDITION [CD+DVD2枚組] / 3900円 / PCCA-04513
 - STANDARD EDITION [CD] / 2500円 / PCCA-04514
 
CD収録曲
- gr8 story
 - R.P.G. ~Rockin' Playing Game~
 - 不完全 Beautyfool Days
 - MISSING
 - KILL KILL
 - sweeToxic
 - Vi-Vi-Vi -Rebirth ver.-
 - 桜雨
 - 無条件幸福論 -Rebirth ver.-
 
- teenAge dream
 - ☆ギミギミ☆
 - SICK'S
 - mad$hip
 - Howling Magic
 - LOVE SCREAM PARTY -Rebirth ver.-
 - 小悪魔 Sparkling
 - CRY OUT
 - Smells Like Virgin Spirit
 
LIMITED EDITION DVD収録内容
DISC 1 MV COLLECTION Part 1
- gr8 story
 - dot.0
 - 小悪魔 Sparkling
 - Five Starz ~五枚目俳優~
 - R.P.G. ~Rockin' Playing Game~
 - 無条件幸福論
 - Crazy Bunny Coaster
 - NO OUT NO LIFE
 
- mad$ip
 - ☆ギミギミ☆
 - Toy Soldier
 - 不完全 Beautyfool Days
 - Pastel Horror Yum Yum Show
 - Howling Magic
 - sweeToxic
 - fat inside horror
 
DISC 2 MV COLLECTION Part 2
- MISSING
 - Rolling!!
 - B.A.B.Y.
 - CRY OUT
 - BLACK
 - teenAge dream
 
- 上海ハニー
 - SICK'S
 - 桜雨
 - Smells Like Virgin Spirit
 - KILL KILL
 
SuG(サグ)

2007年に結成された、武瑠(Vo)、masato(G)、yuji(G)、Chiyu(B)、shinpei(Dr)の5人からなるロックバンド。バンド名はスラング「Thug」に由来し、「周りの意見を気にせずに自分たちの思った通りに進む人たち」や「悪友」という意味を持つ。結成当初より「HEAVY POSITIVE ROCK」というコンセプトを掲げ、前向きなメッセージを乗せたキャッチーな楽曲で人気を博す。2010年1月、シングル「gr8 story」でメジャーデビュー。メンバー全員が作曲を行い、作詞とそれに基づいたミュージックビデオ、衣装などのアートワーク全般を武瑠が手がける。2012年10月に突然の活動休止を発表し、同年12月29日の東京・国立代々木競技場第二体育館でのライブをもってバンド活動を休止。その後はメンバーそれぞれ独自の音楽活動を続けていたが、2013年12月に国立代々木競技場第二体育館で復活ライブを開催した。2015年3月にアルバム「BLACK」を発表し、結成10周年を迎える2017年3月にベストアルバム「MIXTAPE」をリリース。9月には初の東京・日本武道館公演を行う。





